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「蛇目孫四郎斬刃帖 修羅の悪女」レビュー

 峰隆一郎先生の遺した剣劇小説の一作。かつて老中・松平和泉守を斬り、江戸を離れていた主人公の浪人・蛇目孫四郎が二年後、江戸に舞い戻るところから物語は始まります。

 その矢先、浪人に斬られた町人から不正に関わる帖面を偶然手に入れ、パトロン中野石翁と共に、その出所を探る孫四郎。
 だが、二年前の老中暗殺事件黒幕も、江戸に戻った孫四郎の口封じに動き出していた。
 さらには博徒・白猫の辰蔵一家に利用された上、斬殺された女・お稲の敵討ちもやることになり、孫四郎は三つの敵を相手に立ち回る。

 今回は帖面を奪い返そうとする吉野屋嘉兵衛の雇った十五屋グループ(始末屋)の吹き矢によって死にかかる孫四郎。シリーズ最大のピンチです。
 浪人剣士相手より、吹き矢、短弓、匕首、馬針を駆使する十五屋達相手の戦闘のほうが断然面白いですね。峰作品では、たまにしか敵方に出て来ないけど。

 やがて白猫一家と吉野屋の事件は片がつき、最後に老中殺しの依頼者、相模屋の秘密が明かされる。そのアンサーは、死んだ老中の藩内部にあり・・・・・・
 タイトルの「修羅の悪女」とは、最終章で出てくる和泉守側室・志村のことなんだろうなあ。孫四郎があっさりコマしちゃうけどw

 という本巻。久々登場の十五屋編。吹き矢に刺された主人公が三途の川まで行って、青鬼に追い返されるシーンは、今までにない展開です。





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