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まるで国際ロマンス詐欺 ISの「勧誘」を描いた映画「Profile」 女性ジャーナリストの描き方に違和感

ワクチン接種が広がったとはいえ、まだまだ全面解禁とは程遠い米国

面白そうな作品は予告編上映止まりで公開はまだ少し先・・・
毎週3本のペースでAMCに通っていたら見たい映画がなくなりました

 プロデューサーとして関わった「Search/サーチ」で全編PC画面上で物語を展開させたり(続編が制作決定とか)、全編縦長映画に挑戦したりと斬新な手法のティムール・ベクマンベトフ監督の最新作・・・という
「Profile」をみました
これも主人公のPCの画面上で全編が展開していきます

 まるでコロナ禍の最中に生まれた映画のようですが、2018年のベルリン国際映画祭のパノラマ部門でお披露目されています。この部門は斬新な視点の映画を紹介します

 主人公はフリーのジャーナリストのエイミー

 ISが欧州の若い女性を勧誘している手法に迫るために、Facebook上で偽のアカウントを作り、「ISに憧れてイスラム教に転向したエイミー20歳」に扮します。そこでオンライン上で連絡をとってきたのが、ジハードの戦士と名乗るBilelというイケメン

 2人はスカイプでオンライントークを何度も重ねます
 彼は「欲しいものは全て与える」「あなたを女王のように敬う」などと甘い言葉とマッチョな行動(銃を空にぶっぱなすとかサッカーで活躍とか)、そして猫を可愛がったり料理上手だったりする意外とお茶目な仕草で、エイミーにぐいぐい迫ります。そして素敵な婚約者がいるにもかかわらず、いとも簡単に惹かれてしまうエイミー・・・

 2010年代前半頃から、欧州の若者や女性たちが、ISのネットを駆使した巧みな勧誘につられて、トルコ経由でISに参加することが社会問題になっていました。
 日本未公開作品ですが、私も海外の映画祭で、娘がISに洗脳された家族の苦悩を描いた劇映画を見ました。

 コロナ禍の2021年に見ると、PC画面上のみで展開って時代を先読みしていたとも思います。
 そこはある程度感心できるんですが、肝心のエイミーの中身がないというか、脇が甘すぎて、まるで「国際ロマンス詐欺ご注意!」みたいな展開になっています。

 なぜ自宅が容易に特定されるような形でやりとりをしていたのか?
 コロナ禍より前の設定なのに、なぜエイミーはいつも自宅にいるのか(他の取材してないの?) 
 仕事で成果を上げて認められようとして無理を重ねた彼女の焦りとか仕事への思いを、もう少し深く掘り下げられなかったのか。これでは単なる情緒不安定すぎる女では・・・
 10代の恋に恋する少女が主人公という設定ならともかく、どう見てもアラサーで素敵な婚約者もいる女性なのに、なぜこんなにあっさりとBielに惹かれちゃうのか

 ツッコミどころが多すぎて・・・・

 「Search/サーチ」の枠組を借りた出来損ない映画だなと思っていたら(もしくは「ブレア・ウィッチプロジェクト2」のような)、まさかこの監督がプロデューサーとして「サーチ」に参加していたとは

 フランス人女性ジャーナリストの実話に基づいた映画だと言いますが、実話のジャーナリストはもっとまともに仕事をしていたことを祈ります。

 そもそもISに欧州の若い女性たちが惹かれたのって、国際ロマンス詐欺みたいな勧誘に影響されたからなのでしょうか

 「自分の存在を肯定してくれるイケメン男性がいる」というよりも、自分の存在を肯定し生きている実感を得られる「社会」だったり「居場所」があると惹かれたのでは・・・
 色々疑問が湧いて、久々にIS関連の記事を調べてしまいました