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斎藤元彦知事と橋本慧悟衆議院議員
橋本慧悟氏は、兵庫県議会議員だったが、2024年10月の衆議院選挙に出馬した。選挙区は、西村康稔氏と同じ、兵庫9区である。西村康稔氏は、自民党で6選を果たしていたが、2024年の選挙では、党の公認を得られず、不正な選挙資金操作・脱税の疑惑をかけられて、逆風の中の出馬だった。対して、立憲民主党から立候補した橋本慧悟氏は、長年の西村康稔氏の宿敵・元明石市長泉房穂氏の「一番弟子」を自他認しており、泉房穂氏は、積極的にテレビ・ラジオ番組に出演して、全国的に知名度を広げつつあった。ところが、泉房穂氏は、橋本慧悟氏の応援演説を、一切、しなかった。しかも、泉房穂氏自ら後継に選び、橋本慧悟氏とともに市民派として戦って当選した、現明石市長丸谷聡子氏が、西村康稔氏の応援演説に立った。新人の橋本慧悟氏にとって、これ以上ない、逆風である。結果、案の定、西村康稔氏が、兵庫9区のうち、淡路島の3市で、圧倒的な得票数で、当選した。しかし、橋本慧悟氏も、兵庫9区のうちの、明石市では、西村康稔氏を越える得票で、比例復活当選した。こうして、橋本慧悟衆議院議員は、どんな逆風でも、はがれない、岩盤支持層を得て、国会議員としての出発点に立つことができた。
斎藤元彦氏は、兵庫県議会議員全員一致の不信任案可決により、失職した。2024年11月の知事選に、立花孝志氏が、自らの当選を目的とせず、斎藤元彦氏が知事にふさわしいことを証明すると明言して、立候補した。その結果、斎藤元彦氏は、111万票を得て、当選した。立花孝志氏も1万9000票を得た。
この結果には、日本中が驚いた。斎藤元彦氏が再選を果たしたことに、驚いたのではない。立花孝志氏が斎藤元彦氏を当選させたことに、驚いたのである。立花孝志氏は、斎藤元彦氏が失職する原因となった、公益通報者の死を、徹底的に誹謗し中傷し、ふみにじることによって、斎藤元彦氏が知事にふさわしいと111万人に信じさせることに成功した。立花孝志氏は、また、公益通報を正当に評価しようとする、百条委員会の議員たちを、脅迫した。子供連れの人々とともに、議員の自宅の前に立ち、拡声器を使って誹謗し、人々が喝采する様子を、youtubeで配信した。脅迫された議員の一人は、斎藤元彦氏が再選された後、辞職した。立花孝志氏は、選挙が終わった後も、その辞職した人を含め、百条委員会で公益通報を評価する議員たちの脅迫を続けた。県議を辞職した人が亡くなった後も、その人の名誉を毀損する虚偽を配信した。更に、立花孝志氏は、大阪府の自治体の選挙に立候補し、そこでも、亡くなった公益通報者の元西播磨県民局長や、亡くなった元兵庫県議会議員を、誹謗中傷する虚偽を、演説し続けた。さすがに落選したが。
斎藤元彦氏が得た111万票は、衆議院議員橋本慧悟氏が得たような、どんな逆風でも、はがれない、岩盤支持層なのだろうか。あるいは、111万票のうち、どれだけの数が、岩盤支持層なのだろうか。実は、1万9000票だった、のかもしれない。それでも、それが、立花孝志氏が兵庫県に来ないで、斎藤元彦氏が一人で得た票だったならば、次の足掛かりにできたはずである。百条委員会の議員たちが、一人も欠けることなく健在で公益通報を評価したとしても、次の足掛かりにできたはずである。