二次創作や同人の界隈ルールに疲れたから、守るのやめてみた

まず結論から。

  • 自分が我慢していることを他人が堂々とやっていることに対して、気持ちがモヤモヤするようなことが少なくなった。

  • 一部の人との交流はできなくなったけど、そこまで苦にならなかった。

まとめ

私が二次創作を楽しむために守るルールとは次の①②と考えています。

①自分が利用しているプラットフォームの規約 
↑ゾーニングなどはここ
②公式の判断、公式ガイドライン

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   越 え ら れ な い 壁
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時と場合による:道徳や倫理観(二次創作、nmmn、同人、界隈などのマナー)

大前提として、二次創作は基本的に法律違反です。
版権元にフリーライドして二次創作をすることが倫理に反すると思うのであれば、とっくに筆を折っていないと話が矛盾してくるので、道徳や倫理観は除外させていただいています。

先んじて記事のまとめを書いておきます。

・公式がルールで、公式を尊重することがマナー。
→「法律を守る」と「二次創作」は共存できない。
公式からのガイドラインがあれば従うし、ガイドラインがなければ自分が使っているプラットフォームの規約に従い、利益の追求を一番の目的とせず、公式と競合しない範囲で二次創作を楽しむ。

・公式は二次創作を許容する / しない自由、あえて白黒つけない自由がある。
→企業にとって「ある程度見て見ぬふりをしていれば、金要らずで勝手に宣伝して盛り上げてくれて得」という認識が広まっている。そうでなければ、個人や団体で2万以上のサークル(※1)が同人誌を展示・頒布しているコミックマーケットは今日まで続いていない。

・人が悪いのではなく、システムが悪いこともある。
→現代のインターネット環境での二次創作物の制限は、仕様上とても難しい。

・二次創作では出典不明のルールやマナーが存在していて、自他ともに守らせようとする人々が多数派を占めている。
→トラブルを避けたければ、自衛が必要。

・情報を拡散する前に真偽を確認する習慣をつけたほうがいい。
→多数派の意見が正解ではないからこそ、信頼できる根拠を探してから判断しても遅くはない。

・誰もが自分なりに良かれと思ってやっている。
→私にとって信じられないことかもしれないけれど、悪意を持って行動している人は少ない。

※1出典:政府広報オンライン

ここまでで400字詰めの原稿用紙が3枚分くらい埋まる文字数です。

ここから先は頑張って1万字程書いたので、お茶でも飲みながらだらだらと読まれることをおすすめします。
2023年のスタバのブーケティーラテが好みの味だったので今年の新作も飲んでみようと思います。


定義や基礎知識

この記事で取り上げる言葉の意味とは、次のようなものです。
また、引用は各ウェブサイトのガイドラインに則って、出典を明らかにしているものもあります。

【】で括った内容は客観性のある資料ではなく、個人的な解釈を多く含む場合があります。

定義
公式:原作、版権元
二次創作:原作の設定や世界観などを部分的に利用し、版権元の監修を受けない、非公式的な創作活動、同人活動
二次創作物:二次創作によって生まれた創作物(イラスト、小説・文章、動画、音楽、コスプレ、ゲームなど)、原作をベースにアレンジを加えられたもの、同人誌
nmmn/hnnm:実在の人物や生き物をもとにした二次創作物
海賊版: 原作とほぼ同質のコピー商品
ローカルルール:界隈マナーや同人ルールなど、公式以外の人が取り決めたマナーやルール
炎上:ネット上で起こった出来事に対する過剰な糾弾、バッシング

基礎知識
・二次創作物は、金銭の発生にかかわらず、著作権者に無断で公開することは著作権法違反である。
・著作権は親告罪なので、訴えられない限りは罰を受けない。

× 二次創作=海賊版

よく誤解されやすいですが、二次創作と海賊版は異なるものです。

なぜなら、二次創作=海賊版と定義してしまうと、2018年(平成30年)12月30日から施行された非親告罪が適用されることになりますが、文化庁より引用した資料によって異なるものだと判断できるからです。

海賊版とは次のようなものだと私は考えます。

・【漫画村】のようにタダ読みできる違法コピーされた漫画
・CDジャケットをそのままプリントした【けいおん!の痛車ステッカーで逮捕】された件

>非親告罪となる侵害行為の例
>販売中の漫画や小説本の海賊版を販売する行為
>映画の海賊版をネット配信する行為

>親告罪のままとなる行為の例
>漫画等の同人誌をコミケで販売する行為
>漫画のパロディをブログに投稿する行為

出典:文化庁より環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律による著作権法改正の概要 - p.1

> 「海賊版」とは、著作権で保護される著作物を、著作権者の許諾なしに、複製・出版等したものをいう。
> 本来、海賊版とは、もとのコンテンツを無許諾でそのまま複製するデッドコピーを指していたが、最近では巧妙化が進んでいる。例えば、漫画の画像自体は使っていなくともセリフやト書きなどを丸写しして、最初から最後までの内容を書き写したようなネタバレサイトや、映画の映像を無断利用し字幕やナレーションをつけた短時間の動画で、映画の内容が結末まで分かるようにしたファスト映画といった侵害形態が現れている。これらの形態は、一見、テキスト部分を引用しているのみ、感想を記載しているのみに見えるが、実態としては正規の著作物から多くのコンテンツを無断で転載・アップロードしており、著作権を侵害する可能性が高い。

