体育館裏

「ごめんね、なんか…呼びだしちゃって」
「ううん、待たせちゃったね。でもこんなとこで…何の用?」
「…その、付き合ってください!」
「体育館裏呼び出されたからまさかとは思ったけど…ほんとに?」
「そこは今いいでしょ。返事。早くしてよ」
「いやまさかそんな、ねぇ?こんなとこ呼び出したらもう告白しますって伝えてるようなもんでしょ。ベタじゃん」
「馬鹿にしてない?返事は?付き合ってくれるの?」
「ごめんなさい。」
「…そっか」
「付き合ってください。」
「え?」
「俺から伝えたかったから」
「なにそれ。そっちこそベタじゃん」
「体育館裏よりましでしょ」
「そうかな?」
「そうだよ。てかなんで佐藤いるの?」
「君が来る前に告白したの。でも振られちゃって。その後すぐ第二候補来たんだよね」
「お前らよく俺無視して会話できたよな」
「え?ちょっと待って?告白したの?佐藤が?」
「違うよ。私が佐藤に告白して振られたの」
「え?そんで俺に告白したの?」
「うん。第二候補」
「第二候補って言うな!じゃあやだよ、そんなやつと付き合わねぇよ!」
「え?私のこと好きなんじゃないの?」
「好きだけど振られてすぐ第二候補に告白する人やだよ」
「えーじゃあどうするの。早く決めないと第三候補来ちゃうじゃん」
「何人候補いるんだよ」
「ほら、男なら早く返事してやれよ」
「第一候補から言われるの死ぬほどムカつくんだけど」
「早く!もうすぐ第三候補来るって!」
「せめて名前で呼んでやれよ。あーもうわかったよ!好きだし付き合うよ」
「やったー!大好きだよ!」
「第一候補の前でよく言えるなそんなこと」
「付き合ったら君が第一候補だもん」
「お、おぉ…そっか…」
「そういう反応しちゃうから第二候補なんだよ」
「第一候補だからって調子乗るなよお前は」
「早く帰ろ。第三候補来ちゃう」
「てかなんで佐藤残ってたんだよ!振ったんなら早く帰れよ!!」
「いや、第二候補来るって言うからさ、どんなやつか見てやろうと思って」
「性格悪!俺こいつに負けたのかよ!てかよく佐藤の前で告白できたよな」
「うん。もう流れ作業みたいなもんだから」
「昔からこの方法で彼氏作ってるらしいよ」
「イカれてんなこの女」 

「ごめーん、お待たせ。話って?」

「ごめんね。第二候補と付き合うことにしたから、君は用無し」

「第三候補の扱い酷いな」

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