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ユグド通信Vol.46 九領の領主達(後編)

 前回は炎の九領を統治する現在の領主達の話をしましたので、今回は先代の領主と当主の親族の話をしたいと思います。回想が中心とはいえ案外先代の領主達は作中に登場していたりするんですよ。(個別絵があるのは第一、第四領だけですけど)


先代の当主達

前述の通り九領の先代当主達は概ね作中に姿を現しました。ここからはそんな先代当主達の人となりを検証してみようと思います。ちなみに第五領主だけは領主会議に参加していることは確認できますが、それ以外一切情報がないので割愛します。

かつての九領最強の筆頭

先代第一領主ゲンリュウサイ

第一領の先代当主にして九領筆頭だったゲンリュウサイについては前編で大体語り尽くしたので今回はゲンリュウサイとの出会いについて触れましょう。彼の初出は九領外伝『魔鬼動乱』に遡ります。黒の王との戦いを終えた義勇軍は黒のクロニクルの情報を探す傍らユグド各地で依頼をこなしていました。その最中第九領に妖怪が襲来。これがやがて九領全土を巻き込む大戦の始まりとなります。

自らの不徳が招いた事態から追い詰められたゲンリュウサイは重症を負い崖から転落。そんな彼に救いの手を差し伸べたのは九領でも外法使いと疎まれ正史からは抹消された呪術師の一族『冥府魔導流』でした。彼らは一族の復権を果たすべく二つの力をゲンリュウサイに与えます。ひとつは妖怪軍団。カッパ、天狗といった伝説扱いされていた九領土着の魔物達を召喚して使役させます。もうひとつは妖術の類い。詳細は不明ですがこの力でゲンリュウサイは全盛期を凌駕する力を得て九領に動乱を起こすわけですが、義勇軍と九領軍に阻止され行方を眩ませます。

以後五年間は表舞台に姿を現さなかったゲンリュウサイですが、オロチ襲来に際しては妖怪軍団を率いて白き異形討伐に加勢してくれました。その後はまた何処に姿を消してしまい現在に至ります。

 頭脳派の第二領主

第二領の先代といえばヨシツグ達の父ですよね。作中の登場は伝承『ヨシツグ伝』のみになります。彼とゲンリュウサイのやりとりを見る限りは無謀な戦は挑まない頭脳派に見えますね。少なくとも負け戦が確定している精霊島攻めに跡取りであるヨシツグを送り出したくなかったり、劣勢と見るや早々に兵を引き揚げるよう進言する等慎重かつ冷静に行動しているように見受けられます。この父と母についてはそれなりに高齢であったのでしょうね。ヨシツグが病に倒れた後は心労でやつれてしまったようですし、最初は元服したてのヨシカゲに家督を譲るつもりだったのですから。
少なくともヨシツグが家督を継いだ時点では健在のようですが亡くなったかどうかは定かではありません。

 家臣に恵まれなかった第三領主

先代第三領主はセミマルの父君に当たります。彼も伝承『ヨシツグ伝』での作戦会議で発言がありますが、あまり目立った特徴については語られていません。
なんせ精霊島攻めで負傷してしまい第一部の頃には床に臥せっていました。結果二人の息子を推す家臣達が内乱を始めてしまい、挙げ句ゲンリュウサイの乱に乗じたズイハに城を奪われて消息不明となりました。床に臥せっていたことからも生存は絶望的とも思われますが、ズイハが言葉を濁しているので確定とも言い切れません。(ちなみに長男はズイハの性格からして生かしてはおかないでしょう)

 信念に殉じた第四領主

先代第四領主メイゲツ

第四領主オウシンの先代といえばメイゲツ。数いる鬼達の中でも一際厳格な印象のある人物です。伝統や格式を重んじる彼は二つの禁忌を侵しました。
ひとつは火山の巫女の一族から嫁を娶ったこと。もうひとつは先代当主である父を謀殺したこと。それ故に伝統や掟を守ることに固執した結果、息子に敗れることとなりました。(詳細はアマツ篇参照)
ちなみにメイゲツの先代はゲンリュウサイの乱に乗じて下剋上を狙った結果、まんまとシュザの罠にはまり囚われの身となりました。(メイゲツの先代はアマツ篇の回想に出番がある他、何をやらかしたかは九領外伝も参照)

 好戦的な第六領主

先代第六領主

何処にでもいる悪人顔ですが第六領主になります。
剣の強さこそが鬼の価値と信じて疑わない典型的な鬼の領主。それ故に経済観念にも危機管理能力にも劣る、ぶっちゃけ頭の悪さを政敵に突かれる形で謀殺されてしまいました。(詳細はアキカゼのキャラクエ参照。ちなみに伝承『ヨシツグ伝』にも一言台詞があります)

姑息な第七領主

第七領主も特に台詞はありませんが、お忍びで第七領を訪れていたシュザを暗殺しようとしたり、ゲンリュウサイの乱に乗じて領主自ら第九領を侵略しようとする等の姑息さが目立ちます。結果義勇軍に捕らわれましたけどね。(シュレンのキャラクエ、九領外伝参照)

