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MBTIハラスメントについて日本MBTI協会の肩を持ってみる

日本MBTI協会の悲哀

noteを始め、いろいろなところでINFJと言ったアルファベット4文字を見かけるようになって久しい。
先日、子供の買い物に付き合っている際、いろいろなキャラクター雑貨などを取り扱う店の店頭に16Personalitiesのサイトにある16種類のキャラクターに似た絵とその下に対応するアルファベット4文字が書かれたアクリルキーホルダーが売られているのを見かけて、そんなに浸透しているものなのかと結構驚いた。(というか、そもそもキーホルダーなどを付けてまでアピールするようなモノなのか?とも思わなくもない)

私も「INFJがどうのこうの」とnoteに書いたりもしているが、私がINFJだと自称しているのはあくまでも16Personalitiesなり、それに類似した診断サイトでの診断結果に過ぎない。
日本において「MBTI」という登録商標を持っているのは「日本MBTI協会」であり、それ以外はMBTIではないということになる。
そういったこともあり、日本MBTI協会では、サイト上でわざわざ注意喚起(12)を出しているような状態である。
しかしながら、Googleで”mbti"と検索した際には残念ながら16Personalitiesがトップに来るので、日本MBTI協会としては注意喚起していても、なかなか状況としては厳しいだろう。

ちなみに、日本で公式のMBTIの受検結果を得るには日本MBTI協会公認の体験セッションが用意されており、以下の費用が必要となる。

10,000円(税別) + MBTI受検料&テキスト代実費4,700円(税別)
合計16,170円(税込、事前のテキスト送料込み)

一般社団法人 日本MBTI協会公認
MBTI公開体験セッション ベーシックフィードバック編 概要

私はこの日本MBTI協会公認のセッションを受けてはおらず、受検結果として何になるのかはわからない。

(完全に余談だが、日本エニアグラム学会では「簡易タイプ診断」として、「90問回答式チェック」、「文章三択式チェック」、「Yes/Noチャート式チェック」、「子ども向けタイプチェック」と4つも自前でWeb上で出来る無料の診断が用意されている)

さて、前置きが長くなってしまったが、日本MBTI協会の言うように16Personalities他で診断できる結果は実際にはMBTIの結果とは異なるということを踏まえて、ようやくここから日本MBTI協会の肩を持つことにしよう。

16Personalitiesなどの結果を用いたMBTIハラスメント

最近、「MBTIハラスメント」という言葉が散見されるようになってきたらしい。どうやら、16Personalitiesなどの診断結果を元にハラスメントが行われていたりするらしい。
「あの人はXXXXだから管理職には向いていないので、管理職は任せられない」、「私はXXXXであの人XXXXだから相性が悪いので避けよう」みたいなことなのだろうか……?
それによって「MBTIハラスメント」なんて言葉が生まれてしまっては、協会としてはやるせない想いだろう。
16Personalitiesなどの結果はMBTIとは異なると明確な立場を取っているにも関わらず、それらを用いたハラスメントとして「MBTIハラスメント」なんて言われるのだから、その心中お察しする。
もしかすると、近いうちに新しい注意喚起のページが追加されるかもしれない。

16Personalitiesなどの診断結果はどこまで信憑性があるのか

16Personalitiesを例に取ると、設問は全部で60問で「賛成する」から「反対する」までの7段階で回答できる。つまり、7の60乗通りのパターンを16種類に分けているわけである。
もちろん、内部的には質問ごとに係数がかけられていたりするのだろうし、単純計算できるものではないだろう。だが、少なくとも、回答パターンとしての7の60乗というのは途方もない数字になる。
おそらく16タイプに分ける前に、

  • E(外向) ←→ I(内向)

  • S(感覚) ←→ N(直観)

  • F(感情) ←→ T(思考)

  • J(判断) ←→ P (知覚)

これらのそれぞれにポイントが加算されたりしていって、その結果、16タイプが定まるということだろうとは想像できる。そして、16Personalitiesでも以下のようなグラフで確認することができる。

私の16Personalitiesの診断結果

こうした性格診断の別の例をあげると、ソシオキャット診断というものでも下グラフのような結果が表示される。

私のソシオキャットの診断結果

このように16Personalitiesによる診断結果でもソシオキャット診断による診断結果でも、多少の数値の差こそあれど同じINFJと判定されたのでそれなりに傾向としては近いのだろう。
なんなら、今後、公式セッションを受けてINFJだとなれば、より信憑性が増すかもしれない。
当然ながら、16Personalitiesもその他の亜種もそれなりの監修などを受けているものもあるだろうし、中には、公式の方から来た人に監修を受けていたりするものもあるかもしれない。
日本MBTI協会が注意喚起しているのも、16Personalitiesなどの診断結果の正しさなどではなく、MBTIとは異なるという点である。

あれ?性格を16タイプに分けるって……もしかして……無理ゲーなのでは?

さて、ここまできて性格を16タイプに分けることの限界がこの辺りにあるのかな?とも思い始めてきた。
そもそも、性格という複雑なモノに対して、NiやNeなどの8つの個別指標と、それらを元にして16種類に分けているとしても、それにはそこそこ無理が生じているのかもしれない
もちろん、それこそ日本MBTI協会が注意喚起しているように、ネット上にある無料で出来る紛い物なんかとMBTIを一緒にしてくれるな、というのはそういった面を指しているのだろう。
公式セッションはZoomなどのWebを使った受検も受けられるようなので、MBTIについての知識を持っていたり経験を積んだ人がフィードバックをしてくれるのだろうと思う。そういった意味で、公式セッションにて自分というものに向き合う際にサポートを得られるという利点はそれなりに大きそうだ。(それに16,170円の価値があると感じるかどうかは人それぞれ)

いずれにせよ、こうしたタイプ別に分けるような性格診断系では表しきれないモノがあるのが性格というものである。性格というよりも回答する際にその人が置かれている環境などにも、当然、左右されるだろう。
それでも、自分や他人がどういった性格や行動特性を持つのかを知りたいという欲求には抗えないし、それを誤った用途で使われてしまうことも一定数あるだろう。
きっと日本MBTI協会がどれだけ注意喚起しても、残念ながら、ほとんど届かないとすら思う。

最後に

結論として、血液型占いや星座占いなどに比べれば、分類されたパターン数という面において多様性はあるし、設問に回答するというステップを踏むことでの信憑性みたいなものは存在するだろう。というか、これは統計に近いと思われる。
性格や特性、行動パターンをタイプに分けるということ自体はユングを始め心理学分野などでも行われていて、組織のマネジメントなどに利用されたりしている。当然、16タイプに分けたとしても、その診断結果のタイプにどれくらい当てはまるかどうかは人によって異なるし、そのタイプでもって他人を勝手に判断することの是非は当然あるだろう。
それが16タイプのグッズであったり、「MBTIハラスメント」というもので表出するくらいに、MBTIやそれに類似する性格診断が一般化してきている、ということなのだろう。

だからこそ、別に自分の中で勝手にやる分には好きにすればいいけれど、noteなどで「INFJとはどうのこうの」と書く際には、より一層の注意が必要になる時期が来ている「MBTIハラスメント」の片棒を担ぐわけにはいかない、と自戒を込めてこの記事を残しておく。

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