週刊ユグド通信Vol.34『義勇軍相撃』とは何だったのか? (後編)
義勇軍相撃の真相を追求する企画第二弾!
副都を追われた挙げ句に仲間達からも敵認定されてしまった義勇軍。この逆境から如何にして逆転勝利を果たすのでしょう。そしてラザフォードとトルウァトスの真の狙いは何だったのでしょうか?
5.トルウァトスの目論見
かつて副都のギルド内乱を扇動したトルウァトス。
今回の副都の内乱にも加担していそうな雰囲気ですが、今回の彼女は何もしていません。
取り付く島もないラザフォードには早々に見切りをつけたトルウァトスが次に目を付けたのが主人公。
皆の期待を一身に背負い最善を尽くした筈なのに裏切りの連続に絶望して魔神になった彼女は、仲間達から敵認定された主人公をここぞとばかり誘惑しました。
本来は手駒にするべく手を差し伸べる腹積もりだったのでしょうが、逆に手を差し伸べられてしまいます。
こうして魔神トルウァトスが加わったことで副都内乱を煽る存在は監視下に置かれることとなります。しかしこの行動が新たな火種となることをその時は誰一人知るよしもありません。
6.魔神に操られた義勇軍!?
トルウァトスの証言で反議会派を扇動した黒幕がラザフォードだと云うことはわかりました。しかし前線ではアサシンによって義勇軍は魔神に操られているという言説が吹聴されトルウァトスの姿が噂に信憑性を与えています。これには反議会派を振り切って前線で指揮を執る議長も困り果てます。そこで白羽の矢が立ったカイン君を説得したかったのですが、護衛を装ったアサシンの妨害で主人公は負傷してしまいます。
どうにかアサシンを撃退し誤解も解けた義勇軍はラザフォードのアジトを強襲。ラザフォードには逃げられてしまいますが、反議会派を捕らえたことで事態は終息することとなります。
7.君たちは何を求めているのか?
今回の事件を主導したのはラザフォードではありますが、そこには様々な思惑が交錯し事態をややこしくしていました。ここでは一連の事件で義勇軍に加わった面々の事情を解説します。
1.アシュリー
今回の事件で最も能動的に介入したのがレンジャーギルドのアシュリー。放任なギルド長の影響で個人主義な同ギルドも今回は特に内乱には発展しませんでしたが、嗅覚に優れた彼女は功績作りの為だけに単身義勇軍に加勢してくれました。(ついつい口を滑らせるので全く野心を隠しきれていないのですけどね)トルウァトスを確保した時も考えてもどうにもならないと開き直っていたので、計算高いようで案外直感的に生きているのかもしれません。
2.ジューダ
本能の赴くまま加勢してくれました。もし彼が来てくれなければトルウァトスの追跡は困難だったでしょう。基本的には享楽に準じて行動していた模様。
3.ミレイユ
シルヴァが何を思って彼女を選んだのかは不明ですが、彼女の実家のある村が疎開中だったことで義勇軍は仮の拠点を設置できました。ミレイユ個人としてはシルヴァさんの命令なら大丈夫という自信からか、ぶれることなく付き合ってくれました。
4.ヴィドック
彼が肩に乗せている鳩が議長との繋ぎに使われていることに気付きましたか。副議長セリーヌも触れていますが、彼は唯一ラザフォードの動向を多少補足できる人物になります。それを主人公の護衛に回す程に事態は切迫していたとも言えます。ラザフォード自身は彼の正体に感づいていそうですが、尻尾を出さない上に腕の立つ駒なので泳がせていた模様。
5.ツァイス
ヴィドックと違って彼はラザフォードから事態を見届けろ的な曖昧な命令しか受けていないようです。彼自身も真意を計りかねているようで本当に何も知らされていないのかもしれません。少なくとも副都の一般人を巻き込むことは本意ではないようです。
7.結局ラザフォードは何がしたかった?
トルウァトスは前述の通りラザフォードの計画に便乗して主人公を仲間に引き込もうとしただけですね。ではラザフォードの目的は何だったのでしょう?
一見するとかつてのように副都支配を目論んだようにも見えますが、彼の本当の目的は義勇軍と副都を試すことだったのではないでしょうか。
1.試すとは?