出典:文化庁よりインターネット上の著作権侵害(海賊版)対策ハンドブック ―総論編―(令和4年度) - p.11


海賊版といえば、2023年の【ツイステの同人ノベルティ】炎上の件も拝見しましたが、個人的には同人グッズを海賊版と拡大解釈したいだけの言いがかりだったように感じられました。

問題提起されたnoteからはどうにも「身内ノリ」を問題視したがっていることが透けていましたし、少なくともノベルティのクリアファイルのデザインは手描きであり、色をスポイト機能などで抽出しているようにも見えず、キャラクターの向きも異なっています。

公式イラストを使った【イラレやフォトショ】による明らかな加工であれば海賊版とみなして通報が必要かと思われますが、第三者がXで個人を監視させたりグッズ破棄を求める姿勢が公式のためになるとは言いがたいです。

ツイステの「公式ガイドラインの転載が禁止されている」のはこういった第三者による勘違いや不適切な指摘を防ぐためのように思うのですが、それらを破ってまで正義感に突き動かされる方もいたという例になったかと思います。

気になった方は【ツイステの同人ノベルティ】で調べてみるといいかもしれません。私は公式側の人間ではないので、是も非も唱えられない立場ではありますが、見ていて胸が痛かったです。

二次創作、nmmn、同人などのルールやマナーとは何か


Xで「同人 マナー」などで検索すると、どうやら公式のものではない、出典不明のルールやマナーを支持しているユーザーが多数派を占めていて、それらを破ると非難されてしまう風潮があります。

試しにネットで「同人 マナー」「二次創作 ルール」「nmmn ルール」で検索上位に来たリンクを見てみます。

・猿でもわかる同人マナー

・nmmn/hnnmのルールとマナーはいかなるものか(私見と覚書)

どちらも共通項目として『公式から隠れる』が挙げられています。

主に二次創作 + 交流を目的とする人向けが対象のようで、隠れなければならない理由としては、次のような内容でした。

>とはいえ、「公式に言いつけるぞ」と言われたら困りますよね。
>「公式は良いかダメかと聞かれればダメと言うしかない」
>「同人誌は公式がダメと言ったら一切禁止になる」からです。
>貴方だけではありません、ジャンル全員禁止、全員道連れです。
>なので「言いつけるぞ」と相手に言われないようにしてください、そういうことを言う人の目につかないようにしてください。
>オタクがある程度コソコソしなければいけないのはこれがあるからです。
>自分を卑下しろというのではなく、自衛のためにある程度隠れて行動しなければいけないのです。
出典:猿でもわかる二次創作​同人マナー 基礎知識

>ご本人様やご関係者、ご本人様のファンを守るため、あるいはアンチや晒しを防ぐため、何よりnmmnの妄想・二次創作をした方自身を守るため
出典:nmmn/hnnmのルールとマナーはいかなるものか(私見と覚書)

ざっと読んだ感想ですが、この『公式から隠れる』という行為は

・「二次創作が公式の目に入って、名誉棄損(※2後述)や著作権侵害で訴えられたらどうしよう」
・「二次創作に理解のない人が、公式に問い合わせるなどして、二次創作が全面的に禁止されたらどうしよう」

といった不安からくるものだと思います。

でなければ、SNSとかいう拡散力が高くて何十年も書き込みが残るようなコンテンツに関する注意書きなんてさくっと省いて「インターネットやめろ」で解決する話なので、妥協点を探ってたどり着いたのが『公式から隠れる』なんだと思います。

これらのローカルルールは、『公式に迷惑をかけない』という点では目指す部分が一緒ですが、人によって言い分や線引きが違っていたりして、要求にキリがありません。

よって、相手の感情を刺激しないような二次創作のやり方はないと断言できます。やる奴はやるしやらない奴はやらないって矢沢永吉も言ってた。

「推しカプの関係性や性格・嗜好は私の頭の中の妄想なんです」といくら言い訳しても、理解されにくい趣味だとわかっています。そもそも、妄想をイラストやテキストなどに起こせてしまう人間はほんの一握りなので理解されることの方が稀かもしれません。

同人ルールやマナーについて語るなら、すっかりほとぼりも冷めたので【ヌメ氏の炎上】にも触れた方がいいかと思いましたが、リンクを掲載するだけに留めます。
同人ルールやマナーを重要視する匿名メッセージに噛みついたら炎上し、誹謗中傷を受けた事実があったと確認できる資料です。

ついでで恐縮ですが、名誉棄損について触れておきます。

名誉棄損罪とは、他人の社会的評価を低下させることを言い、親告罪なので被害者側が告訴しないことには犯罪として成立しません。【刑法230条】

ローカルルールでもよく聞かれる、「実在の人物は異性愛者だが同性愛者のように描写する文章やイラストを二次創作者が公開し、本人が嫌がって訴えたら名誉棄損」とすることは誤りとは言いきれませんが、【LGBT理解増進法】が2023年6月16日に国会で成立し、性の多様性への理解が浸透してきた現代において、第三者が同性愛者=名誉棄損と騒ぎ立てることは、いささか差別的に思えます。

ただし、【漫画「ゼロハン」肖像権侵害事件】では、実在の人物をモデルにした漫画で薬物の常習や暴力行為が描写された結果、モデル本人が名誉棄損を訴えたものですが、「ちょっと調べたらフィクションだとわかるようなことでは名誉棄損とはならないが、モデル側がこれらの描写によって精神的苦痛を与えられた(名誉感情の侵害)」としてモデル側が勝っています。

