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【読書記録】2023年12月17日〜12月23日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 今年も残すところあと1週間。
 そろそろ今年を振り返りつつ、来年の目標でも…。という時期ですが、最後の1週間で劇的な本との出会いがあるのではないかと期待して、毎年ギリギリまでまとめ記事を書けずにいる私です。

…ということで、早速今週出会った本たちをご紹介します。

【2023年12月17日〜12月23日に出会った本たち】

⚪️向かい風で飛べ!

著者 乾ルカ

【内容紹介】
 巨大なジャンプ台を軽々と踏み切り、飛んでいく一人の少女。沢北小学校の転校生として寂しい日々を送っていたさつきは、同じクラスの天才スキージャンパー・理子の姿に目を奪われる。「一緒にジャンプやらない?」その笑顔に導かれ、さつきの青空への挑戦が始まった!向かい風は大きく飛ぶためのチャンス。この言葉を支えに奮闘する少女達の、笑顔と友情と涙がつまった青春小説。

裏表紙より

【感想】
 主人公は二人。天才スキージャンパーの理子と転校生のさつき。小学5年生の時に二人は出会い、理子がさつきを何気なくスキージャンプの世界に誘ったことから物語は始まります。
 天才と言われ周囲から期待される理子は、さつきが目を見張るスピードで成長する姿と、自分の身体の変化に焦り、戸惑い、思うような結果が出ません。
 キーワードは「向かい風」。
 そう追い風ばかりじゃなくて向かい風があるから人は高く、遠くまで飛べる。
 久しぶりに純粋な青春小説を読みました。何というか心が洗われるようです。
 そういえば昔、大倉山のジャンプ台を見学したけれど、とにかく高くて足がすくんだことを今でもはっきり覚えています。

⚪️本所おけら長屋(十八)

著者 畠山健二

【内容紹介】
 金はないけど情はある、個性豊かな店子が揃い、「おけら長屋」は毎日がお祭り騒ぎだ。黒石藩の藩主・高宗の側室問題に、長屋の住人たちが力を貸すことになり…「あやつり」、暴力亭主から逃げたお竹を長屋にかくまうことになるが、魚屋の辰次が彼女に惚れてしまい…「たけとり」、八百屋の金太に白犬・銀太の相棒ができるが、銀太には子供を襲った疑いがかかっていて…「きんぎん」など、四編を収録。

裏表紙より

【収録作品】
あやつり
たけとり
さいころ
きんぎん

【感想】
 シリーズ第十八弾。
 万松コンビを中心に相も変わらずのドタバタな毎日。
 特に良かったのはDV夫とそれを許してしまう妻の話「たけとり」。お里さんが語る夫婦の在り方

「喧嘩をしても、悪口を言っても、心の底の、そのまた底でちゃんとつながってる。それが夫婦ってもんなんだよ。どちらかが、我慢したり、甘えたり、逃げたりするもんじゃないんだよ。」

本文より

は心に沁みます。
 第四話の「きんぎん」はぼてふりの金太と犬の銀太がいいところを掻っ攫っていきます。現代でいうところの知的障害であろう金太と長屋の住人たちの関わり方が素敵。

⚪️本所おけら長屋(十九)

【内容紹介】
 江戸は本所の「おけら長屋」は、“お節介と人情”で名高い。個性的な住人が入り乱れて、毎日がお祭り騒ぎだ。“岡惚れの半の字”で知られる半次のもとに、いきなり嫁候補がやってきて…「ほろにが」、頑固な浪人と八五郎の意地の張り合いが思わぬ結末へと向かう「せんべい」、松吉と所帯を持つことになったお栄には、仲違いして家を飛び出したきり会わずにいる母親がおり…「はりかえ」など、四編を収録。

裏表紙より

【収録作品】
ほろにが
ぜんあく
せんべい
はりかえ

【感想】
 シリーズ十九巻。
 どのエピソードもホロリとさせられる展開ですが、特に一枚の煎餅が取り持つ縁を描く「せんべい」は温かくて切ない気持ちになりました。
 第一話の「ほろにが」は、半次とお静の本所最強バカップル誕生かと思いきや!?うーん、ほろ苦。
 そしてそして第四話の「はりかえ」で、やっとというかとうとうというか松吉とお栄ちゃんが…!お栄ちゃんの過去とお母さんの境遇はとても辛くて、最後はしんみり。…となるはずもなく、全員登場のドタバタ展開に。残すは!?

