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央羽李(おうり)が教えてくれた愛情の形
僕の愛猫「央羽李(おうり)」。
元は野良猫で、うちに来たのは3〜4ヶ月くらいのまだ小さな子猫だった。
手のひらに収まるくらいの体なのに、目は鋭くて、常に怯えたような表情をしてた。
警戒心が強く、人に懐くこともなければ、ぐっすり寝ることもなかった。
まるで、全てを疑っているような雰囲気だった。
「あの頃の自分と同じだ」と感じた瞬間
そんな央羽李と一緒に暮らし始めた頃、僕は彼の気持ちが痛いほどわかった。
野良猫として生きてきた彼にとって、「いつ何が手に入るかわからない」「次があるかわからない」
そんな不安が染みついてたんだと思う。
それが、昔の自分と重なる部分があった。
僕も同じように、**「次があるかわからない」**という不安と戦ってた時期があったから、
すごく気持ちがわかった。
最初はご飯を出すと、一瞬で全部食べてしまう。
人間の食べ物も、食べ物じゃないものまで食べようとする。
僕にはそれが、彼が感じている**「奪われるかもしれない」「もう次はないかもしれない」**
という恐怖に見えた。
切なくて、胸が締め付けられる思いだった。
「ご飯を残す」それは安心の証だった
でも、彼がうちに来て1年半くらい経った頃、ふと気づいた。
央羽李が、ご飯を少し残すようになってたんだ。
それを見た瞬間、涙が止まらなかった。
すぐに食べ切らないのを見たとき、僕はこう思った。
「ああ、この家がようやく安心できる場所だと思ってくれたんだな」
すぐに食べなくても、誰にも取られない。
次のご飯が必ず出てくる。
彼がそう思えるくらい、僕を信じてくれるようになったんだって気づいた。
それが嬉しくて、胸がいっぱいになった。
「僕も同じだったんだ」
僕も昔、ご飯を残せるようになったのは、自分の力で次のご飯を手に入れられるようになったと感じたときだった。
それまでは、**「今ある分を全部食べないと、もう次はないかもしれない」**という不安が消えなかった。
だから、央羽李のその姿を見て、自分の過去と重なって涙が溢れたんだ。
今では、央羽李はお腹を見せて寝てくれるようになったり、
目を細めて優しく会話するように寄り添ってくれたりする。
彼との時間は、僕に「愛情を信じること」の意味を教えてくれたんだ。
愛情が教えてくれたこと
央羽李が教えてくれた愛情の形。
それは、「安心できる場所を与えること」の大切さだった。
辛い過去を抱えた存在が、安心して笑える場所を作れるように。
彼との時間が、僕に新しい目標と力を与えてくれた。
彼のような存在が安心して過ごせる世界を、僕はこれからも目指していきたい。