『特別な権限を持たない』とはどう言う事か?
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Twitterで揉めた相手の素性を割り出す為、アルファアカウントのS氏が探偵を雇って尾行をさせた…事実は定かではないが、何にしても批判側一部がしている『探偵の行う尾行は違法行為』とする解釈については誤りであるので解説を記事にしておこうと思います。
前回、上の記事で書いたが、私も探偵業と同じく、公安委員会に届け出が必要な警備業の届け出を出した会社に務めているし、営業など他の仕事もしているが、現行警備員でもあります。
警備業も探偵業もそれぞれ、その職業的特性として『特別な権限を持っているからこそ出来る警察業務』に『類似した行為を一私人と同じく特別な権限を持たない立場ながら業務として行う』ため様々な制約の下にその適正さが問われる仕事です。
折角なので、今回は割と誤解されがちである『特別な権限を持たない』と言う事の意味を解説したいと思います。
駐車場の警備をやっていると極まれに『駐車場内のルールである一方通行』等を故意に無視した危険運転等をして憚らない方が、周りを危険に晒している場面に出食わす事がありますが、それを咎めると「うるせぇ警備員が!法律の勉強しろ、駐車場の中の決まりなんて、俺が守る必要は無いんだよ、お巡りでもないし、ここは道路でも無いんだ!」と開き直る変わったお客様がいます。
この変わったお客様の仰る事は正しいのでしょうか?
答えから言うなら『間違い』です。
道路交通法や警察官と同じ権限によって『命令』をしている訳ではないので、変わったお客様が即時逮捕されたりすると言う事はないのですが、警備員は依頼主から駐車場内の安全を維持管理する事がお仕事であり、その為に依頼主の持つ『施設管理権』の一部を任されその仕事に付いている為、その施設…今回の場合は駐車場のルールに従わない方にご利用を控えて頂く程度の権限は持っている物と考えられます。そもそも駐車場の利用ルールなんて物は嫌がらせでも何でもなく、当人だけではなく他の利用客も含めた安全の為に決められている物ですからね。
勿論、そうした場合の対応も結局は依頼主が如何して欲しいかを予めされていた契約内容に従うだけなのですが、結果として駐車場利用禁止を施設責任者より申し付けられ、それに反した場合は毎回通報…警察沙汰と言うケースを目にしますが、大抵は何度目かで諦めて来なくなるか、タクシーや徒歩でお見えになる場合が多いです。
上で出しましたのが『施設管理権』であり、一私人に過ぎない『警備員が他者に何かをお願いする際の根拠』の代表的な物です。
駐車場に限りませんが、権限者より任された権限により『その施設への立ち入りや利用をしたい』なら『その施設のルールに従って下さい』と求める事は警備員の『正当な業務であり法律違反では無い』訳です。
次に、今回の『探偵業における尾行』もそうですが、各種業法で明確に定められている事柄や行動は当然ですが『正当な業務』である為、その定めに適しているかこそ問われますが、犯罪などに成りません。
例えば、警備業法第17条には警備員が携帯して良い護身具…警戒棒についてのルールが細かく定められています。
まぁ、刃物と違って警戒棒(警棒)は元々一般人が持っていたとしても即逮捕されるかは微妙な所ですが、堂々と持っていれば職質は必至ですし、隠し持っていれば軽犯罪法1条2項に触れてしまいます。
ですが、警備員は、規定のサイズや重さであるそれを、尚且つその業務に就く場所など含め届け出をする必要がありますが、そうした条件を満たす事で、他の人が持たない『正当な業務としての理由』を持つ事が出来る訳です。
こうした『一般人は持ちえない特別な業務特性に基づく正当な理由を持つ事』が『特別な権限を持たない』と言う内容と一見矛盾して見えるので、誤解を生み易いのです。
その為『尾行や張り込み自体が問題である』
と言う解釈をしてしまっても不思議はないのですが、簡潔に書くとしたら下の様になります。
↑のtweetの中にリンクで入れたが、ここは探偵社さんのサイトをリンクとして貼っておきます。
つまり『尾行をするのは探偵の業務』と法律で定められているので『違法性阻却事由』の一つ『正当行為』に辺り、その手段や悪質性などが問われる事はあってもそれ自体を問題とするのはおかしいのです。
例外として上の記事にある依頼主がストーカーであった場合については本当に特殊なケースで、『今回の人物達がSNS上のトラブルになっており、(少なくとも建前としては)訴訟や和解を含む解決の為に相手の住所等を調査したかった』と言う理由による依頼がストーカー法に問える物であるとするのはおかしいと言えます。
何にしてもS氏についてはかなり前からウオッチしているので逆に訴えられている裁判の結果と共に今後の展開が気になる所です。
警備関連、次の記事はこちら↓
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