牛
牛に
「あなた、危ないですよ、これから殺されますよ、急いで逃げて!」
と
言ったところで。
牛に
「あなた、搾取されてますよ、いいんですか子供とられて」
と
言ったところで。
牛に
「あなた、危険な注射されてますよ。これで死んだ人もいるんですよ」
と
言ったところで。
牛は、どうしたらいいかわからない。
とりあえず、餌をたべてからカンガエル。モウ。
とか言って、結局なにもしない
「大虐殺ですよ。ころされるんですよ」
と
言ったところで
おとなしく、と殺場へはこばれていく。
牛でいた期間が長いから
牛でいた期間が。
感情も
子供と引き離される辛さも
注射される痛さも
殺される恐ろしさも
さあ
かれらは
忘れてしまったんでしょうか
巨大な否認の中にいる
だれもが、自分の感情を認めたがらない
だれもがほんとうの感情を 感じるのをおそれて
感情を感じることを 忘れ去ってしまおうとしている
と
さえ思う。