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旧作ザオリク図書館 書き下ろし小説「ドラゴンクエスト ダイの大冒険 それぞれの道」
数年前に令和版「ダイの大冒険」が、再度TVアニメ化されたのは記憶に新しいことです。平成アニメ版も結構見ていた私には、原作ラストまでやってくれた令和版ダイは、かなり嬉しい作品でした。
さて、その数ヶ月後に出た新作ノベライズ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険 それぞれの道」(2022年12月発売)をご存知でしょうか? もし知らないなら勿体ない!
この本は原作の続編というより、物語途中の番外編をいくつか収めた外伝集であり、著者も漫画原作者とは別の方(山本カズヨシ)ですが、アバンの使徒が活躍する5つのオリジナル短編が楽しめます。
肝心のストーリーは、メインキャラのファンが喜びそうなエピソードばかりで、上々の出来栄え。
本の冒頭に書き下ろし新規イラストが数枚。ただし小説の挿絵自体はほぼ無く、あっても原作からの流用なのは少々不満ですが。新規分は全てカラーイラストですけどね。
以下、そこそこネタバレあります。
(全5エピソード)
1、ダイがパプニカ王国で修行中、トランという少年に突然弟子入り志願されて、一週間だけ弟子にする羽目に。ダイは師匠役の難しさに四苦八苦。
実はトランが強くなりたい理由は、借金詐欺のチンピラ懲らしめで・・・・・・という話。
父の遺した食堂を営む母子家庭(トラン家)の絆が温かい。マトリフ師匠も大活躍。
2、ダイたちがロモス王国からパプニカに向かう船上、悪霊モンスターの操る幽霊船に遭遇。幽霊船内で幻覚魔法に惑わされるも、ポップは知恵と勇気で奮起して・・・・・・という話。ポップの成長譚。
3、武闘家マアムが閃華裂光拳習得の修行中、無害な魔物たちを狩る密猟者パーティーと出会い、なんとかやめさせようとする。しかし密猟者のせいで魔物は暴走し、望まぬ戦いに巻き込まれてしまう話。必殺技は会得するものの、ラストが切ないエピソード。
4、ヒュンケル(&クロコダイン)が魔王軍の奇岩城偵察に向かう山中、ティカという行き倒れの少女を助けた。よくよく聞いてみると、彼女の目的は戦災で死んだ両親の仇討ち。ところが、ティカが復讐しようとしている魔王軍幹部とは、よりにもよって・・・・・・さあどうする? という話。終盤、ヒュンケルの男気がたまらぬ。
5、王国サミット開催直前、レオナ姫はベンガーナ王国の城下町を、お忍びで散策する。そこで主演女優の怪我で困っている旅のモルホン劇団に出会い、助っ人女優として、身分を隠して参加する事に。
偶然にもお姫様の役ということで、抜群の才能を発揮するも、人気に嫉妬した花形男優ラルタンからは嫌がらせの嵐。機転でかわしていると、レオナに気づいた魔王軍の魔物たちまでが公演に乱入してきて・・・・・・という話。全5章中、一番コメディ色が強い。
ダイの大冒険ファンには、珍しいノベライズ作品ということで、当然コレクションアイテムでしょう。アバンの使徒好きな読者に、受けそうな演出満載な一冊なのです!