「富山で休もう。」 山と海と温泉と
北陸デスティネーションキャンペーン(北陸DC)
年始早々に地震で被害を受けた能登半島。しばらくは遠慮した方が良いのでは、という気持ちがあった。先月は瀬戸内の【多島美】…。ふと、駅貼りポスターの【多様美】の文字が目に飛び込む。
この北陸DCの謳い文句が「本日、多様美。HOKURIKU」である。《美観・美食・美湯・美技・美心。日本の美は、北陸にあり。》の見出しと共に、誘い込まれるような写真が並び。もう遊びに行っても良いのなら、と、今回は富山県・氷見に決めた。
以前、友人たちを巻き込んで、意気込んで訪れたものの、急な呼び出しで宿に着いて早々に、独りとんぼ返りした地である。後日、友人たちから《きときとの魚料理》の話を聞かされ、いつか必ずリベンジしよう!と心に決めていた。氷見は、能登半島の東側の付け根のあたり。地震の痛手も、まだ少なかったかな、そうだといいな、と思いつつ。
【べるもんた】に乗って
氷見へのアクセスは、JR高岡駅から氷見線で30分 高岡駅は、もとJRの《あいの風富山鉄道》も同じようにホームが並んでいて、気を付けないと迷ってしまう。私も何度も駅員さんに確かめて、目的のホームに辿り着いた。下調べで見つけた【べるもんた号】の予約が取れ、うきうきと列車を待つ。
正式名称は《ベル・モンターニュ・エ・メール》
フランス語で「美しい山と海」~通称:べるもんた、って海はどこ行った!?
座席は、海沿い側は、大きな車窓に向かって座るカウンター式の横並び。あいにく海側の席は売り切れで、反対側の4人掛けBOX席の通路寄りを予約していた。間に小さな折り畳み式のテーブルがあるのだが、かなり狭い💦 車内の食事も予約できるのだが、宿の晩ご飯を想ってグッと我慢したのに…
なかなか発車する様子がなく、車内をウロウロしているうちに、当日、車内でも注文出来ると分かり、誘惑に負けてしまった。(笑)
車内を見回すと、沿線の伝統工芸《井波彫刻》の衝立や《高岡銅器》をイメージした銅箔をあしらった吊り革、《庄川挽物木地》の木工皿や《越中三助焼き》の急須と湯飲みなど、逸品が展示してあり、それらを見るのも愉しい。車両の中程には、乗車記念のメモ帳とシールが置いてあり、べるもんたの表紙のメモ帳を戴く。
高岡駅で乗り込んだ時は、もう前駅からの乗客でかなり席も埋まっていたが、私の隣は空いているのかな、と思っていたら、しばらくしてから小さな男の子を抱っこしたお父さんが乗って来られ、私にすまなそうに奥の席に座った。まだ小学校にも上がってないくらいの年頃で、電車が大好き❣ なんだろうなという感じ。あまりに狭い座席なので、テーブルを拡げるのが申し訳なく、急いで食べてテーブルを畳み、「ごめんね、狭かったでしょう」と謝ると、かえってお父さんが恐縮されて、「あ、いえ私たちはもう降りますので。ゆっくり座って下さい」と途中駅でそそくさと降りてしまわれ…恐らく、乗車記念のメモ帳やシールに気付かずに行ってしまわれたようだった。思わず追いかけてシールを渡そうか、とも思ったが、うっかり降りて乗り損ねてしまうと、次の電車はたぶん一時間近く待たないと来ないだろうなぁ、と断念。もっと早くに教えてあげれば良かった、と後悔。
肝心の富山湾の景色は、雨模様のお天気のため、立山は望めず。白状すると、前回、氷見を訪れた時は、ここから見える立山は【蜃気楼】なのかと勘違いしていた…ホントに見えるのね(;^_^A
(余談になるが【蜃気楼】が見えるのは、富山県東部の魚津の沿岸。そして、見られるのは気象条件が揃った稀な日に限られる)
聞けば、昔、いつも雪を湛えている立山を見た地元の人が雪のことを《氷》と言っていたのではないかという。それで《氷見》ね。知らんけど( ´∀` )
それでも眼前に広がる一面の海と、すし職人さんが乗っていること、雰囲気の良い列車の装飾や、加えて氷見からガイドの方(役所の人だったかな?)のあったかい観光案内など、短い時間だが富山の美観・美技・美食・美心がぎゅっと詰まっていた。そして、美湯を目指して氷見温泉の宿に向かう。
温泉宿で休もう
