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ばぁばぁ伝説

うちのひいばあちゃんは一族で1番パワフルだった。
おばあちゃんのまたその上のおばあちゃんだったので、うちでは 「ばぁばぁ」 と呼んでいた。

毎日、散歩にでかけ、パチンコへと行っていた。
(パチンコのことをうちでは「会社」隠語で呼ばれていたから小学生までは、ほんとに会社に働きに行っていると思っていた。)

自家製のニンニク玉を欠かさず飲んでいたのが元気の秘訣だったらしい。
そのニンニク玉を飲むことで、ニンニクを纏い人を寄せつけないようにしていると話していたのを覚えている。定かではないが、そうすることでみんな席を譲ってくれたらしい。

そんなばぁばぁは、ぼくが高校三年生の時に天国へと旅立った。
超楽しかった修学旅行に行って帰ってきたら、ばぁばぁは小さい箱に入っていた。

ぼくに死ぬとこは見せたくなかったのかな。

いまでもたまにそんな事を思う。
そんなばぁばぁの伝説をひとつご紹介しよう。

無敵のばぁばぁ

これは、ぼくが小学校中学年くらいの頃の話。
ひいばあちゃんは80歳くらい。周りに比べたら、ひいばあちゃんにしては若い方である。

週末、ばぁばぁの家に親戚で集まっていた。
うちの両親、おばちゃん、いとこ、ばあちゃんでご飯を食べていた。
ばぁばぁは、会社に出勤中だったのでみんなで帰りを待っていた。

「ガラガラガラ」玄関が開いた音がした。

帰ってきたなあ
みんな呑気に待っていたが、みんなの目に飛び込んだのはいつもと違うばぁばぁ。

どこがいつもと違うのか。一目瞭然。
ばぁばぁは血だらけだったのだ。

家中大騒ぎ。ばぁばぁをみると、頭にキズがあって、そこから大量に出血していた。
頭から出血しているご老体をみると、身の毛もよだつ恐怖を感じる。

「ばぁばぁどうしたん?!」

そう問うと、呑気にこう返した。

「近所にできたカラスの巣をずっと見よったら、カラスが突っついてきよったんよ」

この頃、近所の木にカラスが巣を作ったと話題になっていた。しかも、子供を産んでいたらしい。それをばぁばぁは眺めていて、親カラスから攻撃されたらしいのだ。

「やばいやん!病院いかな!」

小学生ながら、カラスはやばい菌を保有していて、そんな菌が傷口から入り込んだら取り返しのつかないことになると思っていた。
だが、ばぁばぁ

「こんなもん、シャンプーすりゃ治る!」

無敵すぎる。考えが無敵だ。さすが戦争を体験した世代。根性が違う。と関心ばかりしてられない。無理やりばぁばぁを病院へと連れていった。
菌が入り込んで…みたいなことはなかった。別に問題ないらしい。みんなホッとひと安心して、自宅へと帰った。

次の日、ぼくは心配だったので小学校の帰りにばぁばぁの家へ顔を出しに行った。
そんな心配はなかった。

ばぁばぁはこの日もニンニクを纏い、会社へと出勤していた。

いまでも、ばぁばぁには敵わない。きっと。


#エッセイ #小説 #日記 #回顧 #ひいばあちゃん

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nomu
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