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『キャプテン・アメリカ/BRAVE NEW WORLD』の話と一考察。

待ちに待った『キャプテン・アメリカ』のシリーズ第4作目が遂に公開された。嬉しい。嬉しすぎる。

サノスとの死闘のあと、一区切り付いた初代キャプテン・アメリカは何十年も背負い続けてきた重すぎる肩の荷を下ろし、彼を相棒として支えてきた元特殊部隊員の“ファルコン”ことサム・ウィルソンへと「盾」は受け継がれた…。
というのが、とてもざっくりしたキャプテン・アメリカシリーズのあらすじ。

ファルコンが二代目キャプテンアメリカになったので、今作では更にサムから勇気を受け継いだ二代目ファルコン/ホアキン・トレスも登場しています。
先輩の背中を追いかけてがむしゃらに走る彼の今後の活躍が楽しみです。

本作のストーリーはそんな二代目キャプテンアメリカと二代目ファルコンがある日突然巨大な陰謀に巻き込まれて真相究明に奔走することになるという流れなんですが、そこに絡んでくるのはまさかの『インクレディブル・ハルク』の懐かしき顔ぶれ。
あのエドワード・ノートン主演作品であると同時にMCUの『アイアンマン』に次ぐ記念すべき第二弾作品。(日本では公開順が前後して第一弾作品)
公開後に大人の事情で主演ノートンが降板して代わりに他の役者さんが新たなハルク役として『アベンジャーズ』を始めとする以降のMCU作品に登場することになるも、
さすがにイメチェンが激しすぎてスタッフも扱いに困ってしまったのか、ブラックウィドウといきなり恋仲になったり宇宙の果ての闘技場に飛ばされたりと、常にどこか宙に浮き続けてる印象の作品…

だったのですが、

なんと、本作『BNW』で17年ぶりに本格的に日の目を浴びることに…! 干支がほぼ1周半してますね。

主人公だったブルース・バナー&ハルクが『アベンジャーズ/エンドゲーム』でまさかのスマートハルクへの変貌を遂げたことですっかり落ち着いてしまったものだから、もう手のつけようは無いかのように思えるのに、MCUのスタッフ達はなぜここに来て『インクレディブル・ハルク』を大地に着地させてあげようと思ったのか?
なぜマイティ・ソー3で一回強く擦ったハルクというコンテンツをキャプテン・アメリカ4で再び擦ろうと思ったのか?
なぜシー・ハルクやスカーなどではなくてレッドハルクというキャラクターを新たに出してこようと思ったのか?

コラボエレベーターの写真

率直に考えてみたんですが、ハルクが表すもの・象徴するものって恐らく「怒り」とか「不満」といった感情なんですよね。
本作に出てくるレッドハルクの見た目にはハリソン・フォードの面影をしっかり感じつつ、髪型や怒り顔にはほんのりと現実のアメリカ大統領であるドナルド・トランプの顔も個人的にチラついてしまったんですよね。
この作品が公開前に何度も何度も繰り返し再撮影を行っていたのは有名な話で、去年、アメリカの大統領選挙の演説中に銃撃事件があったじゃないですか。
そのときドナルド・トランプがSPに抱えられながら群衆に対して星条旗をバックに高々と握り拳を掲げているまるで英雄のような写真がネットで拡散された日もありましたね。
それから四ヶ月後、公開日までわずか三ヶ月を切ったタイミングになって本作の更なる再撮影が敢行された事実がちょっと気になるのは流石に考え過ぎでしょうか?
信じるか信じないかはあなた次第になるのでしょうか?

当初の脚本ではサーペント・ソサエティというメンバー全員がヘビ人間の犯罪結社が登場する予定だったらしく、WWE(プロレス団体)の出身の役者さんも撮影に参加していたけど再撮影期間のある段階で出番が丸々カットされて、代わりにジャンカルロ・エスポジート演じるヴィランのサイドワインダーの出番が増えることになったそうなんですが、
これってもしかして「ヘビ人間達による犯罪結社」なるコミック的なものをいっそ廃して、主人公サムと同じ人種でありながら立場の違いによって殺し合うサイドワインダーというキャラクターを登場させることで、よりノンフィクション的なところに手を突っ込んでかき混ぜて現実社会にも通ずる混沌とした雰囲気に作品を染め上げようとしたのでは?と、そう考えることもできるのではないでしょうか。

象徴的なレッドハルクやサイドワインダーを登場させて、やけに強気な日本を登場させて、インド洋上でキャプテン・アメリカと軍用戦闘機をドッグファイトさせる。
ただのロマンならひたすら胸が高鳴るだけなのですが、現実的な潮流をヒーロー映画に輸入する目的も有ったのだとすれば十分すぎるほどで、色んな意味でドキドキするものがありました。

アメリカが連日大きな波紋を世界に広げるようになり、中東と東欧では遂に大国の全面戦争が始まってしまい、東アジアも一触即発の危機。
普通に暮らしている市民が皆燃え盛る炎の前に姿勢を低くして息苦しくしている予測不能な現代世界において、「キャプテン・アメリカ」が出来る事とは?やるべき事とは?
そしてヒーローの意志を継いだ普通の人間達が出来る事とは?やるべきこととは? 
それは一体何なのだろうか。
ヒーローの存在意義を改めて強く問いかける熱い作品に本作は仕上がっていて、非常に楽しかったです。

別のユニバースの話になって申し訳ないのですが、先日GotGのジェームズ・ガン監督による新しい『スーパーマン』の予告編が公開されましたよね。
その映像の中で恐らく紛争地帯に住んでいる少年が一生懸命スーパーマンの名前を呼ぶカットがありましたが、やはり「ヒーロー」って「希望」と同義語なのかもしれないですね。
ふとブレイブ・ニュー・ワールドと重ね合わせてしまうのでした。

指パッチンで突然人口が半分消えたと思ったら消えた人達が突然帰ってきたMCU世界のように混迷を極める現実世界に満を持して撃ち出された二代目キャプテン・アメリカ。
人種を超えて国境を超えて空に舞うニューカマー。
これからの更なるMCUでの飛躍に期待も期待、大期待です。

売店で購入したかっこいいシャツの写真

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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