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大学在学中に電験3種に合格した話

こんばんは。
私は地方国立大学の工学部電気電子工学科に通う今年4年生の者です。
今回,第三種電気主任技術者令和6年上期試験に合格しましたので,勉強方法やなぜ在学中に取得しようとしたのか,受験して思ったことなどをここに記そうと思います。

ちなみに後述していますが,著者自身は電気電子工学科に所属しているものの,勉強を始めたのは学部2年の終わりで専門科目はまだ履修していなかったため,ほとんど知識ゼロから勉強を始めていますのでほとんどの方の参考になると思います。

皆さんの励みや参考になれば幸いです。


なぜ電験を受けようと思ったのか

まず,私がなぜ電験を受けようと思ったのかから説明しようと思います。

前提として,私は大学の電気電子工学科に在籍していますので,電気主任技術者の認定科目を取得し,大学を卒業することによって数年の実務経験のみで電気主任技術の全ての種類で認定取得をすることができるようになります。

「それならわざわざ勉強して取る必要ないじゃないか!」

そのように思われた方もいるかもしれませんが,実はこの認定取得制度,
大きな’ワナ’が多数存在しています。
このワナについては後述しますが,このワナによって,認定取得はあまり現実的ではないこと,自分がどこまで電気電子工学について理解できているのか不安で,力だめしとして電験三種を利用したと言うのが受験をしようとした動機です。

認定取得について

認定取得できる大学に所属していない方は全く関係のないお話なので勉強方法の欄まで飛ばしてください。

「電験 認定取得」とかで検索してみてください。
書かれていることを並べると

  • 実務経験の認定がシビア

  • 経産省の役人との壮絶なバトル

  • 膨大な提出書類

  • 試験で取得しないと舐められる

  • そもそも認定科目をとって大学を卒業することが難しい

こんなことが書かれています。
最後の「そもそも認定科目をとって大学を卒業することが難しい」だけは私自身の意見なのですが,これが一番大きなワナだと思います。
あまりこれに言及している人は少ないので,ここについて解説させてください。

私の大学では電気主任技術者の認定に必要な科目は合計で43単位となっています。
このうち約半分の22単位が選択必修科目,21単位が必修科目となっています。
すなわち,自ら22単位選んで履修する必要があるということです。
数字だけ見ると「そんなに難しいか?」と思われるでしょう。それがワナなんですね。

そもそも1年の間に取得することのできる単位数の上限は40単位ほどと決まっていす大学がほとんどだと思います。
そうなるとその上限の半分は認定科目で埋まってしまいます。学部3年生くらいまでは半分必修科目,残りの半分はある程度選ぶことができると思いますが,その選択必修科目全てを電気主任技術者の認定科目に使わなければなりません。

すなわち,認定科目を全て取得するのには最低でも1年はかかるということです。

また,ご自身が所属している学科内のコースがエネルギー系以外の場合,エネルギー系の科目以外の選択必修科目も受ける必要があるため,一年間で認定科目全て取ることはおおよそ不可能です。

加えて,電気主任技術者の認定科目はパワーエレクトロニクス,電気磁気学,電気機器学などかなり難易度の高い単位が多いです。私の周りの友人もこれらの科目で挫折,落単して認定科目を取ることを諦めた人がたくさんいます。

以上の理由から,電気主任技術者の認定取得のための認定科目取得は遅くとも学部3年生の初めから始めなければ,事実上不可能,できたとしてもかなりの労力が必要ということです。そして,晴れて認定科目を取得し大学を卒業したとて,その先も苦労させられます。

王手電力会社や,JRの社員さん,指導教員の先生が揃えていうことは,結局みんな勉強して一種や二種を取るそうです。そして,三種程度であれば入社時に全員に取得させるような組織も少なくないそうです。

