解剖実習
昔、学校で解剖実習があった。
人のよさそうなおじいさんが、横たわっていて
その体にメスをうちこむ。
この人は生き返ることはないし
この人の体に メスをいれる というのは
取り返しのつかないことをするように思われた
身体の中にある組織を切り分け
黄色い脂肪細胞をとりわけて
臓器を取り出し
様々なパーツに切り離していく
頭を分割したり
脳の形もみた。
その実習をしながら
私は思った
こういうことを通して
人の霊性に対する怖れを
失うこと
人間の肉体は こんなもんだと
おそれをなくしてしまうことが
そのことそのものが
なにか
問題に思えた
そうではない
と
言う人はいるかもしれない
厳粛な事実に
死んだ人の体を 教材にさせていただいて
と
いうのかもしれない。
ただ
体感覚として
そういう 勘違いを
肉体 としての人体を扱うだけの仕事なんだと
いう
なんとなくの勘違いを
してしまう 可能性を
感じた。