※2:名誉棄損について

話が逸れました。

なんにせよ公式からNGを出されたところで、法を犯すリスクよりも二次創作を優先してきた人たちがすっぱり辞められるのか、という疑問が生まれるところですが、そこは置いといて。

公式から隠れることは現実的に実現可能か


結論→ほぼ無効。二次創作を通して交流したい人にとって『公式から隠れる』ことは不可能に近い。

私が出来てしまう検索方法を公式が真似できないとは到底思えないので、ネットに流してしまったからにはいつかどこかで見つかってしまうものと考えて行動しなければならないと考えます。

①どのように隠れるのか(対策)

>Pixivなら「R-18タグ&検索避け」
>Twitterなら「鍵アカウントかプライベッターを使用」
出典:猿でもわかる二次創作​同人マナー ルールとマナー

>同人アカウントがしていいのはせいぜい「リツイート」と「いいね」
出典:猿でもわかる二次創作​同人マナー SNS

※現在はTwitter→X、リツイート→リポストに名称変更されています。

②検証結果

2000字程度でまとめました。
結論は出したので、不要であれば読み飛ばしてください。

ちなみにこんなまどろっこしい検証をしなくても、Googleレンズがあれば画像からの検索も容易ですし、画像からテキストをコピーすることも簡単です。検索機能が日々進化していることを実感します。

判断基準
・二次創作物のタイトル、サムネイル(キャプション)、画像、本文などが検索結果に表示される場合、対策無効とする。

想定条件
・検索エンジン:GoogleChrome、ソーシャルプラットフォーム:Xを使用する。
・Xではポスト(投稿)、リポスト(再投稿)、検索、フォローなどの機能を使う。
・Pixiv、ぷらいべったー、Privatter+の各アカウントは持たないものとする。
・検索語句は「作品名」「R18 作品名」「同人誌 作品名」「filter:images 作品名」など、サーチしたい情報に合わせて変更する。

Pixiv
R-18タグ→条件付きで有効だが、交流には向かない。
※pixivに投稿した作品が無断転載されている点は考慮しないものとする。

・小説作品:検索エンジンを使用したところ、タイトル、表紙、キャプションが閲覧できた。他のユーザーによってXにシェア(共有)された場合も同様。
・イラスト、漫画作品:検索エンジンの画像検索でセーフサーチをオフにしたところ、作品の閲覧はできなかった。しかし、検索エンジンのフィルタをすべてにしたところ、タイトルとキャプションの一部が確認できた。Xにシェア(共有)されると、作品はpixivロゴに置き換わり、タイトルとキャプションのみ閲覧できた。
・条件とは、作品の公開範囲をマイピク限定にすること。ただし、マイピクが存在する場合、悪意ある拡散(スクリーンショットやコピペで作品を無断転載されるなど)をされてしまう可能性がある。フォロー許可の基準次第では有効にも無効にもなる。公開範囲を公開⇔マイピク限定を繰り返す場合は、他のユーザーによってXへシェア(共有)される可能性があるので、無効と判断。

検索避け→無効。
※検索避けとは主に(1)公式が使うキーワードや公式名を冠するタグは使用しない(2)文字と文字の間に記号を挟んだり、文字列を部分的に変更する伏せ字や、英字や絵文字などの略称を使うことを指す。

・小説作品:検索エンジンを使用したところ、タグに作品名の一部が含まれていると、R-18タグと同様の結果になった。
・検索避けをした作品をブックマークした人や公開中のフォロワーを辿っていけば検索可能。
・検索避けの伏せ字や絵文字について、小説やイラストで対応表を公開しているユーザーもいて、結果的に検索の助けになっている。

X
鍵アカウント→条件付きで有効だが、交流には向かない。

・条件とはXでアカウントを作成後、非公開にした状態で0フォロワーを維持しポスト(投稿)、リポスト(リツイート)、いいねをすること。ただし、このやり方だと交流するという前提を守れないので、有効とは言いがたい。また、【X社の規約】では、投稿物を使用する権利を主張しており、私的利用の範囲を超えてしまうので、法律違反には変わりない。
・フォロワーが存在する場合、悪意ある拡散(スクリーンショットやコピペで作品を無断転載されるなど)をされてしまう可能性がある。
・Togetter(トゥギャッター)ではXの公開ポストを発言者の承認なしに引用できるので、公開⇔非公開を繰り返す場合は無効と判断。

ぷらいべったー(Privatter+)→条件付きで有効だが、交流には向かない。

・前提として、ぷらいべったーでは公開範囲をフォロー限定、相互フォロワー限定、リスト限定などに変更可能で、フォローの方法はXのアカウントを使う方法と独自フォロー設定の二種類がある。
※Privatter+の場合はXのフォロワーに関係なく使えて、メタタグ(<metaname="robots"content="noindex,noarchive"/>)による検索避け設定が可能。
・条件とはぷらいべったーで非公開投稿をすること。ただし、このやり方だと交流するという前提を守れないので、有効とは言いがたい。
・投稿作品は外部サイトへ共有可能なので、タイトルや概要に掲載したテキストが漏れる可能性がある。
・公開範囲をフォロー限定、相互フォロワー限定、リスト限定にすると、検索エンジンからの検索を防げた。
・フォロワーが存在する場合、悪意ある拡散(スクリーンショットの転載など)をされてしまう可能性がある。フォロー許可の基準次第では有効にも無効にもなる。

