新国演立場劇の こつこつプロジェクト

こつこつプロジェクトとは新国立劇場の芸術監督の小川絵梨子さまが発案しプロデュースの一年間を通して作品を育てていくプロジェクトです。今シーズンでは、最初の一歩としてリーディング公演を披露し、その後定期的な発表を経て、作り手と芸術監督、新国立劇場とが議論とコミュニケーションを重ね、作品を練り上げ、最終的には通常の演目として数年後の本公演を"こつこつ"長期的に目指します。途中からコピペするくらいなら最初からコピペをすればよいのにそうしないのは、人の真似や型をなぞることよりも、1から作ることに価値があるという穿った価値観や自意識のせいかもしれない。人が、それこそ、シェイクスピアが400年くらい前に作ったシェイクスピアの演劇は400年かけて、いろんな土地で、いろんな様子で、上演されている。それをまた新たに試し、作り、壊し、また作る場。観るまでは、ふーん、お試し企画かぁって思ってたけど、演目観たらまさにこつこつプロジェクトだったのがまず、すごい。やりたいこと(伝えたいこと)がめちゃくちゃ上手いこと組み合わされて魅せられた。主張だけ、見え方だけ、どちらかに偏ると薄っぺらくなる演劇のバランスが見事にとれていて新国立劇場の演劇!!と拍手した。興奮。リチャード三世は難しくて(という先入観があって)、それをいかにわかりやすく、という演劇はたくさんあったと思うけど、リチャード三世を使って演劇が面白いものだと表現する方法が結構ストレートで且つ斬新で。リーディング公演、単なる朗読劇では意味がないという構成、シャツにパンツ、ほぼ普段着のような出で立ちで本だけを持ち、日常会話をしながらヌルッとシェイクスピアが始まる。始まって、止まって、また始まって、現代語とシェイクスピア独特の台詞回しの違和感のない組み方、メリハリの付け方、シェイクスピアのリチャード三世をわかりやすくということと、スピード感があり誰がどの役なのか決まっていない分集中しなければならない生の演劇の魅力、なんか色々書いてみたけど、単純にめちゃくちゃ好み。超好み。2000えんは安いって。林田さんのお芝居の空気感が好きなのだけど、新国立劇場の空気感なんだろうなっていうのがあるので。そりゃぁね。あとね、このプロジェクトの初日だったからもあるけど劇場関係者のスタッフさんが沢山いたけどみんな物凄くシャンとしてかっこよくて丁寧でそれも良かった。

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