#13 はじめまして、Joana【前編】
ドイツ3日目。
この日はミズノの友人・Joana(たぶんお名前はジョアナ、違ったらごめんなさい)に街案内をしてもらうことになっていた。
ミュンスター駅でJoanaと待ち合わせ。
Joanaを乗せた電車が遅延していたため、改札外のベンチに座っていたら、品の良い優しげなドイツ人マダムが声をかけてきた。
短めのグレイヘアがたおやかなマダムは、英語で「どこから来たの?旅行?」などと話しかけてくれたので、ミズノも私も「親切な方だな〜」と思っていたが、徐々に様子がおかしいことに気づき始めた。
英語が拙い私でも分かる、明らかにこれは、宗教勧誘を受けているぞ、と。
キリストとか言い出すし、聖書出してくるし、直感が「怪しい」と囁いた。
これ以上勧誘を受けて逃げられなくなる前に、「そろそろ行かなきゃいけないの」と適当に理由をつけてその場を離れた。マダムすみません、私は聖書を枕にして寝るような不届き者です。他をあたってください。
「やばかったね」「ヨーロッパに来てまで宗教勧誘されるの笑う」なんてミズノと話しているうちに、ミズノ、Joanaらしき人物発見。
長いブロンドヘアをなびかせた可愛い女性がやってきた。
今思えば、日本語を一切話さないコミュニケーションはこの日がはじめてだった。ミズノがJoanaとの再会を喜び、今回の旅行についてなどなど話していたが、話の6割は理解できず、必死にリスニングをしていた。何か話を振られても、一言二言返すので精一杯だった。
そんな私にもJoanaは優しくて、簡単な英語を使ってくれたり、多分話すスピードも気遣ってくれていたと思う。
最初に向かったのはヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学。通称ミュンスター大学というドイツの総合大学らしい。
これまた映画に出てきそうな宮殿のような外観で、ここで学べるだけでモチベーションが上がりそうだ。建物内にも入ることができて、留学の気分をほんの少し味わえた。ただ、なぜ大学に連れて行ってくれたのか、それはいまだに謎のままだ。