Lost Forever
Note、ご無沙汰しております。Threadsばかりでお気持ち表明しておりまして、あまり使えておりませんでした。ただ今回のことはSNSで簡単に消費されて欲しく無いので、ここに書き記しておきます。
山田ギャル神宮くんとATSUKIさんと僕との楽曲「Lost Forever」が9/7にリリースされました。この楽曲は僕とATSUKIさんでビートを作り、山田くんがこれに歌を載せてくれたというまあトリプルコラボ的な作品になっています。実は、あまり歌詞に影響されない自分がこの作品の歌詞にはものすごく感銘を受けてしまって、どうしても書き記しておきたいと思い久々にNoteに投稿しています。また、この文章はあくまで僕の主観において作品の歌詞に対する理解を書いてあるので、これが正解というものでは無いです。どう捉えてもらっても良いし、できるだけ色々な解釈をしてもらった方が面白いとは思うので、一意見として楽しんでもらえれば幸いです。
この作品の歌詞は彼の実体験から書き綴られたノンフィクションで、友人との死別がテーマとなっている。歌詞本編を簡単に要約すると、彼は永らく連絡をとっていなかった友人にふと共通の友人を通して友人の様子を聞くと、昨年暮れ頃に亡くなったことが判明し、自身の無力感、そしてそれをどうしても昇華できないもどかしさ、また世に溢れる孤独を感じている人々へのメッセージを伝える内容となっている。
僕にもよく似た経験が高校一年生の時にあった。中学3年生の時、アニメ、漫画オタクの友人がいて、クラスの中でも煙たがられていたが何故か僕にだけすごくよく接してくれていて、彼が自分で絵を描いたのをよく見せてくれたりしていた。なかなかの腕前で、いつも凄いなと彼に伝えると、どうやら絵を描くことを仕事にしたいという思いがあったらしく、芸術系の高校に進むと聞いていた。受験期、僕はとにかく必死に勉強をしていて他人に興味を持つ余裕もなく、また学校も冬場になれば行かなくなる。彼とは卒業式が最後だった。高校に通うようになり、その頃から音楽制作も始めた僕は、とにかく自分の日常にまた必死になっていた。夏か秋頃、「あいつ死んだんだって。首吊り。もう葬式は家族葬で済ませてて、地域が近い友人は葬式に行った。一応伝えとく。」と中学の同級生から電話があった。目まぐるしくすぎていく日常がピタッと止まった瞬間だった。どうすることもできなかった自分。彼の人生、彼の勝手だろうと思うにはあまりにも胸が詰まってそんなこと言えたもんじゃ無い。あの絵を見せてくれていた時の、自信に満ち溢れた笑顔や、授業中に先生に怒られながらも絵を描いていた彼のエネルギーが消えた理由は何だったのか。全て分からないまま突然この世を去った。僕は数週間ずっと考える日々が続いた。しかし時は残酷。また彼のことは頭の片隅にやり、自分の日常を必死に過ごすことになった。
それから10年くらいが経って、この楽曲のボーカルデータが来た時、片隅にあった記憶が全て鮮明に蘇ったのだ。山田くんやATSUKIさんの、良い曲にしようという思いも勿論なんだが、この一曲だけは亡くなった彼の為に作り終えたくなって、何度もやり直しながら作り切った。彼の最期を看取れなかった自分が、同じような経験をしたアーティストとともにこういった内容の作品をリリースすることで、少しでも自分の思いが届いたらと願っている。
山田くんはサビの部分で、自分とは直接関係のない、孤独を感じる人々に自身の心を揺さぶられている様子が感じられる。SNSで個人がメディアとなり、コミュニティがリアルのどこにも形成されず、ネット上のコミュニティのみで寂しさを紛らわしている人々が可視化されている現代において、この楽曲のメッセージはすごく重いものだと思う。僕自身そういった環境が多くて、それによって自分を形成したものが多くある。また僕自身、自死もここ数年の間に何度か試みたこともあり、ほんの少しばかり理解ができる。また対象はこういった人々だけでなく、世界中で死を迎える人々にも当てはまる。
死とはいつまで経っても、どんな機会であろうと、誰にとっても、悲しく辛いものだ。どう足掻いてもその悲しみは癒えない。しかし、山田くんのようにこのような経験を芸術に昇華し、その居た堪れなさも音に乗せてしまう勇気が、弔いも含めた、自分を保つ唯一の方法なんだろう。かくいう自分もそうだ。
音楽は自分の周りだけでなく、どこまでも届けることができるなかなか便利なメディアなのでこの特性を最大限に活かして、できれば自死を考えている人々に、更には自身を諦めてしまっている人々に届けば幸いだ。もう消えてしまいたいと思っている人がいるなら、ほんの少しの希望だけでも見出して欲しい。花に水あげなきゃ、とか洗濯回さなきゃとかそんな日常の義務の中にも希望を見出すことはできないだろうか。将来こんな人に会いたいとかでも良い。今現実になくても、遠い未来の話でも良いから、少しだけ生きてみて欲しい。
(ちなみに僕は屋上の柵を乗り越えて、マンションの淵に立った所で作品の納期が近いことに気づき、いや死んだら迷惑がかかるな、と部屋に戻った。音楽に助けられた瞬間だった。毎回これなので締切があれば僕は死なないと思う。)
長々と自分の話もしてしまったが、山田くん、素敵な歌詞を有難う。僕はこんな曲に携われて幸せだ。ATSUKIさんも素敵な旋律を有難う。あのメロディが無ければ山田くんとこういった作品を作ることもできなかっただろう。2人に感謝し、僕もほんの少しの希望を見出しながら生きようと思う。