正当防衛を主張!?タバコ暴行男事件から見る危機管理【一般人向け】
随分と胸糞の悪い事件ですが、気遣うだけならともかく『高校生の迂闊な行動を称賛する無責任な発言』も散見されるのでプロとしての意見を書きたいと思います。(有料設定はしていますが、過去記事含め無料で全文読める投げ銭方式です。)
まずはニュースを消え難いまとめサイトから引用しておきます。
動画
https://video.twimg.com/ext_tw_video/1485901273262342147/pu/vid/1522x720/JVZ3kytVZhcvb0mq.mp4
暴行罪…特に怪我まで負わせて居ますので、より重い『傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)』と成ります。頬等の骨折との事ですが、痛みや跡などが残らない事を願うばかりです。
また、動画で確認出来る土下座は明確に『強要罪』の要件も満たしております。罪の重さとしては『傷害罪』より軽いですが、父親のコメントにもあった通り、被害にあった高校生にとっての精神・社会的なダメージは身体への傷と同等かそれ以上の物になる可能性もあり、更なる追い打ちで頭を踏み付けた行為を見ても、とても悪質な犯行であり厳罰に相当すると見て良いでしょう。
無論、本人が主張したと言う『正当防衛』ですが「へぇ~、難しい言葉を知っているんだね…意味まではサッパリ理解出来ていないようだけど」と言う感想しかありません。
『…意味不明な供述をしており、警察は余罪を調べている』とニュースならテロップが流れるシーンですが、こうした輩の心理も踏まえた立ち回りをする考える事は危機管理の上では重要であると言えます。
ちなみに本来の『正当防衛』とは『急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。』
と 刑法36条1項に書かれている内容で、我々警備員にとってはとても身近な話、各種検定や指導教育責任者資格の取得にも必ず出題される様な部分ですし、耳にタコが出来る程に学ばされる内容であったりします。
逆に言うと、その正当防衛に該当しない行為をやってしまえば、犯罪者の仲間入りですし、使う場面が稀であることを願いつつ、何時だって一つの指針として頭に入れておくべき概念と読んで良いでしょう。(最後に私のお仕事に関する過去記事へのリンクを貼ったので気になりましたら是非)
高校生と暴行男を比べたら、後者が完全な悪であり、怪我や土下座をさせらる謂れがないのは勿論ですが、今回のケースは『儀を見てせざるは勇無きなり』と呼ぶも値しない愚行が一因であり、結局は本人も心身を傷付けられ、周囲へ心配を含む迷惑を掛ける迂闊な行動を取ったと指摘しておく事は重要だと考えますので、その辺りから今回は語ります。
つい最近、被害男性の後悔が語られた為、こちらの事件が思い浮かんだ方も多いのでは無いでしょうか?
どちらも『同一空間内での喫煙による匂いや煙』・『新型コロナ感染の懸念』と言った物を実害と捉える事まで否定はしませんが、それでも『重罪とまで言い難いような相手の迷惑行為を、居合わせた一私人が、注意し止めさせようとし、暴行(致傷)の被害にあった』と言う事件です。
アニメや漫画の読み過ぎ…と呼ぶ人もいるかも知れませんが私としては一番有名で影響力がある『痛快スカッとジャパン』を筆頭とした報道バラエティーの責任が大きいと思います。
周囲の目を気にして大人しく引き下がる場合がないとまで言わないですが、
『犯罪含む迷惑行為を現に行っている様な輩に対し、か弱く善良な一市民が、正論を面と向かってぶつけマウントを取る』
膂力で勝っているなら厳しいマナーなどを強要していいと言う訳ではありませんが、悲惨な結果も見聞きしている身としては溜息が出てしまう程に無謀と感じます。
流石に私は目の前で『高校生が100キロ入れ墨マンに素手で暴行されて居たら、周りの方に通報をお願い次第、即座にタックルをする』と思いますが、それでも相手が『(膂力で引けを取らず)素手で一人』である事は外せない条件です。
仕事中ならまた話は変わりますが、十分な装備も応援も、妥当な報酬も望めず、リスクだけは命まで賭す訳ですからね。
その為、止めに入らなかったと言う他の乗客を責めるような論調には賛同しかねると、プロとして断言します。
ホームドアの設置工事や車両警乗も含む駅警備を経験した警備員として、またそれを指導教育する資格を持つ人間として考える『列車内で迷惑行為を行っている人物』に対して行うべきベストの対応を書いておきます。
急ぎでなければ『次の駅で降車した上ホームから(無理でも隣の車両に移り)電話やSOSボタン(列車停止装置ではない)を使って通報、その際に、電車の発車時刻や行き先、○両目○番ドア、人物の背格好や行動辺りを伝える』と言うのがベストアンサーかと思います。
そう…タバコを吹かしている人物に君子が近付く必要は無いのです。
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↑続編も書きました!
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