氷見駅に着くと、宿のバスが迎えに来てくれていた。しばしお待ち頂いて、列車内のガイドさんが「絶対見て」とおっしゃっていた駅の屋根瓦を撮影。
記事のトップ画像がそれ。バスの運転手さんは、「鯉ですか、鯛ですか、と言う方、たい焼きですか、とおっしゃる方もいます。名古屋から来られた方は、とーぜん、鯱!と」と笑わせて下さる。もちろん正解は【氷見の寒ブリ】、鰤である。
宿に向かう道中、忍者ハットリくんを発見。漫画家の藤子不二雄Aさんは、氷見市の出身だそうだ。ちなみに藤子・F・不二雄さんは、隣の高岡出身。
件の友人たちから散々聞かされた氷見の美味いもんが集まっている【ひみ番屋街】、戦国時代の城跡【阿尾城跡】などのお話を聞きつつ、宿に到着。
ロビーに入ると、品の良いお香の香りが。この宿にして正解だったと、ほっとする。お部屋も程よい広さで快適。
お部屋からはしっかり富山湾が一望できる。
ゆ~っくりとお湯に浸かり、身体も心も癒された。のだが、しっかりとシャワーで流さないと、塩分を含んだお湯なので、上がった後、かゆいかゆい(;^_^A
温泉の後は、悲願の(❕笑)晩ご飯。数年越しの氷見のお魚料理に舌鼓をうつ。チェックイン時に〈特別料理〉を勧められ、日本酒を戴く気満々だったこともあり、お願いしていたら、出てきてびっくり!
桶いっぱいに載ったカニ身は、案内の写真には無くて、私は大好物の蟹みそだけかと勘違いしていた。通常のお料理も食べつつ、これだけの量のカニを私一人で食べられるのか!?……平らげました(笑)
冷静に考えたら、蟹みそだけの値段にしたら、確かにめちゃ高かった。でも私の頭には、「蟹みそと日本酒、最高!」ということしかなく、べるもんたで地酒をガマンしたこともあって、勧められるままに注文してました(≧◇≦)
これだけのズワイガニを独り占めして食べれたのは幸福、口福。
でもさすがにラストのご飯は、握り飯にしてもらって持ち帰りましたとさ。
ほんとうにワタシは欲張りです
念願だった氷見のお料理を満喫出来て、充分のはずなのに、、、富山県の地図とにらめっこしているうちに、やっぱり立山黒部アルペンルートにも行きたくなり、調べたら、トロリーバスは今年が最期。気付けば立山~黒部湖の往復切符をポチっと予約していた。
さらに予定していた日程の前乗りができるとわかり、それならば、と宇奈月温泉にも泊まろうかと(^_^;)
温泉でゆっくりして、「富山で休もう。」のはずが、かなりの強行軍になってしまった。そもそもの目的地は氷見だったので、こちらは、写真をつらつらと並べておくに留める。
私がトロッコ電車に乗った日と、アルペンルートを辿ったのは別の日。黒部峡谷の玄関口である宇奈月温泉と、アルペンルートの入口の立山は、それぞれが別のアプローチであったのが、来年、【黒部宇奈月キャニオンルート】が開通することで、一つにつながるらしい。本来であれば、今年2024年に完成予定だったのが、地震で遅れている。ダム発電所建設のために造られたトンネルや鉄道が、またも観光用として一般に開かれ、これまで見たこともない景色をまた新たに楽しめるようになるのだ。ツアーへの予約が必須で、きっと最初は予約が殺到して取れないだろうなあ。
そして、憧れの【雪の大谷】。どうやって行けば良いのか、知らなかったが、今回で分かった。4月~GW頃に、室堂平から行く。立山黒部アルペンルートは、乗るルートが決まっていてケーブルカーなどはどれも大変混んでいる。しかも団体客が多く、時にそちらが優先されたりもするので、ツアーで行くのが楽チンだ。「この便に乗れるかな」という不安を抱えつつ、立ったまま列に並んでいるのが、かなりツライ。今度ここに行く時は、旅行会社のパンフレットで申し込もうと思う。
先月の文末に「次からは、欲張らずにもっと余裕をもって旅しよう」と書いているのを見て失笑。
帰りの北陸新幹線でグランクラスを取ったのは正解だった。まるでマッサージチェアのような重厚な座席で、思いっきりリクライニングして身体を休めることができた。ああ、疲れた~。
令和6年 10月の旅。
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