二次創作や同人の界隈ルールに疲れたから、守るのやめてみた
まず結論から。
自分が我慢していることを他人が堂々とやっていることに対して、気持ちがモヤモヤするようなことが少なくなった。
一部の人との交流はできなくなったけど、そこまで苦にならなかった。
まとめ
私が二次創作を楽しむために守るルールとは次の①②と考えています。
大前提として、二次創作は基本的に法律違反です。
版権元にフリーライドして二次創作をすることが倫理に反すると思うのであれば、とっくに筆を折っていないと話が矛盾してくるので、道徳や倫理観は除外させていただいています。
先んじて記事のまとめを書いておきます。
ここまでで400字詰めの原稿用紙が3枚分くらい埋まる文字数です。
ここから先は頑張って1万字程書いたので、お茶でも飲みながらだらだらと読まれることをおすすめします。
2023年のスタバのブーケティーラテが好みの味だったので今年の新作も飲んでみようと思います。
定義や基礎知識
この記事で取り上げる言葉の意味とは、次のようなものです。
また、引用は各ウェブサイトのガイドラインに則って、出典を明らかにしているものもあります。
【】で括った内容は客観性のある資料ではなく、個人的な解釈を多く含む場合があります。
× 二次創作=海賊版
よく誤解されやすいですが、二次創作と海賊版は異なるものです。
なぜなら、二次創作=海賊版と定義してしまうと、2018年(平成30年)12月30日から施行された非親告罪が適用されることになりますが、文化庁より引用した資料によって異なるものだと判断できるからです。
海賊版とは次のようなものだと私は考えます。
・【漫画村】のようにタダ読みできる違法コピーされた漫画
・CDジャケットをそのままプリントした【けいおん!の痛車ステッカーで逮捕】された件
海賊版といえば、2023年の【ツイステの同人ノベルティ】炎上の件も拝見しましたが、個人的には同人グッズを海賊版と拡大解釈したいだけの言いがかりだったように感じられました。
問題提起されたnoteからはどうにも「身内ノリ」を問題視したがっていることが透けていましたし、少なくともノベルティのクリアファイルのデザインは手描きであり、色をスポイト機能などで抽出しているようにも見えず、キャラクターの向きも異なっています。
公式イラストを使った【イラレやフォトショ】による明らかな加工であれば海賊版とみなして通報が必要かと思われますが、第三者がXで個人を監視させたりグッズ破棄を求める姿勢が公式のためになるとは言いがたいです。
ツイステの「公式ガイドラインの転載が禁止されている」のはこういった第三者による勘違いや不適切な指摘を防ぐためのように思うのですが、それらを破ってまで正義感に突き動かされる方もいたという例になったかと思います。
気になった方は【ツイステの同人ノベルティ】で調べてみるといいかもしれません。私は公式側の人間ではないので、是も非も唱えられない立場ではありますが、見ていて胸が痛かったです。
二次創作、nmmn、同人などのルールやマナーとは何か
Xで「同人 マナー」などで検索すると、どうやら公式のものではない、出典不明のルールやマナーを支持しているユーザーが多数派を占めていて、それらを破ると非難されてしまう風潮があります。
試しにネットで「同人 マナー」「二次創作 ルール」「nmmn ルール」で検索上位に来たリンクを見てみます。
・猿でもわかる同人マナー
・nmmn/hnnmのルールとマナーはいかなるものか(私見と覚書)
どちらも共通項目として『公式から隠れる』が挙げられています。
主に二次創作 + 交流を目的とする人向けが対象のようで、隠れなければならない理由としては、次のような内容でした。
ざっと読んだ感想ですが、この『公式から隠れる』という行為は
・「二次創作が公式の目に入って、名誉棄損(※2後述)や著作権侵害で訴えられたらどうしよう」
・「二次創作に理解のない人が、公式に問い合わせるなどして、二次創作が全面的に禁止されたらどうしよう」
といった不安からくるものだと思います。
でなければ、SNSとかいう拡散力が高くて何十年も書き込みが残るようなコンテンツに関する注意書きなんてさくっと省いて「インターネットやめろ」で解決する話なので、妥協点を探ってたどり着いたのが『公式から隠れる』なんだと思います。
これらのローカルルールは、『公式に迷惑をかけない』という点では目指す部分が一緒ですが、人によって言い分や線引きが違っていたりして、要求にキリがありません。
よって、相手の感情を刺激しないような二次創作のやり方はないと断言できます。やる奴はやるしやらない奴はやらないって矢沢永吉も言ってた。
