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週刊ユグド通信Vol.85『アサシンギルド(後編)』

  前回はアサシンギルドの概要と構成員の話をしましたが、今回はラザフォードとアサシンギルドの歴史について振り返ってみます。さすがに全ての時系列を網羅するつもりはありませんが主だった話は溢していない筈です。


1.過去世界のラザフォード

 確認できるラザフォードの最も古い記録は伝承篇【黒騎士伝】における王都決戦前になります。

ギルバート議長の執務室に突如現れるラザフォード

 そこでは挨拶を交わす程度で直ぐに姿を消します 。そして義勇軍の敗北を経て世界が滅亡する中で彼は何人かの部下達と最後の瞬間まで黒の軍勢との戦いを続けました。とまあこれがラザフォードの姿を確認できる最も古い記録になります。

 因みにif世界の59万1097回目の副都でも姿は確認出来ませんがifリュビアのクエストではアサシンギルド造反を企てた先代ギルド長が彼らしき人物として描写されています。

2.アサシンギルド以前のラザフォード

 把握している範囲での最も古いラザフォードに関する目撃例は第1部のおよそ50年前に精霊島で起きた千河の氏族と海風の氏族による縄張りを巡る争い。過去最悪の衝突となり両者の抗争を止めようとした黄果の歌姫ムジカは精霊島に突如現れたラザフォードに促されるまま『愛のファンタジア』を歌った結果、戦死者がゾンビとなって甦り双方を無差別に襲う泥沼の惨劇となりました。しかしこの件への関与を問われたラザフォードは「50年前に現れたのは、私だとも言えるしそうでないとも言える」「"私"をどう定義するかで答えは変わる」と意味深な発言をしています。

 彼は世界についてどこまで熟知しているのか? 前世の記憶を引き継いでいるのか? それは定かではありませんが、仮に同じ姿をした別のラザフォードだとすれば黒の根源が関与している可能性が高そうです。因みにアンジェリカの話では少なくとも100年以上は姿を変えずに生きているらしいです。

3.ラザフォード誕生

 ラザフォードが覚えている最も古い記憶は2200万DL記念クエスト【黒に抗う者】で描かれた狭間の大陸になります。ここで生まれたのかは定かではありませんが、幼い彼は黒の根源によって聖王国の片田舎(※)へと飛ばされ子供のいない老夫婦の養子として成人年齢までを過ごします。しかし黒の因子に身体を蝕まれたラザフォードは村を滅ぼしてしまい自らを利用しようとする黒の根源への復讐を誓った彼はアサシンギルドを結成。更に黒の根源を滅ぼし得る力を持つもの『鍵』の発見を目指します。

(※)場所の言及はありませんが村の惨事にギルドではなく聖騎士団が駆け付けているので王都に近い場所の可能性が高そうです。

4.アサシンギルド年表

 ここからはアサシンギルドとラザフォードの歴史をおおよそ時系列順に並べてみます。ただし各事件の発生時期は多少前後することはご了承下さい。

●??年前

・狭間の大陸にラザフォード少年が降臨。聖王国の片田舎に飛ばされて成人までを過ごすも黒の因子が暴走して村は壊滅する。
2020年『2200万DL記念クエスト【黒に抗う者】』

●五十年前

  ・精霊島の内乱をラザフォードと見られる人物が煽動。争いを止めようとしたムジカが歌った『愛のファンタジア』が暴走して大惨事となる。この時の混乱に乗じて滅亡の矢(※)を奪った。
『チェンスト6.【破壊と再生の組曲】』他

(※)運命を司る三本の矢(繁栄、闘争、滅亡)の一本。矢の持ち主を対応した運命に導く。

●数年~十数年前

・聖王国の内乱で滅びた町でラザフォードは少女を拾いアンジェリカと名付ける。数年後にスルスタンも何処かで拾う。
『暗殺者の弟子アンジェリカ【黒い背中】』

・ユグド各地で狂暴化(黒化)した魔物が現れ始める。ラザフォードは(介入は)まだ時期尚早と判断。
『伝承篇【シルヴァ伝】』

・ユグド各地で奇妙な病(黒化病)が散見される。報告書を評議会に届けようとしたヒーラーのラティが暗殺者に襲われ書簡を強奪される。
『伝承篇【シルヴァ伝】』他

・聖王国のとある村に住む少女イルマが謎の病にかかり更に暗殺者に誘拐されそうになる。
『伝承篇【シルヴァ伝】』

・聖杯騎士団団長オルドレードが背信者の司教を倒しカデッサを保護した直後ラザフォードが現れる。二人はやがて現れる黒の軍勢への対抗手段を話し合う。
『チェンスト15.【征服王の野望】』

 ・九領のとある地方で内乱発生。ラザフォードと見られる人物が煽動していたという疑惑あり。
『チェンスト3.【疑わしきものたち】』

・軍神の民の村壊滅。村の生き残りであるルークが正気を取り戻した時に見たものは、壊滅した村とそこに佇む傷付いたラザフォードだけだった。
『チェンスト15.【征服王の野望】』

