静寂(せいじゃく)

静寂(せいじゃく)が僕の中で訪れた。

静寂は大きな音は出さず、

ただ、無音であるように感じる。

まるで、自分という小舟が

荒(あ)れた海原(うなばら)を脱出し、

静かな海に出たような静寂(せいじゃく)

しかし、静寂は静かなようにみえても

様々な音を奏(かな)でている。

まるで、

聞こえるか聞こえないかわからない

静かなオーケストラのようだ。

僕の今の静寂にも

耳をすませば色々な音がある。

遠くのほうから虫が奏でるジジジジジ

何かが聞こえるツィツィツィッ！

何かは分からぬフゥィフゥィフォイ！

色々な音が無音と思われている空間から

聞こえてくる。

そんな静寂のオーケストラを体感していると

前のほうから、ザザザザ〜❗

という音とともに頬に風がぶつかってきた。

そして、風は僕が振り向くよりも先に

何処(どこ)かへと姿を消した。

そう思った矢先(やさき)

風がUターンを初め、

僕の後ろからすごいスピードで

僕を追い越し通り過ぎた。

何もないと思う静寂(せいじゃく)

しかし、静寂を無音ではなく

そこにいる自然が巻き起こす

様々な演奏者たちの演奏会として

聞いてみたら静寂が楽しみに変わる

そう思った今日であった。