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香川県 映えスポットと浦島太郎伝説
にっぽんのウユニ塩湖 父母ヶ浜(ちちぶがはま)
SNSで有名になった南米のウユニ塩湖。桃色フラミンゴの群れや美しい夕焼けが鏡のような湖面に映し出されるその絶景には憧れるが、南米ボリビア・アンデス山脈の一部で標高3700m(富士山級!)に位置する、と聞いて諦める人は多いだろう。ところが、日本にも同じような景色が撮影できる所があると聞けば、行ってみようと思うのは人情で。
「兼高かおる世界の旅」に憧れつつ日本国内を小さく冒険するという私にはとてもふさわしい気がする。(笑)
特に映える写真を撮ろうという訳でもないのだが、せっかくなので、できるだけ綺麗な景色に出会いたいと思い、三豊市観光交流局のページにアクセス。絶景を狙える日時が、ちゃんとカレンダーになっていて便利! 基本は、干潮✖夕暮れ時 風のない「瀬戸の夕凪」がベストだそう。
カレンダー通りに日程を組み、日没前に海岸に到着。冬場で平日ということもあり、広い駐車場は余裕。休日や夏場はきっといっぱいになるんだろうなぁ…空いてて良かった(^^♪
それでも、カップルや若者のグループ、海外からの家族連れなどまあまあな人数の観光客が居て、やっぱり皆さん、映え写真を撮るのに試行錯誤(≧◇≦)
地元のボランティアと思しき揃いの青い上っ張りを着たおじさま方にアドバイスをもらいながら、並んでV字バランスしてみたり、傘を掲げたり、息を合わせてジャンプしたり。けっこう素敵な写真が撮れている様子で、あちこちでカメラを覗いて歓声があがる。
礼儀正しく「ありがとうございました」と頭を下げる若者たち。「もっとこっちで撮ったらええ」「ポーズしてみ」と嬉々としてアドバイスする青いおじさま方。そんな交流を眺めつつ、ほっこり😊
あいにく雲に隠れて残念ながら夕陽は拝めなかったが、鏡のような潮だまりには人影がくっきり映り、空や雲の美しさに、私もついついシャッターを押しまくってしまった。
スマホで上手に絶景フォトが撮れる方法を書いた看板もあって、素人でもそれなりの写真は撮れそう。トップの写真👆は、まぁうまく撮れたかな?
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そして私が気になったのは、こちらの看板。
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何と読む? 紫雲出山
紫立ちたる雲の出づる山…しうでやま、と読みます。
香川県三豊市、荘内半島の瀬戸内寄りにある標高352mの山で、山頂は瀬戸内海を一望できる、こちらも絶景スポット。展望台の案内板によれば、愛媛県四国中央市~石鎚山~燧(ひうち)灘~伊吹島(イリコが有名)~瀬戸大橋~粟島(漂流郵便局がある)・志々島など360度の眺望が望める。
実はこの《紫の雲》とは、浦島太郎が玉手箱を開けた時の煙のこと。白い煙が夕陽に映えて紫の雲となりこの山にかかったのだとか。この荘内半島から粟島・志々島辺り一帯は、総じて昔から《浦島》と呼ばれていて、浦島太郎が生まれた里”生里(なまり)"や玉手箱を開けた”箱”、太郎が竜宮から宝物を積んで帰った"積"、老人になった太郎が余生を過ごした”仁老浜”など、伝説に因んだ地名が数多くある。
山頂から美しい瀬戸内の島々のパノラマを眺めていると、本当に竜宮城への扉が開きそうな気分になってくる。
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紫雲出山は、1950年代に遺跡が発見され、弥生時代中期の高地性集落として今現在も発掘調査が続いている。近年になって竪穴式住居も発見され、2019年には国指定の史跡となっている。
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この住居跡の横にはカフェを併設した紫雲出山遺跡館があり、一休みできる。スタッフの女性の方に「今度は桜の時においでなさいね」とお声がけ頂いた。自生の山桜も美しいこの山は、その時期あまりにも大勢の観光客が訪れるため、私が車を停めた山頂駐車場は交通規制があり、入山には予約が必要。もしくは、ふもとから徒歩で登るか…駐車場から展望台まででも、そこそこ頑張って歩いた私。ムリムリ(>_<)
ふもとから山頂駐車場までの道は、くねくねと曲がり道幅は狭い。対向車が来たらどうしようか、とドキドキしながら運転したのだが、幸いにすれ違いは2回ほど。冬の平日、午前中なら空いてます。
浦島伝説スポットをもう少し
実は今回の旅は、浦島太郎伝説を調べていた時に、荘内半島に父母ヶ浜があると知って思いついた計画。なのでもう少し、浦島太郎を訪ねてみよう。
紫雲出山から東側の海岸へ降りると、備後灘・備讃瀬戸に面する”箱”の集落「箱浦ビジターハウス」がある。そこには…いました、いました!
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案内板には【常世亀】と記され、「永久不変の象徴であり、私たちの時間、願い、美しさをすべて内包しています。亀が見つめる方角には竜宮があるとされ、今にも泳ぎだしそうです。」との解説が。写真左手の海辺には、《浦島太郎のお墓》もある。
しばし伝説の世界に想いを馳せる。
とは言え、お腹は空いてくるのでランチを求めて車を走らせていると、おすすめグルメで見た記憶のある、にがり工場が目に留まり、美味しいお食事にありつけた。観光交流局さんに感謝。
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欲張ってもうひと遊び 鮎返りの滝
紫雲出山遺跡館で親切なスタッフさんから頂いた《香川早わかりマップ》を広げて、雨が降り出す前に ( 帰りの高速道路が雨だと不安で(;^_^A),
もう一か所、どこかに行けないかと探してみる。遠いかなぁ、と思いつつ、道の駅からすぐ、というのも分かって【鮎返りの滝】にチャレンジ。戸川ダム公園の道の駅【たからだの里さいた】で、お店の方に詳しい場所をお聞きして滝に向かう。
車道から財田川に一歩降りると、空気が変わりマイナスイオンたっぷり。川沿いを少し歩けば、水流の音に導かれ、すぐに滝つぼに。
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道の駅でしこたま買い物をして、さあ、帰ろう、という段になって、《袖を引かれる》感覚が沸き起こる。「帰ってしまうの? 寂しいなあ。」と土地に言われた気がして。私の中の血が、半分四国人(愛媛だけど)だから? それとも浦島伝説の余韻かな?
「また来るね」とつぶやきつつ、降り出しそうな空を見上げて帰りのハンドルを握った。