「推しカプの関係性や性格・嗜好は私の頭の中の妄想なんです」といくら言い訳しても、理解されにくい趣味だとわかっています。そもそも、妄想をイラストやテキストなどに起こせてしまう人間はほんの一握りなので理解されることの方が稀かもしれません。
同人ルールやマナーについて語るなら、すっかりほとぼりも冷めたので【ヌメ氏の炎上】にも触れた方がいいかと思いましたが、リンクを掲載するだけに留めます。
同人ルールやマナーを重要視する匿名メッセージに噛みついたら炎上し、誹謗中傷を受けた事実があったと確認できる資料です。
話が逸れました。
なんにせよ公式からNGを出されたところで、法を犯すリスクよりも二次創作を優先してきた人たちがすっぱり辞められるのか、という疑問が生まれるところですが、そこは置いといて。
公式から隠れることは現実的に実現可能か
結論→ほぼ無効。二次創作を通して交流したい人にとって『公式から隠れる』ことは不可能に近い。
私が出来てしまう検索方法を公式が真似できないとは到底思えないので、ネットに流してしまったからにはいつかどこかで見つかってしまうものと考えて行動しなければならないと考えます。
①どのように隠れるのか(対策)
②検証結果
2000字程度でまとめました。
結論は出したので、不要であれば読み飛ばしてください。
ちなみにこんなまどろっこしい検証をしなくても、Googleレンズがあれば画像からの検索も容易ですし、画像からテキストをコピーすることも簡単です。検索機能が日々進化していることを実感します。
他にも公式からの隠れ方について、わかりやすく箇条書きされたものがあったので、共有します。
以上のことから、交流しながら公式から隠れることは現実的ではないことがわかりました。
よく聞かれる検索避けも、あえて表記することを推奨する方のnoteがあったので共有します。
ではなぜ、これらのローカルルールが存在するかと言えば、自らの行動を律したり訴訟のリスクを回避するためというよりかは、ルールを破った人を叩いてもいい、という正義を肯定するためではないかと思えてきました。
こんなことを言ってしまうのもなんですが、二次創作者側の都合でどうしても白か黒かで考えたいなら「公式から訴えられたくなければ、ネットを断って交流も諦める」「いっそのこと許可をもらって仕事として公式と関わる」くらいです。
私も棲み分けが大事だと思っていた
棲み分けとは何ぞや、という方向けへの説明です。
急に話は変わりますが、「政治・宗教・野球の話はするな」というフレーズ、実はまだ起源がはっきりしていません。国会国立図書館のレファレンス事例でも未解決となっています。
要は正義 VS 正義なので、勝った / 負けたや優劣が絡むと争いに発展しやすいという話です。きのこたけのこ戦争もそうです。私はきのこ派。
これらの好みは、善悪の区別をつけられるものではなくどれもが正しいものですが、個人の信念や価値観が異なりやすく、人間関係に感情的な摩擦を生みやすいので、あえてこの話題を選んで話すことのメリットが少ないと言われています。
トラブルに巻き込まれたくなければ棲み分けをするべき論はこのフレーズの意味から来ているものと思われます。
二次創作も同様に正義 VS 正義のぶつかりあいなので、【カップリング論争】は終わらないし【夢小説の主人公は読者(私)か作者の創作キャラか】で荒れるし、【飛影はそんなこと言わない】わけです。
さらに言えば、反対意見を目の当たりにしたとき
「楽しくないから」
「興味がないから」
「話す必要を感じないから」
「誰かを傷つけそうだから」
という気持ちが刺激された結果、【学級会】だったり【お気持ち表明】に発展するように思います。
SNSでの炎上について振り返ってみます。
2019年に【遊☆戯☆王の作者が自分のキャラクターを使って、インスタに政治批判のイラストを投稿した件】が炎上しました。
多くの人は「政治的思想をキャラクターに代弁させたら削除させられた」という部分だけを覚えていると思いますが、実際に問題とされたのは、「売国政権」「独裁政権」といった攻撃的な言葉を使った点です。
政治的思想が悪だから削除に追い込まれたわけではありませんし、それらの考え方や表現を罰する法律もありません。
2024年だと、【ナポリの男たちのファンが反差別主義アンソロジーを作成した件】や【チャンネル登録者15万人超えのASMR配信者が陰謀論発言で炎上した件】がありました。