・賢者の塔の魔法学園第127回学園祭に乗じて『マジカル★コンパクト』の奪取と魔法兵団、刻印者計画の牽制に暗殺者を派遣。依頼主は大神殿とされる。
『伝承篇【魔法兵団学生伝Ⅱ】』

・実践魔導戦技特科『フラム』の卒業試験を兼ねた修学旅行に暗殺者を送るがこちらは陽動。本題は大神殿からの依頼で刻印研究の資料奪取と牽制……というのも建前で本命は『零の刻印者』(※)の奪取。
『伝承篇【魔法兵団学生伝Ⅲ】』

(※)魔法兵団のユニのこと

・聖王国の敵対する主だった犯罪組織を壊滅させる。
2020年『2200万DL記念クエスト【黒に抗う者】』

・リュビアとルクレチアがそれぞれギルドを脱退。正確な時期は不明。(※)

(※)if世界ではリュビアがギルド離反の前に議会と話を付けているので、ユグド世界のリュビアが脱退したのはギルド離反の話を聞く前であることが窺えます。

●王都陥落

・聖王が黒の王に敗れ聖騎士団敗走。副都は黒の軍勢との戦いの最前線となる。
『伝承篇【シルヴァ伝】』他

・王都防衛戦にアサシンギルドも参加していたようだが詳細は不明。(※)

(※)副都外伝にてニーナが王都防衛戦に参加していた旨の話がありますので、ここでマスターを失なったものと思われます。

・アサシンギルドが副都評議会から離反。(※)

(※)ifリュビアの話では王都陥落前から計画は動いていた模様。

●ギルド同盟誕生

・副都評議会のギルバート議長は副都をギルドが統治する自治都市へと移行。評議会をギルド同盟議会に改組する。『伝承篇【シルヴァ伝】』

・ラザフォードとギルバート議長による不可侵条約が秘密裏に結ばれる。アサシンギルドはギルド同盟の妨害、乗っ取りを狙う組織の牽制に動く。
2020年『2200万DL記念クエスト【黒に抗う者】』

 ●義勇軍結成(第1部)

・副都に黒の軍勢に立ち向かう若者と妖精がやってくる。若者は戦士ギルド長シルヴァの助言で義勇軍を結成する。2023年『義勇軍、誕生』

義勇軍誕生直後からその存在を注視していた。

・黒の軍勢の動向を監視していたアサシンギルドは副都近郊で謎の少女を発見。介入は危険と判断したラザフォードは少女を助ける不思議な若者を目撃する。2020年『2200万DL記念クエスト【黒に抗う者】』2

・アサシンギルドの二重スパイを務めていたフランツが義勇軍に寝返る。『お調子者フランツ【日蝕の男】』

・義勇軍隊長を狙ってアサシンギルドの刺客が度々送り込まれるが、何人かは義勇軍に寝返る。(※)
『微笑む悪魔アンジェリカ【襲い来る者】』『無垢の暗殺者ニーナ【無垢なる凶手】』他

(※)ラザフォードの命令かは定かではないが、時期的に『輪廻教会』が依頼主の可能性もある。(輪廻教会の詳細は密命神官ヨハン【密命の結末】参照)

・アサシンギルドを裏切ったアンジェリカに度々刺客が送られるも全て撃退される。
『微笑む悪魔アンジェリカ【微笑みの暗殺者】』『浴衣の悪魔アンジェリカ【現れる影】』他

・ラザフォードは副都とスラムを対立させることで混乱した副都の掌握を目論む。
『チェンスト3.【疑わしきものたち】』

・アサシンギルドが清廉の泉騎士団の団長を狙って刺客を送り込むも誤って団員のルアンナに襲いかかる。
2014年『騎士団クエスト~"清廉の泉"騎士団、出撃!~』

・ロックな吟遊詩人ハサン達が始めたバンドの前に突如ラザフォードが現れる。副都までの道案内とボーカルのナイエルが探していた曲『愛のファンタジア』の歌詞が記された石板を譲るという。しかしラザフォードに強い嫌悪感を抱いたハサンはこれを拒否するが…

亡くなっても復活していたのだろうか?

『チェンスト6.【破壊と再生の組曲】』

・ラザフォードはオルドレードが目指す狂戦士計画を力付くで押し進めるべく阻止しようとする聖騎士団を翻弄する。『チェンスト15.【征服王の野望】』

・聖都で発生した貴族と神殿によるクーデター。囚われた総帥アインスロットを救出すべくギルバート議長はギルド経由で戦士長シルヴァを派遣するが、何故かラザフォードの姿もあった。(※)『外伝【聖王継承】』

(※)議長が直接交渉できるとも思えないので自主的に来たのでしょう。

・副都の調整役である議長達が倒れギルド間の対立が深まる中、何者かに煽動されたアサシン達が混乱に拍車を駆ける。ラザフォードは事件の黒幕の一人魔神トルウァトスを追う。『外伝【副都の一番長い一日】』

