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週刊ユグド通信Vol.3『少数精鋭・実践魔導ギルドⅡ』

 たった七人ながらも副都を代表する戦闘系ギルドの地位を築いた実践魔導ギルド。その成り立ちはギルド長アルドラを襲った悲劇と後悔から始まりました。
 今回はアルドラが実践魔導ギルドを設立した経緯と経歴について検証したいと思います。


賢者の塔のアルドラ

 今でこそ副都を代表するギルドの長として評議会にも出入り出来る地位にいるアルドラですが、元々は賢者の塔にある魔法学園の卒業生でした。
やがては魔法学園の三ツ星教授として真理の探求に従事する筈だったアルドラでしたが、同期の親友が事故で昏睡状態に陥ってしまいます。(※1)
この件はアルドラの中での賢者の塔に対する不信感と自身に対する無力感がない交ぜになっていたことが窺え、彼女が塔を離れてギルドを設立する主因になったものと思われます。

 まず事故の原因について検証してみます。
この事故は賢者の塔で研究が始まったばかりの魔導刻印付与実験が失敗したことが原因ですが、事故を誘発した直因は黒の軍勢の奇襲でした。
正直当時の黒の軍勢相手では如何なる対処も無力化されかねません。それを頭では理解していても感情的には(事故を防げなかった)塔の人間を許せなかったのでしょう。

もう一つの要因は当時のアルドラが助教授に過ぎなかったことが考えられます。
アルドラとしては昏睡状態の親友を救う研究に全力投球したかったでしょう。しかし所詮は助教授。潤沢な研究資金も専用の研究室もありません。
更に黒の軍勢の脅威が差し迫る中で塔が優先すべき研究は、より合理的で確実性のある刻印強化ということになります。当時はアドヴェルサス教授(※2)の影響力もあったでしょう。如何にディルマ(※3)が治療に当たってくれたとしても前例のない症例が片手間に解決出来る筈もありません。これでは賢者の塔に残ることは彼女にとっては足枷にしかなりません。

以上の点からアルドラは賢者の塔に頼らない形で独学で資金を稼ぎ、研究を進め、同志を募らなければならなかったものと考えられます。
アルドラは義勇軍の助けを借りて親友を救う手段を得ましたが、結果は残念なこととなりました。(※4)
しかしこれで全てが終わった訳ではありません。
彼女にとってもかけがえのない存在となったギルドの再出発を宣言します。

※1)『魔法兵団学生伝Ⅲ』参照
※2)3部アリーチェ篇で暗躍した狂学者
※3)三賢者の一人で生命を司る(賢者)
※4)万象の魔導師アルドラ『万象にあらず』参照

アルドラの経歴

さて、副都のギルドを代表する人物達は過去の経歴が多少なりとも語られています。しかしアルドラについては魔法学園の卒業生という以外特に出自については触れられていません。

アルドラの年齢は?

よくヴォルグ(※1)からは若ババア扱いされているアルドラですが、年齢は幾つなのでしょう?
チェンクロ内では薄命の民を除くと明確な年齢に関する描写はほとんどないので推測になりますが、アルドラの現在の年齢はおおよそ二十代後半と思われます。
なぜなら魔法兵団学生伝にて学生達が卒業年に成人を迎えています。ユグド大陸の成人年齢に関する描写はありませんが、魔法学園が初等科(小学校年齢に相当)から始まり、普通科を経て専門学科(全員ではない)に進学して卒業年を迎える頃に成人するなら18歳は妥当な数字なのではないでしょうか。。
ならば卒業年=18歳+一年先輩なので当時は19歳。ここから王都陥落を経て現在に至るまでがおよそ10年程度なので二十代後半と考えられます。

 「意外と若いの?」と思われるかもしれませんが、その最大の要因が年寄り臭い喋り方のせいでしょう。
なんで年寄り臭いのでしょうね。
マトイ(※2)みたいにおばあちゃん子だったのでしょうか。それとも彼女の故郷では日常的な言葉遣いだったのでしょうか。それはまだわかりません。

※1)龍殺しの異名を持つ狂戦士(副都)
※2)一領忍衆のクノイチ(九領)

魔導ギルド設立

 アルドラの出自についてはわかりませんが、ギルド設立後最初に挑んだ大仕事が第一次王都奪還作戦。(※)
まだ立ち上げ間もないギルドの名を上げるべく奮闘したようです。さて、この時に魔導ギルドのメンバーを伴っていたのでしょうか? 総合的に考えればここはアルドラが単身参戦したものと推測出来ます。
まずゲッベルツ、フラウ、ナナイは元々前線向きではありません。双子は修行中の身、こちらも前線には出せません。ファルベとソリティに至っては魔導ギルドに加入したのはだいぶ後になります。
或いはこの戦いで名を上げたことでギル面が集まったのかもしれないですね。

※)『1,300万DL記念クエスト』他参照

まとめ

アルドラは年寄り臭い喋り方のせいか実年齢より老けて見られがちですが、意外と若く経歴に不明瞭な点が多いです。ただ実家から結婚の催促がない点を踏まえると名家の生まれである可能性は低いでしょう。

アルドラ個人の話はこれで終了なのですが、次回は彼女が集めた(志願した?)団員達の秘密を考察したいと思います。憶測の域は出ませんが、もしも想像通りならなかなかに面白い裏設定があることになりますよ。




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