スマホやパソコンで調べれば、ナポリの男たちとはゲーム実況者であり、政治的な活動には消極的であることはすぐにわかりましたし、ASMR配信者が提唱していた持論を裏付ける学術論文が見つからないので、不確かな情報を拡散している可能性があると判断できます。
私はこれらの騒動も棲み分けで解決すると考えていましたが、やはり限界があることを知りました。
2021年の【呪術廻戦の高専タグ】は、公式と二次創作の棲み分け(検索避け)を目的としたことで起こった炎上です。
実在の高専生(高等専門学校)を名乗る人物が、「Xで高専と検索すると呪術廻戦の二次創作物が出てくる」として配慮を求めたものでした。
しかし、公式から騒動はスルーされ、有志によるタグの再考が求められましたが、高専というワードを検索した時に二次創作物を完全に除去することはできなかったようです。
最近のXではトレンド検索やおすすめから、全く関係のない界隈の二次創作物が流れてくることもあります。フォロワー数、リポストやいいねが活発に行われている、などの理由で表示されやすくなっているものと思いますが、Xの仕様なので止めることはできませんし、発言者に呼びかけて止めさせようとしても、向こうだって良かれと思って投稿していて、お互いに価値観が異なるので難しい話です。
ちょっと身の上話をさせてください
私はXで創作アカウントを複数掛け持ちしていて、基本的には交流メインの雑多垢とそれ以外で区別しています。
pixivとなろうをはしごしつつ、2024年は久々に小説本も出せたし、充実した一年となりました。たくさんお世話になりました。
実は、昨年秋ごろからとある動画配信者グループにどっぷりハマった結果、2024年1月から小説を書いてみようと思い立ったのですが、二次創作ガイドラインはなく、どうやらnmmnというジャンル自体に暗黙の了解が多いことがわかりました。
トラブル回避のためにフォロー数0の壁打ち垢を作成し、自分で考えた独自ルール(※3)をpixivに書いて(※4)、読者の方に守っていただくことをお願いしていました。
※3:どんな内容だったかはリンク先に掲載しておきます。私が考えたローカルルールがあなたの創作活動に水を差していたら大変申し訳なく思います。
※4:pixivに作品以外のものを投稿するなという意見はごもっともとは思いますが、そのような使い方ができてしまうシステムなのでご容赦ください。
ローカルルールへの考え方が変わったきっかけは、この動画配信者グループがFA(ファンアート)に対して寛容なところがあり、nmmnの二次創作が公式と見間違われるタグを付けただの、女体化だので炎上しても、それを動画のネタとして取り上げて「自由にやってくれてかまわない」(※意訳)と発言されていて、「公式側の人間が良いと言うなら良いのでは?」の空気感が広まったからでした。
転載をやめてほしくても、本人の目に入ってほしくなくても、まずネットに投稿するという選択肢を取っている時点で公式からの訴訟リスクはゼロにならないし、私が二次創作をしたいというエゴを許容してもらえる理由にはならないので、いっそ開き直って、いつか何らかの形で還元できるようになれたらそれでいいのかもしれない、と思うようになりました。だいぶぼんやりとしてはいますけれども。
どうしたって相手は他人であり、価値観も許容範囲も違うので、ローカルルールを貫くのは無理があると考えて、最終的に撤回を決めました。
結局のところ、ローカルルールがあることによって、他人をコントロールできないことへのフラストレーションが溜まる一方だし、自分自身の創作活動の幅を狭めて、終わりのない配慮に苦しむだけです。
ただ、この棲み分けの考え方は、私が雑多垢を運用し始めた学生時代から正しいと思い続けてきたものなので、今日からやめようと思って急に実践できるかというと、まだ抵抗があります。
雑多垢でも、たまに二次創作やnmmn関連の注意喚起のようなリポストが流れてきます。
とある女性VTuberのサブ垢で、検索避けの必要性を主張するポストが2024年10月頃に拡散されました。現在は削除済のようですが、リプライをたどると検索避けについての話題だったことがわかる痕跡が残っています。
引用リポストを見ると肯定的な評価であふれていましたし、タイムラインでも「当たり前じゃん」「よく言った!」という意見が多数派を占めていたので、こういったローカルルールは令和になっても因習のように根強く残っていくのだと思います。
とりあえず、段階的に雑多垢では
・【本人周辺B解除】
※Xの仕様が変わってブロックした相手にも自分のポストが貫通するようになったので自衛としての意味を成さなくなりました
・今まで【壁打ちメンション】でしかしてこなかった妄想ポストの垂れ流し
