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兵庫県議会橋本成年議員の質問演説
兵庫県議会
https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/
【2月26日 本会議】
・伊藤 栄介(自由民主党)
・なかい 隆晃(維新の会)
・松尾 智美(公明党)
・橋本 成年(ひょうご県民連合)
・松井 重樹(自由民主党)
○通告書
https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/teireikai/r06/r6_370/shitsumon/ippan0226.html
質問者
橋本 成年(ひょうご県民連合) [発言方式:一問一答]
質問項目
1 阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレードのあり方について
2 職員の安全衛生、特にメンタルヘルスの特別な対策の必要性について
3 被災者が尊厳ある生活を営むための避難所のあり方について
4 都市計画道路中筋伊丹線(中筋工区)の着工に向けて
○YouTubeライブ配信
兵庫県議会 2月定例会ライブ配信(一般質問1日目)
https://www.youtube.com/live/tuhTzz7gTZs?si=q3o-nixK_S7Ron7O
皆さん、こんにちは。兵庫県民連合宝塚市選出橋本成年であります。
質問に入る前に、現在の兵庫県を取り巻く状況について、一言、申し上げたいと思います。
昨年来の、いわゆる文書問題を巡る混乱、知事不信任案の全会一致での可決と知事選挙、その過程で現れた民主主義の危機とも呼ばれる状況、これはまだ、収束を見ておりません。その間、我が会派の先輩議員でありました竹内英明さんを始め、複数の県関係者が命を落とされました。この現実を、我々は、どのように受け止めたら良いのでしょうか。
もちろん、亡くなられた方、お一人、お一人に、それぞれ、御事情があり、一括りに語ることは乱暴に過ぎるかもしれません。しかし、私たちは、一人一人の命を大切にし、その命を輝かせる、そのことを何よりも重要な共通目標としていたのではないのでしょうか。そうであるならば、この現実から、何を受け取り、何をくみとるべきなのか、今こそ、熟慮すべきなのではないでしょうか。
私は、分断の激しい、この現実のなかで、言論の府たる議会が果たす役割は大きいと考えています。政治的立場が異なり、対立する意見を抱えていても、いや、だからこそ、敬意を持って対話をし、そこから意味を見出していくのが、議会人たる私たちの務めではないでしょうか。激しい攻撃は、かたくなな態度をもたらします。そして、真実を見出すための対話を遠ざけてしまうでしょう。私たちは、対話の技術を、対話の精神を、学ばなければなりません。
斎藤知事。おそらく、知事は覚えてらっしゃらないのではないかと思いますが、不信任案決議が全会一致で可決された、あの時、ここ、議場におきまして、本会議散会の後に、私は、知事に、一言、御挨拶をさせていただきました。御苦労様でした、と申し上げました。わたしは、知事不信任の決議案に賛成した者です。しかし、3年の長きにわたり、知事の重責を担われた、人間斎藤元彦さんへの最低限の敬意をお示ししたつもりです。
今回、私は、阪神タイガースオリックスバファローズ優勝記念パレードのあり方を始め、4項目の質問をさせていただきます。当然のことながら、これは知事や職員の皆さんを攻撃するためではありません。同じ人間として信頼関係に基づく対話を行い、可能な限り真実を明らかにしつつ、課題を整理して、より良いあり方を模索する試みであります。それがうまく実を結ぶかどうかは分かりません。しかし、可能な限り誠実に心を込めて取り組むことが、この1年に命を落とされた兵庫県関係者の皆様へのせめてもの弔いになると信じ、一問一答方式で質問に移らせていただきます。
まず最初に、2023年11月に実施されました阪神タイガースオリックスバファローズ優勝記念パレードについて、伺います。昨年の決算特別委員会総括質疑で、我が会派の黒田議員がパレードを公務として行う理由について質問した際、スポーツが地域に大きな活力をもたらすことや、県民と地域の安全確保という答弁があり、パレードの実施を公務で行ったことは、一定、理解をしております。
ただ、パレードの実施については公金を支出しないとしたことから、歳入確保についても実行委員会で担う必要があり、9月22日に県庁内にプロジェクトチームを設置してから11月23日の実施まで、兵庫大阪合わせて6億4000万円もの業務を実質2ヶ月ほどで執行するという、とんでもない負荷が事務局にかかっていたと思われます。そうした中で、事務局において責任ある立場を担ってくださった人材が病を得て命を落とされた、これは大変に重い現実です。
私は政治の道に入る前に宝塚市役所で勤務した地方公務員でした。22年の間には仕事で関わった方を何人か失いました。中には、明らかに業務における精神的な負荷が原因で亡くなられたと、そう受け止めざるを得ない別れもありました。私たち人間は誰一人として完全無欠ではありえません。弱さを抱えた存在であります。だからこそ、その死を悼む時、何がその背景にあったのか、防ぐことはできなかったのか、私たちは可能な限り、実態を把握し教訓を得なければならないと考えます。