おまけ
Xでの検索避け→無効。

・トレンドワードで上位表示された際に検索されてしまう場合がある。
・最も検索されたワードが優先的に表示されるため、絵文字や伏せ字が検索のサジェスト欄に表示される場合がある。後述:【呪術廻戦の高専タグ】
・話題のツイートやおすすめに出てくる。リポスト数やインプレッション、いいねの数にかかわらず上位表示されているポストや、検索語句と一見関連性のなさそうなポストが上位表示されている場合がある。
・画像のみの投稿にしても、共通の趣味を持つフォロワーを辿っていけば検索可能。
・検索避けの伏せ字や絵文字について対応表を画像やテキストで公開しているユーザーもいて、結果的に検索の助けになっている。

その他の問題

・Pixiv登録→無料で登録が可能だが、生年月日を設定しなければ、R-18タグが付いた作品をPixiv内で閲覧できない。ただし、名前、性別、年齢などは事実と異なる内容で変更できてしまう。
・Pixiv検索→小説では本文にキャラクター名を入れている場合、タグやキャプションで伏せ字を使っても、Pixiv内で検索可能となり、せっかく検索避けしても自分からバラしてしまうことになる。

他にも公式からの隠れ方について、わかりやすく箇条書きされたものがあったので、共有します。

>ご本人や一般的なファンの見ている所でやってはいけない。
>twitterでは公式アカウントをフォローしたりコメントなどしてはいけない。
>youtubeなどの動画にナマモノ要素のあるコメントをしてはいけない。
>twitterなら鍵垢、pixivならマイピク限定にしなければいけない。
>ナマモノ二次創作を大っぴらにいいねや拡散してはいけない。
>人物名、カップリング名などは検索にヒットしないよう伏せなければいけない。

出典:ナマモノ(nmmn)二次創作の謎ルール

以上のことから、交流しながら公式から隠れることは現実的ではないことがわかりました。

よく聞かれる検索避けも、あえて表記することを推奨する方のnoteがあったので共有します。

ではなぜ、これらのローカルルールが存在するかと言えば、自らの行動を律したり訴訟のリスクを回避するためというよりかは、ルールを破った人を叩いてもいい、という正義を肯定するためではないかと思えてきました。

こんなことを言ってしまうのもなんですが、二次創作者側の都合でどうしても白か黒かで考えたいなら「公式から訴えられたくなければ、ネットを断って交流も諦める」「いっそのこと許可をもらって仕事として公式と関わる」くらいです。

私も棲み分けが大事だと思っていた

棲み分けとは何ぞや、という方向けへの説明です。

>同人用語としての「棲み分け」
>同人用語で、嗜好・解釈・考え方の違う者同士が、お互いの地雷に当たる表現などを踏んで不快な思いをしないよう、活動の場を明確に分けたり隔てたりゾーニングのことである。

ピクシブ百科事典より棲み分け(住み分け)とは

急に話は変わりますが、「政治・宗教・野球の話はするな」というフレーズ、実はまだ起源がはっきりしていません。国会国立図書館のレファレンス事例でも未解決となっています。

要は正義 VS 正義なので、勝った / 負けたや優劣が絡むと争いに発展しやすいという話です。きのこたけのこ戦争もそうです。私はきのこ派。

これらの好みは、善悪の区別をつけられるものではなくどれもが正しいものですが、個人の信念や価値観が異なりやすく、人間関係に感情的な摩擦を生みやすいので、あえてこの話題を選んで話すことのメリットが少ないと言われています。

トラブルに巻き込まれたくなければ棲み分けをするべき論はこのフレーズの意味から来ているものと思われます。


二次創作も同様に正義 VS 正義のぶつかりあいなので、【カップリング論争】は終わらないし【夢小説の主人公は読者(私)か作者の創作キャラか】で荒れるし、【飛影はそんなこと言わない】わけです。

さらに言えば、反対意見を目の当たりにしたとき

「楽しくないから」
「興味がないから」
「話す必要を感じないから」
「誰かを傷つけそうだから」

という気持ちが刺激された結果、【学級会】だったり【お気持ち表明】に発展するように思います。

SNSでの炎上について振り返ってみます。

2019年に【遊☆戯☆王の作者が自分のキャラクターを使って、インスタに政治批判のイラストを投稿した件】が炎上しました。

多くの人は「政治的思想をキャラクターに代弁させたら削除させられた」という部分だけを覚えていると思いますが、実際に問題とされたのは、「売国政権」「独裁政権」といった攻撃的な言葉を使った点です。

政治的思想が悪だから削除に追い込まれたわけではありませんし、それらの考え方や表現を罰する法律もありません。

2024年だと、【ナポリの男たちのファンが反差別主義アンソロジーを作成した件】や【チャンネル登録者15万人超えのASMR配信者が陰謀論発言で炎上した件】がありました。
スマホやパソコンで調べれば、ナポリの男たちとはゲーム実況者であり、政治的な活動には消極的であることはすぐにわかりましたし、ASMR配信者が提唱していた持論を裏付ける学術論文が見つからないので、不確かな情報を拡散している可能性があると判断できます。

私はこれらの騒動も棲み分けで解決すると考えていましたが、やはり限界があることを知りました。

2021年の【呪術廻戦の高専タグ】は、公式と二次創作の棲み分け(検索避け)を目的としたことで起こった炎上です。
実在の高専生(高等専門学校)を名乗る人物が、「Xで高専と検索すると呪術廻戦の二次創作物が出てくる」として配慮を求めたものでした。
しかし、公式から騒動はスルーされ、有志によるタグの再考が求められましたが、高専というワードを検索した時に二次創作物を完全に除去することはできなかったようです。

