いえかけ
うっちーはうちださんちのいえです。きょうもみんながうみにでかけるのでるすばんです。いつものようにくるまがみえなくなるまでみおくると ポツリといいました。
「いいなぁ ぼくもうみにいきたいなぁ」
うっちーはずっとここにいます。てもあしもないのでうごけません。でもいつかかならず どこかにでかけてみたいとおもっていました。
みあげると おおきなくもがながれてきました。
「くもくん ぼくをうみにつれていって!」
「いいよー」
くもはやねをつかんで そらにとびあがりました。はじめはブルブルふるえていたうっちーでしたが すぐにワクワクしてきました。
ちいさくなっていくなかまたちに
「いってきまーす!」とげんきよくいいました。
はじめてそらからみるまちは まるで ちがいせかいをみているようでした。
「ぼくはもっくん まちのむこうにみえるあおいのが うみだよ」
うっちーはまどをおもいっきりあけて ちいさなうみのにおいをすいこみました。
そこにすずめがとんできました。
「ちゅんちゅん すてきないえね すこしやすませて。」
「どうぞ どうぞ」
うっちーはすずめを なかにいれてあげました。
つぎに ハトのふうふがとんできました。
「くるるっぽー きみおしゃれないえだね。すこしなかもみせてよ。」
「どうぞ どうぞ」
うっちーは はとたちをいれてあげました。
つぎにたくさんの からすたちがとんできました。
「かぁかぁ おまえ おれたちのすみかにぴったりだ きょうからおれたちのいえだ!」
「だめだよ!ぼくは うちださんちのいえだよ!」
いやがるうっちーのなかに からすたちはむりやり はいっていきました。
からすたちは おどったりうたったり おおさわぎです。
あまりにもうるさいので もっくんはみみをふさぎました。
ぼっちゃーん!!
そのしゅんかん うっちーはかわにおちてしまいました。
もっくんは すぐにたすけようとしましたが、かぜがじゃまをしてなかなかたすけられません。
そのあいだにうっちーは どんどん どんどんながされていきます。
かわも どんどんおおきくなっていきました。
ながれがだんだんおそくなり きがつくと…
うみについていました。
うみは とてもひろくてあおいばしょでした。
「うっちー もぐってみよう」
うみのなかはみたことないいきものたちが たくさんすんでいました。
まるで おおきないえのようです。
うっちーももっくんもそのうつくしさに ずっとみとれていました。
「きみ とってもいいいえだね」
「わたしのいえだったらいいのに」
さかなたちにもうっちーはだいにんきです。
おおきなくじらも やってきて
「わたしがもっとちいさかったら きみのところにすんだのにな」
うっちーはうみがとてもきにいり ここにすみたいとおもいました。
ぽ
とおくのまちに あかりがつきはじめました。
「うっちー もうかえろうよ」
「いやだ!かえらない!」
うっちーは ダダをこねはじめました。
きょうのうっちーにはいつまでたってもあかりはつきません。
かえりたくないきもちとさびしいきもちでなみだがポロポロでてきました。
そのようすを しんぱいしたもっくんはいいことをおもいつきました。
もっくんはうっちーをおしておよぎはじめました。
ザザーン
なみにのるとはやくなり まるで うみのうえをすべっているようでした。
「ぼく およいでる!」
はじめておよげたのがうれしくて たのしくて いやなきもちはすっかりわすれていました。
うみからあがると あたりは ひかりのうみになっていました。
うっちーのまどにもひかりがうつり きらきらかがやいています。
「ぼくはやっぱりこっちのほうがいいや!」
うっちーはうちにかえります。
「ただいまー」
うっちーがかえってしばらくすると うちださんちもかえってきました。
ぽ
やっとあかりがつきました。
うっちーはいつもよりあかるく そらをてらし もっくんをみおくしました。
おわり
ここまで読んでいただきありがとうごさいます。
代り映えしない毎日を送っていた家のうっちーが すこし行動して夢をかなえますが、やっぱりいつもの場所が一番と気づくお話です。
感想などいただけると今後の作品の参考になります。