以下に、私が今回の実行委員会において課題と考える点を挙げていきます。
まず、パレードを実施する意思決定について、です。
知事の記者会見によりますと、大阪府の吉村知事と、甲子園球場の始球式で出会った際に、パレードの話になり、連携して取り組むことにした、とのことです。
実行委員会を組成してパレードを実施することの意思決定について、記録文書は残しておられますでしょうか。
行政には文書主義の原則があります。
阪神やオリックスが優勝しても、例えば2005年の阪神リーグ優勝時には神戸でパレードを実施しておりません。
やるかやらないかの意思決定は、知事の一存、トップダウンで決められるのならば、そして、文書も残していないとするならば、これは大いに疑問があります。
次に、大阪と神戸の2拠点で2球団による同日開催というのは史上初とのことです。その調整にかかる負担は、相当に大きかったのではないか、という点です。
実行委員会規約には、会長は関西経済連合会の会長、事務局は両府県に置き、それぞれの事務局長を両知事が務める、と明記されています。
聞くところによりますと、契約の相手方が、兵庫県と大阪府で同一でありました、パレード実施に関わる企画運営等業務の委託、これは、それぞれの事務局において契約をしております。
しかしながら、実際の支払い業務になりますと、これは大阪府事務局で1本で処理されています。
意思決定や事務処理が通常の行政事務とは異なり、とても複雑になっていると感じました。
短期決戦でイベントを実施する、それだけでなく、こうした事務処理の過程での調整、これは事務局の大変なご苦労だったのではないかと考えます。
3つ目に、パレードの目的と成果の検証について、です。
実行委員会規約には、パレードの実施により賑いを創出し、都市魅力を発信するとともに、国際博覧会条例条約に基づく大阪関西における2025年日本国際博覧会に向けた気運と取り組みを大いに盛り上げることが、目的として、明記されています。
神戸において45万人もの来場者を迎え、事故なく無事に開催できた、これは、それ自体が大きな成果と言えるでしょう。
しかし、実行委員会の目的である大阪関西万博の気運情勢については達成できたのでしょうか。
事業報告書を見る限り、万博に関しては実行委員会の正式名称として記載が残っているだけで、当日のバナーなどにも万博の文言は見当たりません。スポーツの政治利用ではないか、といった世論の批判を受けて、万博気運の情勢という実行委員会の目的を取り下げたのであれば、事業目的の一部については、達成できなかったということになります。事業目的と照らし合わせた事業の評価はどのように行ったのでしょうか。
これは亡くなられた職員も含め、事務局が何のために働いたのか、ということを検証する作業でもあります。
4つ目に、資金繰りのリスクについて、です。
冒頭に述べましたが、この事業は当初の見込みで約5億円を要すると言われ、その費用はクラウドファンディングと協賛金などで当てるとされました。
しかし、クラウドファンディングは手数料や返礼品の負担も大きく、思ったほどの成果は上がりませんでした。また、兵庫県での協賛金確保についても相当のご苦労があったと聞きます。
また、歳出面においては、期日が決まった短期決戦、そして、安全に配慮した運営、そういうことを実施しようとすると、調達における競争性の確保が難しいこと、警備における人員や資材の増大、さらにはインフレも含めて費用が膨張したのだろうと思われます。
最終的に総額では6億4000万に達しております。
一方、実行委員会規約には、費用負担について、寄付金及び協賛金を以て当てる、との記載しかありません。歳入不足に陥った場合の責任所在はどこにあるのか、実際に資金不足となった場合はどのように処理する方針であったのか、資金繰りリスクへの対処方針が全く不明であります。事務局で会計を預かる立場であれば、その重圧はいかほどであったでしょうか。想像に固くありません。
5つ目に、監査のあり方について、です。
聞くところによりますと、今回のパレードについては、委託量や負担金といった形での公金支出がないことから、県の監査委員による財務監査及び行政監査の対象とはならない、とのことです。
しかし、令和3年3月18日付けの新行政課長及び会計課長連名通知によれば、県が事務局を担う団体の会計事務については、公金と同様に適正な事務の管理及び執行に取り組む必要があると明記されています。
本パレード実行委員会のように県が事務局を担う、しかし公金支出のない、このような団体について、どのようにして適切な事務処理の確保を担保していくのでしょうか。
当然、実行委員会の内部監査は行われたと承知しております。しかし、県の公務として行う以上、単なる任意団体の行政監査とは異なるレベルで適正性を担保する仕組みが必要だと考えます。
知事は、実行委員会において、兵庫県事務局長でありました。事務局を総括する立場です。内部的にも、また、対外的にも、責任を追っていただかなければならない、お立場です。
決算特別委員会では、担当部局から、今後の事業実施の改善や職員負担の軽減につなげていきたい、との答弁をいただいておりますが、私が先ほど申し上げた具体的な課題も踏まえて、今回のパレードをどのように総括しておられるのか、知事のご所見をお伺いします。
(後半)
兵庫県議会橋本成年議員の怒涛の再質問