最近のXではトレンド検索やおすすめから、全く関係のない界隈の二次創作物が流れてくることもあります。フォロワー数、リポストやいいねが活発に行われている、などの理由で表示されやすくなっているものと思いますが、Xの仕様なので止めることはできませんし、発言者に呼びかけて止めさせようとしても、向こうだって良かれと思って投稿していて、お互いに価値観が異なるので難しい話です。

ちょっと身の上話をさせてください


私はXで創作アカウントを複数掛け持ちしていて、基本的には交流メインの雑多垢とそれ以外で区別しています。
pixivとなろうをはしごしつつ、2024年は久々に小説本も出せたし、充実した一年となりました。たくさんお世話になりました。

実は、昨年秋ごろからとある動画配信者グループにどっぷりハマった結果、2024年1月から小説を書いてみようと思い立ったのですが、二次創作ガイドラインはなく、どうやらnmmnというジャンル自体に暗黙の了解が多いことがわかりました。

トラブル回避のためにフォロー数0の壁打ち垢を作成し、自分で考えた独自ルール(※3)をpixivに書いて(※4)、読者の方に守っていただくことをお願いしていました。

※3:どんな内容だったかはリンク先に掲載しておきます。私が考えたローカルルールがあなたの創作活動に水を差していたら大変申し訳なく思います。

※4:pixivに作品以外のものを投稿するなという意見はごもっともとは思いますが、そのような使い方ができてしまうシステムなのでご容赦ください。

ローカルルールへの考え方が変わったきっかけは、この動画配信者グループがFA(ファンアート)に対して寛容なところがあり、nmmnの二次創作が公式と見間違われるタグを付けただの、女体化だので炎上しても、それを動画のネタとして取り上げて「自由にやってくれてかまわない」(※意訳)と発言されていて、「公式側の人間が良いと言うなら良いのでは?」の空気感が広まったからでした。

転載をやめてほしくても、本人の目に入ってほしくなくても、まずネットに投稿するという選択肢を取っている時点で公式からの訴訟リスクはゼロにならないし、私が二次創作をしたいというエゴを許容してもらえる理由にはならないので、いっそ開き直って、いつか何らかの形で還元できるようになれたらそれでいいのかもしれない、と思うようになりました。だいぶぼんやりとしてはいますけれども。

どうしたって相手は他人であり、価値観も許容範囲も違うので、ローカルルールを貫くのは無理があると考えて、最終的に撤回を決めました。

結局のところ、ローカルルールがあることによって、他人をコントロールできないことへのフラストレーションが溜まる一方だし、自分自身の創作活動の幅を狭めて、終わりのない配慮に苦しむだけです。

ただ、この棲み分けの考え方は、私が雑多垢を運用し始めた学生時代から正しいと思い続けてきたものなので、今日からやめようと思って急に実践できるかというと、まだ抵抗があります。

雑多垢でも、たまに二次創作やnmmn関連の注意喚起のようなリポストが流れてきます。

とある女性VTuberのサブ垢で、検索避けの必要性を主張するポストが2024年10月頃に拡散されました。現在は削除済のようですが、リプライをたどると検索避けについての話題だったことがわかる痕跡が残っています。

引用リポストを見ると肯定的な評価であふれていましたし、タイムラインでも「当たり前じゃん」「よく言った!」という意見が多数派を占めていたので、こういったローカルルールは令和になっても因習のように根強く残っていくのだと思います。

とりあえず、段階的に雑多垢では

・【本人周辺B解除】
※Xの仕様が変わってブロックした相手にも自分のポストが貫通するようになったので自衛としての意味を成さなくなりました
・今まで【壁打ちメンション】でしかしてこなかった妄想ポストの垂れ流し
・創作アカウントの統合

を始めているところです。

フォロワーからの反応が意外に良くて驚いたのですが、タイムラインでなんとなく注意を促すような文脈で空リプをされる人もいました。
たまたま時期が被っただけで私のことではなかった可能性もありますが、考え方が合わないと思った時はミュートにしています。

丁寧な言葉で書き連ねられた皮肉っぽいマロ(匿名メッセージ)には反応しないようにし、どうしても返信が必要な連絡はGoogleフォームでメールアドレスの送信をお願いする形態に変えたところ、それらのメッセージは減りました。

(利便性が失われたせいか、感想も減ってちょっとさみしくなったりしました。ウェブボだと絵文字でたくさん応援できるのでそちらもご活用いただけますと嬉しいです。)

今後は相手と交流したい欲が上回った時だけ、状況に応じてローカルルールは守るかもしれませんが、社交辞令のような感覚で使うようにします。

その一方で、2024年から始めたnmmn垢のような、交流ゼロの壁打ちが創作活動に打ち込めて楽しいことに気づいてしまったので、もう少しの間だけ継続できたらいいなと思います。

Xの通知を切って【おだやかTwitter】(※GoogleChromeの拡張機能)を導入したら、フォロワー数やいいねも見えなくなるし、Googleスプレッドシートと連携してポストを自動送信にしたらXを見に行かずに済んで気が楽になりました。ポストへの返信設定も一括で変えたいのですが、良い案が浮かばずたまに手動でやってみるなどしています。