姿なき第八領主

第八領主については義勇軍と直接面識はありませんが、大宰御前試合一回戦の相手が第八領であったことから戦場の何処にはいたものと思われます。(第一部八章参照)他にもゲンリュウサイの乱で行われた領主会議にも参加していることが示唆されています。(イザナミとツル姫は第三部が初対面であることから当時はまだ先代の可能性が高いです)

今は亡き第九領主

先代第九領主とは鬼姫の方ではなくツル姫の父君のことですよ。第一部の時点で亡くなっているし伝承篇にも出番はありませんが、一度だけ義勇軍と戦ったことがあります。それが『魔神ラザニル襲来』あの魔神は古戦場を再現する力を有しており、鬼姫チドリを甦らせた際に第九領主の姿をした傀儡も生み出しています。チドリと共に泰平の世を夢見ながら病に倒れた先代。ツル姫が立ち会わなかったのは不幸中の幸いだったでしょうね。

領主の縁者

領主の身内とは何も先代ばかりとは限りません。ここからは義勇軍とも縁の深い親族達について解説したいと思います。ちなみに第一、第五、第七領主の親族は既に紹介した以外いないので割愛します。

第二領

第二領主代行ヨシカゲ

ヨシカゲは第二領主ヨシツグの弟。幼い頃から面倒を見てくれた兄を慕っており、父から家督を継ぐよう要請された時も兄を支えるのが自分の役割と固辞した。
元々無鉄砲で喧嘩っ早く見栄っ張りだったが、義勇軍での経験を経て兄の名代として立ち回ることも増えたことから兄に恥じない行動を心がけるようになった。

ヨシツグの世話役ハヤテ

第二領主の遠縁にあたり、ヨシツグが幼い頃から世話役を務める剣士。ヨシツグが病に倒れた時に責任を感じて暇乞いを申し出て薬を求め各地を放浪していたが、薬探しよりも寄り添うことの方が主君の為と考えを改めたようで国に帰還した。

第三領

鬼神党若頭セミマル

 先代第三領主の次男坊で侍集団『鬼神党』若頭。何者かに奪われた党主の証を探して出奔。傍若無人な異母兄から国を取り戻そうとしていたが、かつて姉のように慕っていたズイハに国を乗っ取られる。黒の根源との戦いを終えた後の消息は不明。

第四領

第四領の夜叉姫スオウ

 第四領主オウシンの冷徹な妹。母を早くに亡くし父は政に忙しかったことから兄に育てられたことで兄と動物以外への当たりが強い。一見華奢な見た目からは想像できないくらいの暗器を仕込んでおり、兄を陥れる相手には容赦ない拷問を施すことから第四領の夜叉姫と恐れられている。

第六領

第六領の姫剣豪ヨシノ

 先代第六領主の長女で父と同じ流派を極めた姫剣豪。父が亡くなった後の家臣達による後継の鞘当てに嫌気がさして出奔。傭兵として各地の戦場を転戦する中で義勇軍と出会い民の為に剣を振るう道を歩む。

第八領

第八領主の妹姫クチナシ

 幼いながらも怪力無双な第八領主イザナミの妹。大妖怪シロガネに操られたことから長い間城内に監禁されていた為に世間知らずに拍車がかかっており、コミュニケーションは苦手な模様。

第九領

第九領の鬼姫チドリ

 後の第九領主の妻でツル姫の母になる鬼姫。姫と呼ばれることから第九領の分家の家柄と思われるが詳細は不明。この姿はツル姫が生まれる十数年前のものでゲンリュウサイ率いる第一領軍を退けた全盛期のもの。ツル姫が生まれて数年と待たずに夫婦共々病に倒れ亡くなったが、魔神ラザニルの力で昔の姿のまま甦り現在も何処を共に旅している模様。

まとめ

以上が九領の領主一族の解説になります。領主の親族は大体お馴染みでしょうけど、案外と先代領主達も作中にちらちら顔を出していることが窺えます。本当は家臣の話もしたかったのですが、元家臣含めても以下の通りなので今回は名前の紹介に留めさせて頂きます。今回は以上です。

第一領

チヨメ、マンリョウ、マトイ(サコンとカンベエは傭兵なので家臣ではないですね。シドウとユミコはシュザの預かりとはなっていましたが、主君はゲンリュウサイなので除外)

第二領

コウヨ、インドウ(は元家臣になります)(把羅須呀弖涅(ぱらすあてね)はモブなので割愛、イッシキは第二領お抱えではありますが直系ではないので除外)

第三領

ヨイチ、アザミ、ハルアキ(トウカも家臣と呼べなくもないですが家の代表はハルアキなので割愛)

第四領

ドウマン、ミユキ、イイギリ(イナミ&コシロは家臣ではなくスオウの友達(?)なので除外)

第五領

ハイディマリーは留学生なので家臣は出ていませんね。

第六領

マタサというモブの家臣はいましたが他は特に居なかった筈。(ワカバとアタガワは領民なので除外)

第七領

タチバナ、ライデン、ツムギ

第八領

ソヨ、シデン(ベニガサ、スズシロ、オボロは第八領出身ではありますが家臣ではなさそうです)

第九領

イブキ、フーコ、サナ、ユウリャク(ボクデンも第九領の城に出入りしていますが、あれは家臣というより客員という印象なので除外。アンコも領民なので(略))


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