ブルーピリオドを語る試み-あらすじ編-【愛読書紹介】
「俺はピカソの絵のよさがわかんないから」
「それが一番スゴイとされる美術のことは理解できない」
「よくわかんない」
「俺でも書けそうじゃない?」
こんばんは、喰奴です。
今日は愛読書の紹介。
タイトルにもある通り「ブルーピリオド」
この作品は「美術」にまつわる漫画だ。
高校生2年生から美術に興味を持った主人公が、東京大学より入学するのが難しいとされる、東京藝術大学の合格を目指す。
「美術」とは視ること、それを表現すること。
そこには当然作者の人間性が存在する。
作品は作者が視たモノしか描けない。
ブルーピリオドは「美術」の話であり、「人間」の話でもある。
また、作中の美術に関する台詞は他の言葉で言い換えることもできる。
例えば
「誰かに否定されたからってダメな絵になるわけじゃねーだろ」
「絵」は「人生」に入れ替えても成立する。
絵を描いた経験が皆無でも全く関係なく楽しめる。
共感できる箇所がとても多い。
好きな台詞であふれている作品だ。
この作品の良さを語るにあたって、読んだことの無い人にも是非読んで欲しいため、簡単な1話から主人公が東京藝術大学を目指すに至るあらすじを紹介する。
主人公である矢口八虎は物語冒頭から、
学年4位の学力、不良っぽい友達と渋谷で夜遊び、喫煙描写と優等生であり不良である描写される。
友人と馬鹿騒ぎしても、馬鹿になり切れないが、楽しくない訳じゃない。
友達との夜遊びのスポーツバーでのサッカー観戦で試合状況に一喜一憂した際に「この感動は俺の感動じゃない」と気づく。
「他人の努力の結果で酒を飲むなよ、お前のことじゃないだろ」
何不自由なさそうな矢口。タバコを忘れ、取りに戻った美術室で美術部の森先輩と、森先輩の書いた絵に出会う。
八虎は森先輩の絵に惹かれ、森先輩の才能を賞賛するが、森先輩は語った。
「才能なんかないよ、絵のこと考えてる時間が他の人より多いだけ」
八虎は夜遊びでオールした後の渋谷の早朝の景色が青く見えることを森先輩に恥ずかしそうに語った。
森先輩は「あなたが青く見えるならりんごもうさぎの体も青くていいんだよ」と返答する。
八虎は少し嬉しそうに「うん…ありがとうございます」と言葉を返した。
美術の授業で「あなたの好きな風景」で八虎は青い渋谷の早朝の景色を描いた。少しでも自分がみたあの景色に近づくように色遣い、構図に注意しながら丁寧に描いた。
渋谷の景色はゴミ臭いかもしれない。そもそもビルは青くない。
それも含めて好きなんだ。
「好きなものを好きっていうのは怖いんだな…」
描いた作品が展示される。
「これ綺麗だね」
八虎の絵が美術部員の鮎川竜二の目に留まる。
「もしかして早朝か?これ」
夜遊びしてた友達が気づく。なんとなく伝わったようだ。
「八虎にはこんなふーに見えてんだ」
八虎は目に涙を浮かべる。
「その時生まれて初めてちゃんと会話できた気がした」
周囲の人間が欲しい言葉を適切に与える、空気の読み過ぎてしまう八虎が初めて美術という言語で他者とコミュニケーションを行った。
言葉でのやり取りでない、自分の感じた景色を自分で描き、自分の作品で他者と会話をした瞬間だ。自分を理解してもらえた気持ちになったと思う。
「美術は文字じゃない言語だから」
「遊びも勉強も手を抜かずにやってきたのになに一つ実感が得られなくて」
「でも絵を描いてそれが人に伝わって」
「初めて人と話せた気がした」
絵に興味を持ち、絵を描き始める八虎。
絵の巧緻を決定するものが才能でないのなら、やりようがあるのか?
そもそも絵を描くことは趣味で十分ではないか?
八虎は美術部の佐伯先生の元を訪れる。
「食べていける保証がないなら美大に行くメリットって何ですか?」
佐伯先生「好きなことは趣味でいいは大人の発想だと思いますよ」
「頑張れない子は好きなことがない子でしたよ」
「美大って俺は入れると思います…?」
「分かりません!でも好きなことをする努力家は最強なんですよ!」
「俺、明日入部届持ってきます」
あの青い絵を描くまでは生きてる実感がなかった。
「俺の心臓は今動き出したみたいだ」
実質倍率200倍東京藝術大学入学試験まで
あと650日
以上があらすじだ。
1話の完成度が凄まじいので興味を持った方は、1話だけでも読んでみて欲しい。
今日はここまで。
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