⚪️本所おけら長屋(二十)

著者 畠山健二

【内容紹介】
 江戸は本所亀沢町にある「おけら長屋」には、落語の登場人物のような個性的な住人たちが揃い、今日もお祭り騒ぎだ。ある日、おけら長屋の万造と恋仲である聖庵堂の医師・お満に、長崎留学の話が持ち上がるも、最低三年は長崎で学ぶ必要があると聞き、思い悩む。一方、両親に捨てられたと思っていた万造に母親の手がかりが見つかり、長屋の住人たちは奔走するが…。大人気シリーズ、ついに完結か!?

裏表紙より

【収録作品】
おとこぎ
ひきだし
とこしえ

【感想】
 〝本所おけら長屋〟シリーズ堂々の完結!いやぁ、ほんと毎回落語のような人情喜劇を楽しませてもらいました。
 ラス前でずっと謎だった万蔵の生い立ちが明らかになり、お満さんには長崎留学の話が持ち上がり…。二人の仲がどうなるのか、最後の最後まで楽しませてくれました。
 おまけに万蔵の本名が…!!ラストにこのオチを持ってくるなんて、なんて粋な計らいでしょう。

⚪️本所おけら長屋 外伝

著者 畠山健二

【内容紹介】
 金はないが情はある、お節介で名高い「おけら長屋」を舞台にした大人気シリーズの“外伝”は、登場人物たちの若き日を描く前日譚。万造と松吉は、おけら長屋で出会った途端に意気投合するが…「馬鹿と外道は紙一重」、おけら長屋は実は“事故物件”!?住民らに次々と災いが起きる中、長屋立ち退きの話まで持ち上がり…「金太が街にやってくる」他二編と、特別付録としてシリーズ第一幕の名場面ガイドを収録。文庫書き下ろし

裏表紙より

【収録作品】
馬鹿と外道は紙一重
家督は寝て待て
金太が街にやってくる
みちのくさとり旅

【感想】
 〝本所おけら長屋〟シリーズ完結後に刊行された本編の前日譚。
 まず何より裏表紙に「特別付録としてシリーズ第一幕の名場面ガイドを収録」とあって…。何?「第一幕の〜」つまり第二幕があるってこと?これだけでなんかテンションが上がってきました!
 内容は、万松コンビ結成の話、トノサマの若い頃の話、人気者(?)金太がおけら長屋にやってきた時の話、そして島田様の悲しい過去とそこからの再生。この島田様の話は、人のあるべき姿を教えてくれる物語でした。
 それにしても、夫婦の蘊蓄に関してはお里さんの右に出る者はいませんね。
 あとは第二幕開幕を待つばかり。

⚪️本の読み方
 スロー・リーディングの実践

著者 平野啓一郎

【内容紹介】
 情報が氾濫している現代社会だからこそ、著者は「スロー・リーディング」を提唱する。「量」より「質」を重視した読書経験は、5年後、10年後にも役立つ教養を授け、人生を豊かにしてくれるだろう。夏目漱石、森鴎外、フランツ・カフカ、川端康成、三島由紀夫など不朽の名作から自作の『葬送』まで、深く理解することが可能になる、知的で実践的な読み方を紹介する。

裏表紙より

【感想】
 日々沢山の本が出版され、世の中にはそれを効率よく消費するための速読術や要約サイト・動画が溢れ…。
 私は速読というほどではないけれど読書に目覚めた時期が遅かったので、その楽しさを知ってから気になった本は片っ端から手に取ってきました。しかしこの本を読んで、
これまでの読み方は正しかったのか?
この本に書かれているように「自分の血肉となるような読み方」をしてきたか?
精魂込めて書き上げた著者に失礼ではなかったか?
など自分の読書スタイルを見直す良いきっかけになった本でした。これを機にもう少しじっくり本と向き合う習慣をつけようと思います。

⚪️知っておきたい「食」の日本史

著者 宮崎正勝

【内容紹介】
 古代のモダン食品だった団子、大仏とソラマメの意外な関係、豆腐料理が大変身したおでん、イスラームの菓子だったがんもどき、下魚として嫌われたマグロ、ハクサイと日清戦争など、思わず「ヘエー」と驚く身近な食材と料理にまつわるウンチクを大公開。『「食」の世界史』の著者が、世界の動きとともに日本の食文化がどのように組み替えられてきたかを語る、雑学的な一口話としても読みごたえのある、歴史と文化の面白日本史。