またもや話が逸れました。

このnmmn垢は作品宣伝のためにオープンにした代わりに、自我なしで運用しているものです。成人向け作品が多く、投稿作品の文字数が40万を超えていたこともあって、読者を増やそうにもX向けのゾーニング管理が面倒なので、現状維持という感じです。

Xでオープン垢や鍵垢だろうと自由だし、公式をフォローしようがリプライしようが自由だし、pixivで二次創作を公開しようと大っぴらに拡散しようと自由です。
なぜなら、そういうシステムにしているのは、Xやpixivといったプラットフォーム側なので、それで困るユーザーがいるなら改善を求めて意見を送ればいいだけです。

時々、「あなたのためを思って」忠告してくる人はあなたのやることに対して何か気に入らないことがあって、わがままを通そうとしている場合もあるので、相手にせずに受け流すことで気持ちが楽になることもあります。

私も心ない言葉を投げられたことがあり、当時はうまく対処しきれず創作も交流もすっぱりと止めてアカウントごと削除した過去がありますが、なんだかんだで創作活動自体は好きだったので、現在はジャンル移動を繰り返しながらも、どうにか自分の作品を残せるような環境を作れるようにしています。

今言い返せることがあるとしたら、本当に私のことを思ってくれていたのであれば、私がやりたい行動をやめさせない方向で妥協してくれたら良かったのに、と思います。もっとわがままを言えば、Xにはミュート機能もあるし、pixivでもマイナス検索が使えるので、私以外の何かに興味を持ったり、スルースキルを鍛えてもらえたらと思いました。

私にとって必要なのは、界隈を盛り上げてくれる人と、私の作品を楽しんでくれる人だけだったからです。

以上で言いたいことはほとんど言えたので、残りは蛇足です。

著作権に厳しいと噂されるラブライブ!の話

私もシャンシャンしましたし、まだスクフェスが無印だった時代にタイトルコールの「ブシモ!」を大音量で響かせてしまったことがあります。今は平安名すみれを推しています。大好き。

時系列は、2017年:無許諾商品についてのお知らせ→2019年:【ホワキャン騒動】→2021年:「ラブライブ!」シリーズの不正商品にご注意くださいのお知らせです。

もう結論から入りますが、逮捕者が出たと言うのは事実とはいえ無許諾商品の販売者についてですし、この騒動のさなかに同人作家から公式絵師になった中音ナタ氏に加え、同氏が参加していた非公式オンリーイベントが、2025年も東京ビッグサイトで開催されることを考えれば、ラブライブ!の著作権問題に第三者が介入すべきとは思えません。

2017年5月27日付で無許諾商品についてのお知らせをTwitterで確認できました。※リンク先は機能していませんが、内容は後述します。

原因のひとつと考えられるのが【偽グッズ販売により経営者逮捕のホワイトキャンバス】の件です。

当時のニュースはほとんどリンク切れだったため、ウィキペディアより引用です。

>2019年1月30日、アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の制作会社であるサンライズから「インターネットで模倣品が販売されている」との通報を受け、沼津警察署および静岡県警サイバー犯罪対策課・保安課による強制捜査が行われ、偽造品グッズを販売していたとして、経営者らが商標法違反などで逮捕された[5][6][7]。

>5.^ “「ラブライブ」偽グッズを販売か 東京・秋葉原の店舗経営者ら逮捕=”. 静岡放送. 2019年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年1月31日閲覧。
>6.^ 「ラブライブ偽グッズ横行 容疑で経営者ら逮捕 沼津署など」『静岡新聞アットエス』2019年1月31日。オリジナルの2019年2月1日時点におけるアーカイブ。2019年2月1日閲覧。
>7.^ 古川幸奈「「ラブライブ!」偽グッズを所持 商標法違反容疑で2人逮捕」『毎日新聞』2019年2月1日。オリジナルの2019年2月1日時点におけるアーカイブ。2019年2月1日閲覧。

出典:ウィキペディア(Wikipedia)よりホワイトキャンバス

それから2年後の2021年2月5日になって改めて、リンク先では次のようなお知らせが掲載されました。先にリンクを掲載した無許諾商品のお知らせと文言が似ています。

>公式イラストの無断転用、自筆イラストなどにかかわらず、権利者の許諾を得ることなく「ラブライブ!」シリーズのグッズを製造・販売・配布する行為は、著作権を侵害するものです。

>これからも、著作権侵害に対しては厳しく対処し、悪質な侵害については刑事告訴をも辞さない方針を継続していきます。
>ファンの皆さまにおかれましては、このような著作権を侵害するグッズをお手にとることのないよう、お願い致します。

出典:ラブライブ!ポータルサイトより「ラブライブ!」シリーズの不正商品にご注意ください

一方で、同人作家の中音ナタ氏がラブライブ!の公式絵師になったのは2018年です。2017年5月に無許諾商品のお知らせが出されましたが、同年9月に同人誌を発行されています。

著作権侵害に対しては厳しく対処するというのであれば、同人誌も当然取り締まられるものと考えましたが、この騒動の期間に同人作家から公式絵師になった中音ナタ氏の件があるので、例外はあると考えたほうが良さそうです。

著作権に厳しいと噂される任天堂の話

任天堂は著作権に厳しいという印象を持たれていますが、これは根拠のないデマや噂がほとんどです。

著作権に厳しいことが事実なら、2018年に「NewスーパーマリオブラザーズUデラックス」の発表で流行した「クッパ姫」は根絶やしにされているはずです。中にはふたなりといった、いわゆる男女両性具有の成人向けファンアートも存在していましたが、任天堂がそれらを規制した話は聞きません。

