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「忘れないと誓ったぼくがいた」レビュー

 高3の受験生・葉山タカシが眼鏡屋で知り合い、一目惚れしたバイト娘・織部あずさは「誰からも忘れられてしまう」悲劇に見舞われた女性だった!

 映画にもなったこの恋愛小説。映画自体は昔に見たが、ストーリーの流れは結構違っていて、この原作ではヒロインが最終的に異次元に消えてしまうため、映画よりファンタジー感がやや強めです(忘れられてしまう、という異能設定からの失恋自体は同じですけど)

 件の織部あずさが同じ高校に通う二年生(フランス帰国子女!)と知り、どんどん仲良くなっていくタカシだが、彼女の忘却能力のせいで、彼自身も含め、周囲があずさとの記憶を維持できなくなっていく、という不可思議な状況が発生。
 やがて彼女は自分が八ヶ月前から、一時的に消える(異次元?)=その間の関係者の記憶ごと消滅、という異常現象に襲われていることを告白。さらには同級生や両親(フランス在住)からも、織部あずさという人物への認識が、どんどん薄れていることを語る。

 タカシはノート筆記やビデオカメラを駆使し、なんとか彼女の記憶を失うまいとするが、記憶消失の力は強まるばかりで精神疲労していく。
 あずさとの恋愛関係自体は順調に深まっていくも、あずさが世界から一時消失する間隔は、みるみる狭まっていく・・・・・・。
 そして、クリスマスイブの自宅キスから年明け。2月の雪降る公園で、とうとうあずさは永遠に消えていってしまうのだ。
 「タカシくんと離れ、忘れられていくことは悲しい」と言い残すヒロインの言葉がとても切ないのです。(あずさ曰く異次元に去り、後に転生するらしい)

 結局ヒロインを救えなかった主人公だが、その後浪人生となり、2年後は無事に芸術大の映画学科二年生となる。
 終盤からいきなり映像作家への道を歩み始めるタカシ。それは少し前に見つかったあずさのビデオメッセージで、愛の告白とともに、私の代わりに自分の夢を叶えてみせて、と励まされたからであった。
 王道的な悲恋EDではあるものの、未来志向で温かい雰囲気の結末が記される。既に映画版見た人も、プロットまんまじゃないんで全然オススメですよ!





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