
「壁」があらわれたときの、心理学的な分析と対応策
みなさんどうですか。人生の中で壁となることは、どれぐらいやってきましたか。新しいことを始めたり、チャレンジした数だけ壁があるのでは、というのが僕の考え方です。
中にはものすごく天才的な方がいて、新しいことを始めてもスルスルと自分の思うところまで到達できてしまう、ということもあるかもしれません。
僕のような一般の人間には、壁が高いか低いか、厚いか薄いかは別としても、新しいことを始めると必ずやってくるものが壁だと思っています。
たとえばVoicyで話すということに関しても、本編で10分になるように話し終わることを目標にやっていますが、最初は苦戦しました。
僕はもともとFMラジオのパーソナリティーをやっていましたが、これも苦労しました。タイム通りに話して収録をしていくんですよね。ラジオだと本当にぴったり終わらなければいけませんが、「それではまた来週、ごきげんよう。おやすみなさい」と、最後の言葉がタイム内に終われず苦労しました。すごい壁でしたね。
それだけではなく、話し方そのものが僕にとっては壁でした。FMラジオはアーカイブが残らないので、オンタイムで聞くしかないのですが、聞くと愕然とするんですよね。自分のしゃべり方の下手さ加減。聞きにくさ、なんか変な節がついているとかね。
自分で聞きながら自分で修正して、少し上手になってきたら、今度はどうしてもクセがとれなくてまた停滞状態して、その壁が厚くて高くてなかなか越えられない。
これなんですね。最初は小さい壁です。「知っている」と「できる」は、まったく違いますからね。
たとえば、スポーツを見ていて、「お、あれできそうだな」と思って実際やってみようと思うと、身体をどう動かしていいのか分からないとか。バッティングセンターに行って、ストレートが余裕で打ち返せるので、「あれ? カーブもいけるんじゃね?」と思ったけど、全然打てないとかね。
ただ、これは越えられると思うんです。
YouTubeで打ち方を観たり、カーブを打つことが上手い人に教えてもらったりとかする。打ち方を知らないからできないわけであって、やり方を知って、身体が慣れてくればできると思います。なので、これは小さな壁だと思うんです。
さて、ここから「本当の壁」がやってきます。心理学で「プラトー現象」と言われているものです。日本語だと「高原現象」と言います。
このプラトー現象、「成長がとまってしまう期間」というもの。上手くなりたいと思って頑張っているのに、成長が停滞してしまう、なかなか上手くなっていかない期間。それが「プラトー現象」です。
グラフをイメージしてください。横軸が時間。学習量や練習量です。縦軸が上達度。時間や量を重ねれば重ねるほど、右肩あがりに通常上がっていきますよね。でも、1回その上達が止まってしまう。全然成長しない期間が横軸と並行になり、そこが高原のように見えるため「高原現象」と言われています。「これは誰にでもおこる現象だ」と心理学的に言われています。
これに似ているのがスランプです。スランプとプラトー現象は、全然違うものなんですよね。「スランプ」は上達する過程ではなく、今までできていたことが上手くできなくなってしまうことです。なので、全然対処の仕方が違います。
スランプを抜けるには気力がいるんですけどね。「うまくできていたときの自分」に「できなくなった自分」を合わせていくことが解消方法です。身体の衰えがありますからね。あるいは環境が大きく変わるなど、アジャストをしていく部分があると思いますが、基本的には「できていたころに戻していく」作業です。できなくなっているのはどの部分なのかを分析して、その部分をやめてしまうのか、新しいやり方にするのかを検討していきます。
これに対してプラトー現象は「上達がしない」というところです。この対応策は3つあると心理学では言われています。
1つ目は「これプラトー現象だ!」と自分で認識することです。必ず「今はこういう時期なんだな」と認識する。プラトー現象の間にやっていることも無駄にはならないので、まずこれを一番最初にやってください。
2つ目は、環境を変えてみることですね。「やっている場所を変える」、「時間を変える」、「一緒にやっている相手を変える」みたいなこと。「目標を変える」でもいいですけど、環境を変えることをやってももしダメなら、一旦距離をおいてください。
3つ目、「今はこれやるのをやめよう!」と思って、ちょっと距離を置くことも大事です。いつまでも伸びていかないと、心が耐えられなくなりますからね。
ですから、プラトー現象に陥っていることを認識して環境を変え、それでもダメなら一旦距離を置いてみる、というのがこの現象の乗り越え方です。参考にしてみてください。
いいねやフォローをありがとうございます。この記事はVoicy 『聴くだけで「使える」心理学』から抜粋し、読むだけで使っていただける記事として掲載しています。本編音声はこちらから↓↓