そういうわけで,三種くらいであれば試験で取得してしまうというのが一番手っ取り早い方法な気がします。

少しわかりにくかったかもしれないので,まとめると

  • 電験を認定だけで取ろうとするのは非現実的

  • 認定科目の取得は学部2年から視野に入れ,計画的に

勉強方法

私は学部2年の下期試験から受験を始めました。

いますぐに電験の資格が必要であったわけではなかったので,時間をかけて取得することができる科目合格制度を用いて合格しようと最初に計画を立てました。

順番としては 理論→機械→電力→法規 の順番で勉強し,
結果的に理論→機械・電力→法規→法規の順番で受験しました。
私は最終的に合格するまでに電気主任技術者の試験は合計で4回受けることとなりました。
なお,機械と電力は同時に受験し,2回目の法規試験のみCBT方式で受験しました。
勉強方法としては,テキスト→ひたすら過去問勉強 でしました。

テキストについて

使用したテキストはTACのものです。

科目ごとにこの本を購入して基礎知識を叩き込みました。
内容としては電験三種に受かるという目的を達成するだけならば十分な内容です。しかし,その反面,本質的なことにはあまり触れられていないので,そういうことにこだわる方にはオススメできるものではないです。
例えば,
理論科目の「電気磁気学」では,マクスウェル方程式には触れられていません。微分積分を用いて電磁気現象を解き明かすというアプローチではないので,どうしても暗記が多くなってしまいます。
電力科目の「制御」では,ラプラス変換やフーリエ変換を使うというのがセオリーですが,この本ではそれらの方法は使われていません。そのためここでもどうしても暗記をするしかなくなってしまいます。

先述した通り,電気学的に不十分なところは多々ありますが,電験三種に受かるという目的のためであれば十分な内容だと思います。

前半はテキスト,後半は厳選された過去問という構成になっており,一見とても分厚いですがテキストと過去問を切り離すことができるので,持ち運びにも便利です。

過去問について


少し前までは電気主任技術者の試験には過去問はあまり出題されなかったので,今ほど過去問は重要ではなく,基礎を理解するというのが定石でしたが,電気主任技術者不足問題の対策として2023年にCBT試験が導入されてから明らかに筆記試験で過去問が多数出題されるようになりました。
(CBT試験の内容については口外してはいけないということになっているので,ここではあえて触れませんが,筆記試験と同様の対策をしておけば十分だということだけは伝えておきます。)
過去問といっても,数値が違うとか似た問題ではなく,選択肢の順番が違うだけの出題がかなり多くなりました。
そのため,過去問をひたすら覚えるまで勉強するという方法がかなり有効になりました。

過去問は電験王さんのサイトを使い勉強しました。 


かなり詳しく解説があり,近年の問題であればYouTubeに解説動画もあるので勉強しやすいと思います。

過去問題集などが書店などで売っていますが,電気技術者センターで過去問を配布しているのでiPadにデジタルファイルで保存し,紙の本は分厚くて重たいので使いませんでした。

ひたすらこれらの過去問を使い,最低でも15年分を3周すれば大抵合格することができると思います。

逆に言えば,1年分過去問をするのにどのくらいの時間がかかるかを一度計測し,それをもとに15年分を3周にかかる時間を計算することで本番のどのくらい前から勉強を始めれば間に合うかわかります。なんとなく三ヶ月前からとか,気が向いたらではなく,根拠を持って計算することで勉強の計画も立てやすくなるかもしれません。


もちろん,やるだけではダメですよ。一度解き終わったら解答解説をきちんと読んで,答えを見ながらでもいいのでその問題の論理展開を理解することが大切です。
法規科目については法改正によって過去問が使えないのではないかと思う方もいるでしょうが,そのあたりについてはあまり深く考えないで,とにかく過去問周回しましょう。

これだけの量の過去問をやることにより自動的に問題を暗記することができると思います。
もし,本番中によくわからない問題が出題されても,それが過去問と同じ問題であれば,なんとなく答えだけは覚えているという状態になると思います。
そんなラッキーが起きてギリギリ60点も,ガリガリ勉強して100点をとっても合格は同じ合格なので過去問はやったもん勝ちです。