クッパ姫の流行は私の性癖に良い意味で爪痕を残しました。


おそらく、著作権に厳しいという誤解は刑事事件として同人作家が逮捕された「ポケモン同人誌事件」が理由ではないかと思われますが、当時の裁判の資料が残っていないので、正しく理解できている方も少ないと思われます。
なぜ民事裁判ではなく刑事事件に発展したかというと、同人活動が暴力団による裏金作りだと思われていたからだそうです。

ポケモン同人誌事件については、有志によるブログが公開されています。
なんと、「問題となった同人誌を読んでみた」感想が2024年になって更新されていますので、ぜひご一読をおすすめします。

ポケモン同人誌事件
>略式起訴で正式な裁判になっておらず、裁判記録が残っていないため、正確な情報が把握しづらい事例

>「2007/2008マンガ論争勃発」七四ページ「1999年ポケモン同人誌摘発事件」に、京都府警から事情聴取を受けた「ガタケット」代表、坂田文彦氏のインタビューが載っていますが、それによると「京都府警は暴力団の裏金作りだと思っていたらしい」とのこと。この誤解が一因となり「事前警告なくいきなり逮捕」に繋がった可能性が高いと思われます。

出典:たまさかnote(旧「今日の言わせれ」)


任天堂と著作権が絡む出来事は、令和に入ってから、以下のような内容が確認できました。

(1)任天堂が動いた例

・海外のファンがポケモンを銃で撃つFPS映像をTwitterやYouTubeに投稿したが、任天堂が著作権の申立を行って削除された件→【Pokémon First Person Shooter】

・2024年9月19日に株式会社ポケットペアの「Palworld / パルワールド」が任天堂より特許権侵害訴訟を提起された件

この訴訟でよく勘違いされるのは著作権侵害ではなく、特許権侵害である点です。

パルワールドにプレイヤーキャラクターの操作挙動の仕様変更に関するアップデートがありました。

===
▼プレイヤーの挙動の仕様変更
・手持ちのパルを召喚する際にプレイヤーの付近に召喚されるように変更しました
===

これは、訴訟対象の特許権の以下の構成要件を回避するための仕様変更と思われます。仕様変更後の特許権非侵害が認められれば、ゲームの差止めと仕様変更以後の損害賠償を免れることができます。

出典:Xより @IP_Arashida

単にビジュアルが似ているだけでは著作権侵害を立証することは難しいです。著作権侵害については後述します。

(2)任天堂が動かなかった例

・2024年、大川ぶくぶ氏がXで「スプラトゥーン」のイイダのイラストを投稿した際に、原作よりも肌の色が明るいことに対して海外ユーザーから黒人差別だと指摘され、削除・謝罪した件

・2024年、ベネッセコーポレーションが進研ゼミの一部の受講者に送付した冊子内に「ポケットモンスター」に酷似したキャラクターを掲載したことに対して謝罪した件

>ベネッセHDの広報部は12月6日、J-CASTニュースの取材に、「カラーを選ぼう!キャンペーン」を案内するための子ども向けの冊子と漫画に無許可で「ポケモン」のキャラクターを掲載したことを認めた。

出典:J-CASTニュース

二次創作に著作権は存在するか


判例をもとにしての結論になりますが、二次創作にも著作権は存在すると言えます。

まずは著作権について確認していきます。
著作権とは、作品を保護する権利ですが、キャラクターに対しては適用されません。
キャラクターとは、性格や見た目を組み合わせた抽象的な概念のことを指します。

例えば、キティちゃんは次のような設定があります。
・白い毛並みの猫の女の子
・頭にリボンをしている

もしもこの組み合わせに著作権が適用されたとしたら、1974年に生まれたキティちゃんは、1970年に登場した「おしゃれキャット」のマリーちゃんと同様の設定のため、著作権侵害をしているという主張が通ってしまいます。

「キャラクターに著作権は存在しない」という話はここから来ているのですが、著作権が存在しない=フリー素材という意味ではありませんのでご注意ください。

ここで実際の判例を見ていきます。
キャッチ―な言葉で表すなら、BLエロ同人作家 VS エロ同人違法アップロードサイトの裁判で、同人作家側が勝訴した件です。

リンク先は上記の事件について扱っていますが、どちらも事件番号や裁判所が違うのでそれぞれ共有します。

東京地方裁判所で行われたもの
【平成30(ワ)39343】

知的財産高等裁判所で行われたもの
【令和2(ネ)10018】

かしこまった資料におそ松さんや刀剣乱舞とか、堂々とち〇こなんて書かれると興奮します。

この裁判で注目されたのは、同人誌に著作権が認められた判例のひとつという点であり、訴えたのは原作者ではないので注意が必要です。

違法アップロード側の主張としては

・同人誌はそもそもキャラをパクって原作にないエロシーンを書いている。裁判所が著作権侵害を認めたら、違法な同人誌で金儲けしていいことになるのでは?

