20240212「世界堂に行くのに向いてない」
漠然とどこかへ出かけたい欲があった。しかし、ただ出かけたいだけで肝心の目的が思い浮かばない。そんな感じのことをいつものDiscord通話メンツに相談したところ、「でかい文房具屋は意外とオモロい」という意見が出た。ここ最近はペンすらまともに使う機会がないので、文房具というものが自分の頭の中にまったくない意外なチョイスではあった。ふむ…。
ということで、世界堂 新宿本店にやってきた。なぜここにしたかというと、インターネットで適当に「でかい文房具屋」と検索して最初にヒットしたのが世界堂であったためだ。先述した通り、仕事でもプライベートでも作業の全てをPC・スマホなどの電子媒体上で行っているため、正直な話何か買いたいものがあるわけではない。とはいえ、ウィンドウショッピングだけでも何か刺激があるのではないかと若干の期待を抱いてはいた。店側からしたらただの冷やかしなんだけども。
さっそく店内へ。新宿というスーパーオシャレタウンとは対照的に、店内の雰囲気は地域のスーパーにありそうなチープさが漂う。しかし、さすがはでかい文房具屋。そんなチープさとは裏腹に品揃えが半端なく豊富だ。1階の一般文房具・事務用品フロアだけでもその規模の多さがよくわかる。
続いて色鉛筆、紙類が揃う2階へ。この辺から美術分野に特化した品揃えへと変遷していく。美術…そのワードに関連してこんなことを思い出した。
大学生になりたての頃、ぼっちを脱却したくて大学の美術サークルに入ってみたことがある。しかし、当時の自分は人間に対して拗らせた感情を持つスーパー陰キャ状態だったうえに、大学のサークル特有の、サークル名として掲げる活動以外にやんなきゃいけないことが多いシステムに普通に馴染めず、一年も経たずにサークルに行くのを辞めてしまった。
その苦い過去を、どういうわけか世界堂にやって来た後になって思い出してしまった。なんで来る前に思い出して「やっぱ行くのやめよ〜」と判断する機会を作っておかなかったんだよ。
一度こうなると、そのことばかりを白昼夢のように反芻してしまい、肝心のウィンドウショッピングに全然集中できなくなってしまった。さらに途中、美術サークルに現役で所属していると思われる他の大学生客数人の会話が隣から聞こえてきたとき、嫌な汗をジワっとかいてしまった。
これは長居しない方がいいぞ!と精神が警鐘を鳴らす。それに応じて急ぐようにして上の階へ上の階へと移動していくが、4・5階がまさかの額縁フロア。大小様々なサイズ、素材の額縁がズラッと並んでいる。そんな光景を目の当たりにした自分は、先述の美術サークルについてまたもやフラッシュバック。
展示イベント前に恒例で催されるサークル部員同士での作品品評会のときのことだ。自信満々に自作品をお披露目したのだが、その作品そのものについてではなく、それに合う額縁どうすんねんみたいな質問ばっかされたわけだ。それに対し、額縁への興味がまるでなかった当時の自分は「デジタルで描いたやつなんで印刷して画鋲かテープで留めればよくないすか?」みたいな返答をしたことで、部員一同をどよめかせてしまった。なんならサークル内の長みたいな人にそれはどうかしてるぞとやや怒られるところまでいった。
そんな苦い体験をありありと思い出した結果、普通に気分が悪くなってきた。いやまぁ今改めてエピソードを文章化すると自分の返答が圧倒的に悪いとは客観的に思えるけども。
限界を迎えた自分は逃げるように店を即脱出。俺はこんなにも世界堂に行くのに向いてないヘボだったのか。でかい文房具屋へ行くことを提案してくれたイツメンの1人、すまねぇ、すまねぇ…。次からは美術用途に特化しているわけではなく、もっとこう…全体的な分野をカバーしている文房具屋を訪れよう。