裏表紙より

【感想】
 以前読んだ永山久夫さんの〝日本人は何を食べてきたのか〟をもっとフランクにしてエンタメ感マシマシにした感じの本書。
 取り上げているのは穀類や野菜、調味料に始まり、うどんやそばなどの麺類、きんつばやかりんとうなどのお菓子類、餃子やワンタンなどの中華料理、コロッケやハンバーグ、カレーなどの洋食、そしてカルピスやコーラまで幅広く取り上げています。
 何よりも驚くのは農水省が2008年に発表した国内生産の食材のみで1日ひとり2020kcalを確保する、ことを想定した献立。

⬛︎朝食
 ご飯を軽く茶碗に一杯(精米75g)、粉吹き芋一皿(じゃがいも2個)、漬物(野菜90gの糠漬け)
⬛︎昼食
 焼き芋2本(さつま芋200g)、りんご1/4、蒸しじゃがいも1個(150g)
⬛︎夕食
 ご飯を軽く茶碗に一杯と焼き芋1本(さつま芋100g)、焼き魚一切れ(魚の切り身84g)
⬛︎9日に一回肉類(1日あたり12g)
⬛︎7日に一個の鶏卵、
⬛︎6日にコップ1杯の牛乳、
⬛︎3日に納豆2パック、
⬛︎2日に一杯の味噌汁、
⬛︎2日に一杯のうどん(1日あたり小麦粉13g。

本文より

日本の食料自給率が低いことは知っていましたがコレは衝撃。もし電気が止まってしまったら、食料が輸入できなくなったら…。
大丈夫か日本?

⚪️理想だらけの戦時下日本

著者 井上寿一

【内容紹介】
 日中戦争中、格差の是正・政治への不信・共同体志向などが大衆の間に広がっていた。その様相はまさに現在の日本と重なる。そういったなか、戦争勝利へ向けて国民を一致団結させるために国民精神総動員運動が開始される。「日の丸を敬う」「節約した生活」「前線と心を共にする」など上からの国民運動が巻き起こった。果たしてこの運動は当時の国民の期待に沿うものだったのか。その実態はどのようなものだったのか。いままで見逃されてきた戦時下の日本社会を克明に描く。

裏表紙より

【感想】
 第二次世界大戦中の「国民精神総動員運動」にスポットを当てた本書。
 「欲しがりません勝つまでは」「子だくさんもご奉公」「ぜいたくは敵だ」「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」などマスコミを総動員してスローガンを掲げ、挙国一致や勤労奉仕、質素倹約を声高に叫んでも、取り組むことで得られるインセンティブを明確にしないと、やっぱり人は動かないということですね。
 まずは上に立つ者が率先して実行してみせないと。これは会社組織でも同じ。
 何かプロジェクトを進めていくとき、上位下達ではなくて下位上達の形になるのが理想だけれど、上は上で頭が硬いしなかなかね。

⚪️ナマケモノは、なぜ怠けるのか
 生き物の個性と進化のふしき

著者 稲垣栄洋

【内容紹介】
 ナメクジ、ダンゴムシ、モヤシ、イモムシ、雑草…。いつも脇役の、「つまらない」生き物たち。しかしそのつまらなさの裏に、冴え渡る生存戦略があった!ふしぎでかけがえのない、個性と進化の話。

裏表紙より

【感想】
 稲垣さんといえば植物学者という印象が強いですが、今回は人間からすればみっともなかったり間抜けに見えるような動植物を取り上げ、「神様はどうしてこのような◯◯な生き物をお作りになったのだろう」という書き出しで始まり、「だからね。そのままでいいんだよ」と〆るというエッセイのような作りの本です。
 第4章まではこの形で進み、第5章は人間と社会。最終章で人間がそれぞれ持っている個人の特性の意味について語っています。
 結論はやっぱり動植物と同じ「君もそのままでいいんだよ」。
 自分と他人を比べ始める年頃の人たちにぜひ手に取ってほしい一冊です。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 ずっと追いかけてきたシリーズが終わっちゃうのって、なんか寂しいですよね。
 ただ手塚治虫さんの〝火の鳥〟や栗本薫さんの〝グイン・サーガ〟のように、著者死去のため未完というのも別の意味で寂しいですが。
 私が畠山健二さんの〝本所おけら長屋〟シリーズに出会ったのは3年ほど前。
 当時勤務していた職場の大先輩に紹介していただいたのがきっかけでした。時代小説初心者だった私にこのシリーズを紹介してくれた元同僚に感謝です。
 今後刊行される、….であろう第二幕に期待が膨らむばかりです。

 書きたいことは色々あるのですが、うまくまとまらずだらだら長くなってしまいましたので今日はこの辺で。

最後に、
 読書っていいよね。


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