→原作のパクリと判断されるような証拠に妥当性が認められなかったので、著作権侵害とは言えない。同人誌が違法だとわかっていながら無断転載していた違法アップロードサイトが悪い。

というもので、あくまでパクリと言えるほどの証拠が出せなかっただけなので、もしかすると「同人作家がアニメ◯話の◯分◯秒のカットを使って、キャラクターの容姿や服装、線画から塗り方まで同一になるようトレースし、同人誌の表紙に描いた」証拠と、類似性を主張出来ていれば違法アップロードサイト側が勝てたかもしれません。

他にも、同人と著作権をめぐる裁判で有名なものとして、ときメモのエロ同人アニメ屋 VS コナミの判例があります。こちらはコナミ側が勝ちました。

【平成10(ワ)15575】

> 確かに、本件ビデオにおいては、藤崎詩織の名前が用いられていないが、①本件ビデオのパッケージにおける女子高校生の図柄と、本件ゲームソフトのパッケージにおける藤崎詩織の図柄とを対比すると、前記認定した共通の類似点がある他、さらに、後髪を向かって左側になびかせている点、首をやや左側に傾けている点、頭頂部に極く短い髪を描いている点、髪の毛に白色のハイライトを付けている点など細部に至るまで酷似していること、②本件ビデオのパッケージにおける「どぎまぎイマジネーション」というタイトルの選択、各文字のデザイン及び色彩、青い波形の背景デザインなど、本件ゲームソフトのパッケージにおける各部分と類似していること、③本件ビデオにおいて、「本当の気持ち、告白します。」と表記され、本件ゲームソフトとの関連性を連想させる説明がされていること等の事実から、本件ビデオの購入者は、右ビデオにおける女子高校生を藤崎詩織であると認識するものと解するのが相当である(甲一)。

裁判所ウェブサイトより知的財産 裁判例集 事件番号 平成10(ワ)15575 事件名 著作権侵害差止等請求事件

著作権侵害を証明するにも、「比較したらなんとなく似ている」ではなく、客観的に見て類似点を事細かく説明する必要があることがわかりました。

【赤紙堂】でネット検索すると、どぎまぎイマジネーションを含む成人向け同人アニメのレビューや表紙を取り扱っている個人サイトを確認できたので、どの程度似ているのかが気になった方は調べてみるといいかもしれません。エヴァの綾波レイやナデシコのルリルリでも作ってたようですし、卸価格千円程度とはいえかなり懐は暖まったんじゃないでしょうか。

公式にガイドラインがなかったら、二次創作はしない方がいいのか


この問いに はい / いいえ と白黒つけられる人、世の中にいないのではないでしょうか。公式ですら、明確な線引きをしたがらないと思います。

河野冬樹氏の話がわかりやすかったので、共有します。

>二次創作問題をデリケートにしてるのが、著者からしたら受け入れがたいような二次創作ができたときは止められる権利は留保しとかなきゃいけないことで、公式にOKと言ってしまうと、広く許諾した、等とのちに言われ、のちに差止が認められなくなってしまうおそれがある。

出典:Xより @kawano_lawyer


公式が言うことをころころ変えるとトラブルになるので、あえて二次創作について触らない選択を取る方が賢いこともあります。

グレーゾーンにするもしないも公式の考え方次第ですし、ガイドラインがあろうがなかろうが、見逃されているから合法 / 歓迎 / 許可というわけではありませんので、自己責任で楽しんでいこうと思いました。

二次創作をしたいだけなら壁打ちが気楽だし、他の二次創作者と交流もしたいし感想もほしいのであれば、価値観の違いによる衝突は多少覚悟した方がいいように思います。ローカルルール関連の炎上は女性ユーザーの多いジャンルでよく見かける印象でした。

私は公式側の人間ではないし、たらればの話で堂々巡りになりそうなので、これ以上は追及しないことにします。

猿でもわかる同人マナーの突っ込みどころを挙げる

>一次創作は呼び名は「同人誌」ですが、権利は全て作者が持っています。何故ならオリジナルだから。
>自分で考えたキャラクター、自分で考えた話を冊子にしたもの、それが一次創作の同人誌です。
>特に問題はありません。マナーは守らねばなりませんが存分に「販売」して頂いて結構です。貴方だけの作品ですから。

出典:猿でもわかる同人マナーより基礎知識

上記の引用を一次創作者がそのまま鵜呑みにしてしまっては不利益を被る箇所があったので説明を足しておこうと思います。

同人活動で利益が出る場合は副業にあたるので、公務員であれば禁止ですし、年間で20万円以上の利益を得た場合は確定申告が必要です。詳しくは【国税庁 確定申告】で検索をお願いします。

最後に。

二次創作には基本的に清く正しい活動は存在しません。

× 訴えられなければ犯罪ではない。
× 全年齢向けの二次創作物のみ公開しているので、犯罪ではない。
× 無料で二次創作物を公開しているので、犯罪ではない。
× ガイドラインがあるから訴えられない。
× 何も言ってこないから許されている。
× 同人ルールやマナーを守っているから迷惑をかけたことにはならない。

逆に公式が許可する二次創作とは、漫画や小説を原作としたアニメや【アニオリ展開】、公式が出版するアンソロジーくらいではないでしょうか。

それから、「迷惑かどうか」の線引きは公式にしかわかりません。
違法であるか否か、そもそも保留にするかの権利は公式にあります。

真面目に同人マナーを守ってきた人が割を食うのはおかしいと異議を唱える前に、一度はその不毛なルールやマナーの在り方を更新していくことが求められるし、ソースのない情報に振り回されないようにしたり、拡散しないことが私にできる最低限の配慮ではないかと思います。

同人ルールやマナーを盾に相手をコントロールせず、二次創作に関する責任を公式になすりつけないような活動を心がけていきたいです。

以上になります。