前編でも触れましたが黒の王亡き後の副都は喫緊の脅威を免れましたが、未だ王都には黒の軍勢が跳梁跋扈しています。復興どころか占領地の解放すらままならない。先送りにせざるを得なかった内政面の問題は手付かずのまま長く続いた緊張感からの解放は人々の不平不満を噴火寸前まで押し上げています。
もうトルウァトスが介入した頃とは違うんです。我慢に我慢を重ねてきた副都に生きる人々の理性は限界に近かったのでしょう。だからラザフォードは義勇軍や議長が街を守れるのなら当面は静観。逆に混乱を収めることが出来なければ自身が力で副都を支配するつもりだったのでしょうね。
2.ラザフォードの真の狙い
ラザフォードの行動理念は常に一貫しています。
滅びの運命に抗う鍵を見つけること
今回の事件は鍵とは直接関係ないんですけどね。それでも介入しなければ事態の収拾がつかなくなると判断したから今回の事件を引き起こしたのでしょう。
3.ヒストリーofラザフォード
ここからはラザフォードが何をしていたのかを時系列順に解説したいと思います。(流れを理解している人は飛ばしてください)
副都内部で反議会派が蜂起を模索する。同時期に各地のギルドや市民の間での軋轢が躊躇となる中ラザフォードが反議会派の後ろ楯となる。
小競り合いや衝突が頻発し始めた副都に情報操作を施し義勇軍を騒動の首謀者に仕立て上げる。
街を追われた義勇軍の監視にツァイス(とヴィドックも?)を派遣。
トルウァトスが纏わりついてきたので追い払う。
副都が黒の軍勢の襲撃を受けているというガセネタを義勇軍にリーク。
アンジェリカ達を間に入れて義勇軍を副都から追い払う。
反議会派を煽り隊長とカインの暗殺を目論む。
アジトに乗り込んできた義勇軍の実力を試す。及第点だったので反議会派を首謀者として引渡し、自身は姿を消す。
まだ細かい部分が不足してはいますが大体こんな感じですね。
8.義勇軍相撃Q&A
最後はここまでに考察しきれなかった要素をQ&A方式で解説したいと思います。
Q1.ラザフォードはなぜ反議会派に加勢した?
A1.トルウァトスも暗躍していますし彼が手を貸さなくとも何れ副都民の不満は暴発します。ならば自身がコントロールしやすい形で介入したのでしょう。
Q2.トルウァトスは本当に何もしていない?
A2.ラザフォードや主人公を懐柔しようとした他、義勇軍や副都民の不安を増幅させていました。しかし本命は主人公一人で副都の混乱は目的ではありません。
Q3.反議会派とは何者?
A3.商人はギルド同盟評議会の前身である商人議会の議員になります。評議会立ち上げに伴い権限が制限されたことに強い不満を持っています。神官は商人と組んで神殿の影響力を高めたかったのでしょう。傭兵は戦士ギルドに属さないフリーの傭兵団長になります。
Q4.なぜ副都で傷害や放火事件が多発した?
A.トルウァトスの能力や反議会派も一因ですが、最前線の緊張感による副都民のストレスが限界に達していたのも大きな要因です。
Q5.議長はなぜ義勇軍を副都に呼び出した?
A5.義勇軍を悪者にする風説を打ち消す手筈だったようですが、反議会派に先手を取られた模様。
Q6.なぜ義勇軍は悪者にされた?
A.反議会派は義勇軍を貶めることで議長失脚を画策していました。
Q7.風説を流したのは誰?
A7.アサシンや反議会派が流していたようですね。
Q8.トルウァトスがラザフォードに接触した理由は?
A8.懐柔も兼ねてそうですが、主目的は牽制ですね。
Q9.誰が義勇軍の捕縛命令を出した?
A9.これを言っているのがアサシンなので捏造した可能性と反議会派議員が独断で議会に通したのでしょう。
Q10.カインが義勇軍を離れた本当の理由。
A10.トルウァトスが力を行使していたのも一因ですが、義勇軍のモブに隊長のおまけ扱いされたのがかなりダメージになってます。それに加えて身動きがとれない義勇軍に対する窮屈さが追い打ちをかけました。
Q11.副都が黒の軍勢に襲撃されたという手紙は本物?
A11.アシュリーの仲間から副都の危機を告げる手紙が来ましたが、これは義勇軍を副都に誘い出すラザフォードの罠でしょうね。
Q12.義勇軍に働く妙な力とは?
A12.義勇軍相撃の際にアルドラが「義勇軍には妙な力が働いているようじゃ」と述べています。これはトルウァトスのことでしょう。姿は見えずとも魔術に精通している者には気配が分かるのでしょうね。これは主人公を懐柔しようと頭の中に呼びかけているだけで、皆が心配するような洗脳済みではありません。
結果的にはギルド連合軍を戦々恐々させて義勇軍を分断したのでトルウァトスとしては狙い通りだったのでしょうけど。
Q13.アンジェリカはなぜ敵対してきた?