・創作アカウントの統合
を始めているところです。
フォロワーからの反応が意外に良くて驚いたのですが、タイムラインでなんとなく注意を促すような文脈で空リプをされる人もいました。
たまたま時期が被っただけで私のことではなかった可能性もありますが、考え方が合わないと思った時はミュートにしています。
丁寧な言葉で書き連ねられた皮肉っぽいマロ(匿名メッセージ)には反応しないようにし、どうしても返信が必要な連絡はGoogleフォームでメールアドレスの送信をお願いする形態に変えたところ、それらのメッセージは減りました。
(利便性が失われたせいか、感想も減ってちょっとさみしくなったりしました。ウェブボだと絵文字でたくさん応援できるのでそちらもご活用いただけますと嬉しいです。)
今後は相手と交流したい欲が上回った時だけ、状況に応じてローカルルールは守るかもしれませんが、社交辞令のような感覚で使うようにします。
その一方で、2024年から始めたnmmn垢のような、交流ゼロの壁打ちが創作活動に打ち込めて楽しいことに気づいてしまったので、もう少しの間だけ継続できたらいいなと思います。
Xの通知を切って【おだやかTwitter】(※GoogleChromeの拡張機能)を導入したら、フォロワー数やいいねも見えなくなるし、Googleスプレッドシートと連携してポストを自動送信にしたらXを見に行かずに済んで気が楽になりました。ポストへの返信設定も一括で変えたいのですが、良い案が浮かばずたまに手動でやってみるなどしています。
またもや話が逸れました。
このnmmn垢は作品宣伝のためにオープンにした代わりに、自我なしで運用しているものです。成人向け作品が多く、投稿作品の文字数が40万を超えていたこともあって、読者を増やそうにもX向けのゾーニング管理が面倒なので、現状維持という感じです。
Xでオープン垢や鍵垢だろうと自由だし、公式をフォローしようがリプライしようが自由だし、pixivで二次創作を公開しようと大っぴらに拡散しようと自由です。
なぜなら、そういうシステムにしているのは、Xやpixivといったプラットフォーム側なので、それで困るユーザーがいるなら改善を求めて意見を送ればいいだけです。
時々、「あなたのためを思って」忠告してくる人はあなたのやることに対して何か気に入らないことがあって、わがままを通そうとしている場合もあるので、相手にせずに受け流すことで気持ちが楽になることもあります。
私も心ない言葉を投げられたことがあり、当時はうまく対処しきれず創作も交流もすっぱりと止めてアカウントごと削除した過去がありますが、なんだかんだで創作活動自体は好きだったので、現在はジャンル移動を繰り返しながらも、どうにか自分の作品を残せるような環境を作れるようにしています。
今言い返せることがあるとしたら、本当に私のことを思ってくれていたのであれば、私がやりたい行動をやめさせない方向で妥協してくれたら良かったのに、と思います。もっとわがままを言えば、Xにはミュート機能もあるし、pixivでもマイナス検索が使えるので、私以外の何かに興味を持ったり、スルースキルを鍛えてもらえたらと思いました。
私にとって必要なのは、界隈を盛り上げてくれる人と、私の作品を楽しんでくれる人だけだったからです。
以上で言いたいことはほとんど言えたので、残りは蛇足です。
著作権に厳しいと噂されるラブライブ!の話
私もシャンシャンしましたし、まだスクフェスが無印だった時代にタイトルコールの「ブシモ!」を大音量で響かせてしまったことがあります。今は平安名すみれを推しています。大好き。
時系列は、2017年:無許諾商品についてのお知らせ→2019年:【ホワキャン騒動】→2021年:「ラブライブ!」シリーズの不正商品にご注意くださいのお知らせです。
もう結論から入りますが、逮捕者が出たと言うのは事実とはいえ無許諾商品の販売者についてですし、この騒動のさなかに同人作家から公式絵師になった中音ナタ氏に加え、同氏が参加していた非公式オンリーイベントが、2025年も東京ビッグサイトで開催されることを考えれば、ラブライブ!の著作権問題に第三者が介入すべきとは思えません。
2017年5月27日付で無許諾商品についてのお知らせをTwitterで確認できました。※リンク先は機能していませんが、内容は後述します。
原因のひとつと考えられるのが【偽グッズ販売により経営者逮捕のホワイトキャンバス】の件です。
当時のニュースはほとんどリンク切れだったため、ウィキペディアより引用です。
それから2年後の2021年2月5日になって改めて、リンク先では次のようなお知らせが掲載されました。先にリンクを掲載した無許諾商品のお知らせと文言が似ています。