過去問が出題される傾向となったことで,電験三種に関しては下馬評よりはかなり易化したのでぜひ受けてみるといいと思います。

試験当日について

2回目の受験の際,会場は愛知県の某大学でした。
受験案内には「車での来場は禁止,駐車場はありません。公共交通機関を利用してください」と書いてありましたが,その大学は駐車場を開放していました。学生用の駐車場ではなく,警備員の方に電気主任技術者試験ですと言ったら通していただいたので間違いないです。
立地が本当に悪く,電車で行くと2時間以上かかるので私は親に送迎してもらったのですが,駐車場があるのなら一人で行くことができました。
山の上の大学で,交通の便が非常に悪いところなので特別措置的なものだったのでしょうかね?
この情報はあまり参考にしない方がいいです。

試験会場が山の上の大学になることがあるので事前に場所は把握しておいて,「会場にさえ時間通りに到着することができれば合格できたもの」このくらいの気持ちで受けにいきましょう。

また,基本土日は大学内のコンビニなどは営業していないのでお昼ご飯や休み時間のおやつなどは事前に買っておきましょう。

iPad での勉強

先述した通り,私は分厚い過去問集を持ち歩くのが嫌だったのでiPadにデジタルデータで保存し勉強していました。
私と同じで分厚い過去問集を持ち歩くのが嫌な方は多いと思うのでそこについても紹介させていただきます。

まず,私のiPadはiPad9世代です。ホームボタンがあるタイプの一番最後のモデルですね。これにApple pencilで書き込んでいました。


結論から言うと,このモデルあまりお勧めしないです。

理由は単に性能不足です。
このモデル,動画鑑賞やインターネットサーフィン程度が限界です。それ以外の動作をすると本体がかなり熱くなったり,動作がカクつきます。
メモアプリとして私は標準のファイルアプリを使い,過去問に書き込みをしていたのですが,使っているうちに 熱くなるのはもちろん,書き込んでいたメモが消えることもたまにですがありました。(どうやらファイルアプリ自体が不安定らしい)その後導入したGood Noteでは比較的安定していたのですが,他のアプリとGood Noteを行き来すると,毎回Good Noteが再起動してとても煩わしかったです。

このモデルは2021年に発売された3年も前のモデルなので性能不足は仕方がないですが,電験の勉強以外にも大学の講義などでも使用するのでこの秋に買い替えを検討しています。

間違えても,セールで販売中のiPad9世代だけはやめた方がいいです。

そこで,買い替えにお勧めのモデルを紹介させていただきます。

ズバリ,M2 iPad Air です。

iPadについては語りたいことがまだまだたくさんあるのでまたの機会に。
大学生向けに,どのiPadを買えば良いかなどのもう少し詳しいお話などもしたいと思います。

なぜ,無印(iPad 10世代)ではダメかと言う理由だけ簡単に説明すると,やはりこれも数年後に性能不足になる可能性が高いからです。

これからについて

実は著者は危険物取扱者乙1,3,4,5種も所持しています。これだけ持っていると甲種危険物取扱者の資格も受験することができるようになります。まずは,大学在学中に甲種危険物取扱者の取得を目指したいと思います。

この資格は大学生に非常にお勧めの資格なのでこの記事がたくさんの方に読んでいただければ危険物取扱者についてもご紹介したいと思います。

そして,大学を卒業すると一級陸上無線技術士,通称「一陸技」の「無線工学の基礎」が免除されるため,この資格の取得も目指したいです。
この辺りについても受験日記的に更新していきたいと思います。

また,電験三種を取っただけで満足せず,資格を陳腐化させないようエンジニアとして自己研鑽も行わなければならないです。

最後に

大学在学中に電験三種に合格したので,皆さんの参考になるようにnoteで記事にしてみました。
在学中に電験二種に挑戦される方もいらっしゃるようなので,電験三種は別にすごいことではないかもしれませんが,過去問だらけだとは言っても決して簡単な試験ではないので皆さんの参考になれば幸いです。
勉強法以外に受験中に思ったことや感じたことも書き加えていったので,様々なところでかなり話が脱線していますが,受験当時私が知りたかった,教えて欲しかったと思ったことを全て書いているので,多めにみていただければ幸いです。
過去問の内容など以外のコメントであれば返信させていただきます。
ぜひ参考になった方はコメントなどよろしくお願いします。


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