A13.ラザフォードとしては主人公を始末しても良かったのでしょうが、それはアンジェリカもフェイスレスも望まぬ所。それを承知で二人を送り込んだのはアンジェリカ達以外ではこの仕事が務まらないからです。(他のアサシンでは時間稼ぎにもならないから)
実はアンジェリカには別の目的もありました。それは主人公と本気で一戦交えてみたかったから。それに本気モードの自分を倒せなければ師(※)に殺られてしまうのは確実だからというのもあります。
(※)ラザフォード
Q14.義勇軍を副都に誘い出した真の理由は?
A.一見すると義勇軍を亡きものにすべくラザフォードが誘い出したように見えるかもしれませんが、これは反議会派に対する牽制でもあります。
もしラザフォードが動かなければ反議会派は暗殺や策謀で義勇軍を罠にかけてきたでしょう。それを牽制して義勇軍の警戒レベルを上げさせ背後関係を探らせる。これがラザフォードの真意なのでしょうね。
Q15.トルウァトスはなんで仲間になったの?
A15.ラザフォードの計画に便乗しようとしたトルウァトスの誤算はジューダの存在。今回の彼女にとって主人公の懐柔以外はオマケのようなものでしたから。
自身と同じ境遇に追い込めば容易く仲間に引き入れられると思っていたのにそれが全て失敗に終わった。
どんなに追い込んでも希望を捨てない。態勢を立て直すべく逃げようとしてもジューダに見つかる。魔神になって最大の屈辱だったでしょう。挙げ句の果てには手を差し伸べたら逆に差し返されてしまいました。
もうね彼女の理解の範疇を超えてしまったのですよ。掴み所のない彼が何を成すか見守りたいし絶望してくれるなら今度こそ懐柔したい。だから影から主人公を眺めることにしました。
Q16.議長なぜ前線に?
A16.議長の狙いは三つあります。一つはアサシンが次々送られるから街を離れたい。もう一つは反議会派に義勇軍の件で不信任動議を提出されかねないから。(議会の中には冷静さを失って反議会派に同調する議員が出かねません)最後は義勇軍と接触しやすいから。前線で指揮を執る姿は副都市民にも共感されやすいでしょうしね。
Q17.なんでアサシンの二人がラザフォードと戦うの?
A17.ヴィドックはともかくツァイスを送ったのはラザフォードの筈なのに戦わせられるツァイス。特に他意はないと思います。強いて上げれば試験のようなものなのでしょうね。(ツァイスにとってはとんだ貧乏くじだったでしょうけど)
Q18.なんで議長は反議会派を無罪放免にした?
A18.本来ならクーデター未遂という話ですけど副都は人手不足著しいのですよね。なので今後の働き次第ということで執行猶予をつけた形ですね。
9.まとめ
義勇軍相撃におけるラザフォードの真の目的は副都民のストレスに対するガス抜きだったのでしょう。
勿論義勇軍や議長が役不足なら自身が副都を乗っ取る計画と思われます。ところがトルウァトスが介入したせいで計画に狂いが生じてしまいました。(誤差の範囲でしょうけど)
議長も言う通りラザフォードが介入しなかったとしてもいつかは反議会派の蜂起は起きたでしょうし、ギルドや市民の間での小競り合いが危機に連鎖する可能性もありました。遅かれ早かれ副都は別の危機に見舞われたでしょう。
しかし今回の件をきっかけに副都民の結束と絆は確実に深まりました。ラザフォードは事件の首謀者でありましたし彼のやり方には決して正当性はありません。それでも彼は彼なりのやり方で副都を守ろうとしたように思われます。
一方トルウァトスは主人公を懐柔して手駒にする計画は頓挫してしまいましたが、(本意でないとはいえ)それはそれで居心地の良い居場所を手に入れました。ラザフォードの言う通り彼女は決して改心はしませんし隙あらば主人公を支配したくて堪らない。そんな過程を楽しめる限り彼女が裏切ることはないでしょうね。
後記
少し長い話になってしまいましたね。とっちらかった気もしますが、伝えたいことは詰め込みました。
今回の考察で"義勇軍相撃"の全容やラザフォードの意図が伝われば幸いです。それとトルウァトスってあざと可愛くないですか。めっさ性格悪いのにひたすら一途なんですよね。二人の今後の活躍が期待されます。
今回は以上です。