一方で、同人作家の中音ナタ氏がラブライブ!の公式絵師になったのは2018年です。2017年5月に無許諾商品のお知らせが出されましたが、同年9月に同人誌を発行されています。
著作権侵害に対しては厳しく対処するというのであれば、同人誌も当然取り締まられるものと考えましたが、この騒動の期間に同人作家から公式絵師になった中音ナタ氏の件があるので、例外はあると考えたほうが良さそうです。
著作権に厳しいと噂される任天堂の話
任天堂は著作権に厳しいという印象を持たれていますが、これは根拠のないデマや噂がほとんどです。
著作権に厳しいことが事実なら、2018年に「NewスーパーマリオブラザーズUデラックス」の発表で流行した「クッパ姫」は根絶やしにされているはずです。中にはふたなりといった、いわゆる男女両性具有の成人向けファンアートも存在していましたが、任天堂がそれらを規制した話は聞きません。
クッパ姫の流行は私の性癖に良い意味で爪痕を残しました。
おそらく、著作権に厳しいという誤解は刑事事件として同人作家が逮捕された「ポケモン同人誌事件」が理由ではないかと思われますが、当時の裁判の資料が残っていないので、正しく理解できている方も少ないと思われます。
なぜ民事裁判ではなく刑事事件に発展したかというと、同人活動が暴力団による裏金作りだと思われていたからだそうです。
ポケモン同人誌事件については、有志によるブログが公開されています。
なんと、「問題となった同人誌を読んでみた」感想が2024年になって更新されていますので、ぜひご一読をおすすめします。
任天堂と著作権が絡む出来事は、令和に入ってから、以下のような内容が確認できました。
(1)任天堂が動いた例
・海外のファンがポケモンを銃で撃つFPS映像をTwitterやYouTubeに投稿したが、任天堂が著作権の申立を行って削除された件→【Pokémon First Person Shooter】
・2024年9月19日に株式会社ポケットペアの「Palworld / パルワールド」が任天堂より特許権侵害訴訟を提起された件
この訴訟でよく勘違いされるのは著作権侵害ではなく、特許権侵害である点です。
単にビジュアルが似ているだけでは著作権侵害を立証することは難しいです。著作権侵害については後述します。
(2)任天堂が動かなかった例
・2024年、大川ぶくぶ氏がXで「スプラトゥーン」のイイダのイラストを投稿した際に、原作よりも肌の色が明るいことに対して海外ユーザーから黒人差別だと指摘され、削除・謝罪した件
・2024年、ベネッセコーポレーションが進研ゼミの一部の受講者に送付した冊子内に「ポケットモンスター」に酷似したキャラクターを掲載したことに対して謝罪した件
二次創作に著作権は存在するか
判例をもとにしての結論になりますが、二次創作にも著作権は存在すると言えます。
まずは著作権について確認していきます。
著作権とは、作品を保護する権利ですが、キャラクターに対しては適用されません。
キャラクターとは、性格や見た目を組み合わせた抽象的な概念のことを指します。
例えば、キティちゃんは次のような設定があります。
・白い毛並みの猫の女の子
・頭にリボンをしている
もしもこの組み合わせに著作権が適用されたとしたら、1974年に生まれたキティちゃんは、1970年に登場した「おしゃれキャット」のマリーちゃんと同様の設定のため、著作権侵害をしているという主張が通ってしまいます。
「キャラクターに著作権は存在しない」という話はここから来ているのですが、著作権が存在しない=フリー素材という意味ではありませんのでご注意ください。
ここで実際の判例を見ていきます。
キャッチ―な言葉で表すなら、BLエロ同人作家 VS エロ同人違法アップロードサイトの裁判で、同人作家側が勝訴した件です。
リンク先は上記の事件について扱っていますが、どちらも事件番号や裁判所が違うのでそれぞれ共有します。
東京地方裁判所で行われたもの
【平成30(ワ)39343】
知的財産高等裁判所で行われたもの
【令和2(ネ)10018】
かしこまった資料におそ松さんや刀剣乱舞とか、堂々とち〇こなんて書かれると興奮します。
この裁判で注目されたのは、同人誌に著作権が認められた判例のひとつという点であり、訴えたのは原作者ではないので注意が必要です。
違法アップロード側の主張としては
・同人誌はそもそもキャラをパクって原作にないエロシーンを書いている。裁判所が著作権侵害を認めたら、違法な同人誌で金儲けしていいことになるのでは?