●王都奪還戦

 ・数百年ぶりに開催されたユグド大陸の最高意思決定機関『円卓会議』の決定により義勇軍を中心としたユグド連合軍は黒の王を撃破する。

●黒のクロニクルを追って(第2部)

・黒の王が残した黒のクロニクルが彼方に飛び去り、義勇軍は外海へと渡る手段を模索する。

・ルアンナの紹介で"清廉の泉"騎士団長のミノアと街の見回りを始めた義勇軍の前にアサシンギルドがアンジェリカを助っ人に現れる。(※)
2014年『また!? 狙われた騎士団長』

(※)この話の後日談はアサシンギルドと直接関係ないので割愛します。『踏破【羽ばたく自由の鷹】』参照

・ラザフォードは世界を救う『鍵』の一つと睨んでイノ(※)を囲い込む為にリーアを利用しようと企むが義勇軍に阻止される。
『チェンスト18.【罪人と無垢なる少女】』

(※)リーアの友達の黒の軍勢。黒の因子を持たない故に同族からは忌避されていた。

●黒の根源消滅

・黒の軍勢の親玉である黒の根源が義勇軍によって消滅させられラザフォードがギルドから姿を消す。

●五年後(第3部)

・聖王国では王都復興が進む中、ユグド各地で白い魔物『白き異形』が大量発生。

・ラザフォード無きアサシンギルドをギルバート議長の命を受けたヴィドックが掌握。ラザフォードに心酔する過激派信者がギルドを離反。
『虚像のギルド長ヴィドック【雇われギルド長】』

・ラザフォード信者の元ギルド員やギルド反主流派によるテロが相次ぐ。当初はアサシンギルドが対処していたものの手段の過激化によりギルド同盟の総力を挙げて殲滅する。

『虚像のギルド長ヴィドック【雇われギルド長】』『微笑み深める悪魔アンジェリカ【微笑みの在り方】』『闇に在る者ラザフォード【暗殺者の王】』

・年代記の塔の出現と共にユグド各地で起きる異変、紙片化現象、黒の因子を宿す者達への精神汚染。ラザフォードは同じ状況に放り込まれた九領筆頭シュザと共闘する。『グランドサーガ【炎の九領篇】』

●世界根源との決着

 ・義勇軍の活躍により世界は危機を脱する。

●義勇軍本部誕生、異変勃発(第4部)

・円卓会議の総意で義勇軍隊長のユグド盟主就任は超法規的措置で一致。代わりに義勇軍の活動拠点としての本部設置が決定。一方ユグド各地で灰色の魔物『灰の骸』の目撃例が増加。異常現象『異変』が勃発する。

・ラザフォードは手駒を用いて諜報活動を継続中。有用な情報はヴィドックにも共有している。
『貪欲の獄主ヴァレリオ【大輪の悪の華】』

・ユグド大陸全域は勿論のこと外海でも指名手配されていたラザフォードが突如副都の衛兵詰所に出頭。ギルバート議長との対談を要求してきた。対談直後ラザフォードが宿すクロニクルの欠片が暴走。世界の欠片であるピリカの祝福を受けて新たな力を覚醒させる。
『Road to 10thクロニクルの覚醒【暗殺者篇】』

・ユグド大陸上空に突如現れた亀裂からヘルドラ世界の黒の軍勢が湧き出す。万象鏡で駆け付けた義勇軍に加勢してくれたのは異変を察知した賢者ファティマとラザフォード率いるアサシンギルドだった。しかし黒の軍勢が放出した瘴気とラザフォードの黒の因子が合わさり爆発。ラザフォードは重症を負うものの万象鏡の導きにより奈落の世界ヘルドラへと旅立つ。
『奈落の世界』

二人のラザフォードの邂逅

・義勇軍とラザフォードは奈落世界においてラザフォードと対を成す存在、ジルファ=ラザフォードの策略により窮地に立たされる。
『奈落の世界』

・蝕が収まった後のヘルドラ大陸西方大砦に侵入したラザフォードは同じ名を持つ男の歴史を紐解いていく。2024年『伝説の暗殺者』


 以上が現在判明しているアサシンギルドとラザフォードの主な記録になります。黒から生まれ光に照らされたものの闇に堕ちた伝説の暗殺者ラザフォード。

 黒の根源への復讐の為にあらゆるものを踏みにじり利用してきたラザフォードですが、彼が蒔いた種は目論見とはかけ離れた形で実を結び闇に生きる者達や義勇軍との絆を深めました。今でも彼にとっては他人の生死等とるに足らないものに変わりはありませんが、かつてに比べれば随分と優しくなりましたね。かつて九領の剣豪ボクデンがシュザが変わったと言ったように、魔神トルウァトスがあざとく不敵でありながら面倒見がよくなったように、西方大騎士団のカンパネルラ団長が最善の為なら手段を選ばないように、獄主ヴァレリオが露骨な悪事からは手を引いたように、年表を辿って見ると彼もまた大きく変化したことが感じられます。果たしてここからラザフォードとアサシンギルドはどんな変化を見せてくれるのでしょうね。

今回は以上となります。

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