→原作のパクリと判断されるような証拠に妥当性が認められなかったので、著作権侵害とは言えない。同人誌が違法だとわかっていながら無断転載していた違法アップロードサイトが悪い。
というもので、あくまでパクリと言えるほどの証拠が出せなかっただけなので、もしかすると「同人作家がアニメ◯話の◯分◯秒のカットを使って、キャラクターの容姿や服装、線画から塗り方まで同一になるようトレースし、同人誌の表紙に描いた」証拠と、類似性を主張出来ていれば違法アップロードサイト側が勝てたかもしれません。
他にも、同人と著作権をめぐる裁判で有名なものとして、ときメモのエロ同人アニメ屋 VS コナミの判例があります。こちらはコナミ側が勝ちました。
【平成10(ワ)15575】
著作権侵害を証明するにも、「比較したらなんとなく似ている」ではなく、客観的に見て類似点を事細かく説明する必要があることがわかりました。
【赤紙堂】でネット検索すると、どぎまぎイマジネーションを含む成人向け同人アニメのレビューや表紙を取り扱っている個人サイトを確認できたので、どの程度似ているのかが気になった方は調べてみるといいかもしれません。エヴァの綾波レイやナデシコのルリルリでも作ってたようですし、卸価格千円程度とはいえかなり懐は暖まったんじゃないでしょうか。
公式にガイドラインがなかったら、二次創作はしない方がいいのか
この問いに はい / いいえ と白黒つけられる人、世の中にいないのではないでしょうか。公式ですら、明確な線引きをしたがらないと思います。
河野冬樹氏の話がわかりやすかったので、共有します。
公式が言うことをころころ変えるとトラブルになるので、あえて二次創作について触らない選択を取る方が賢いこともあります。
グレーゾーンにするもしないも公式の考え方次第ですし、ガイドラインがあろうがなかろうが、見逃されているから合法 / 歓迎 / 許可というわけではありませんので、自己責任で楽しんでいこうと思いました。
二次創作をしたいだけなら壁打ちが気楽だし、他の二次創作者と交流もしたいし感想もほしいのであれば、価値観の違いによる衝突は多少覚悟した方がいいように思います。ローカルルール関連の炎上は女性ユーザーの多いジャンルでよく見かける印象でした。
私は公式側の人間ではないし、たらればの話で堂々巡りになりそうなので、これ以上は追及しないことにします。
猿でもわかる同人マナーの突っ込みどころを挙げる
上記の引用を一次創作者がそのまま鵜呑みにしてしまっては不利益を被る箇所があったので説明を足しておこうと思います。
同人活動で利益が出る場合は副業にあたるので、公務員であれば禁止ですし、年間で20万円以上の利益を得た場合は確定申告が必要です。詳しくは【国税庁 確定申告】で検索をお願いします。
最後に。
二次創作には基本的に清く正しい活動は存在しません。
× 訴えられなければ犯罪ではない。
× 全年齢向けの二次創作物のみ公開しているので、犯罪ではない。
× 無料で二次創作物を公開しているので、犯罪ではない。
× ガイドラインがあるから訴えられない。
× 何も言ってこないから許されている。
× 同人ルールやマナーを守っているから迷惑をかけたことにはならない。
逆に公式が許可する二次創作とは、漫画や小説を原作としたアニメや【アニオリ展開】、公式が出版するアンソロジーくらいではないでしょうか。
それから、「迷惑かどうか」の線引きは公式にしかわかりません。
違法であるか否か、そもそも保留にするかの権利は公式にあります。
真面目に同人マナーを守ってきた人が割を食うのはおかしいと異議を唱える前に、一度はその不毛なルールやマナーの在り方を更新していくことが求められるし、ソースのない情報に振り回されないようにしたり、拡散しないことが私にできる最低限の配慮ではないかと思います。
同人ルールやマナーを盾に相手をコントロールせず、二次創作に関する責任を公式になすりつけないような活動を心がけていきたいです。
以上になります。