【コラム】関西フットサル1部復帰のヴァクサ高槻 王者・リンドバロッサ京都に挑戦
関西フットサルリーグ1部・第3節のリンドバロッサ京都(リンバロ) vs ヴァクサ高槻戦が6月3日、大阪市の丸善インテックアリーナ大阪で行われ、試合を観戦した。(文中の選手名、敬称略)
第2ピリオドの残り1分を切り、ゴール前中央でリンバロのピヴォ・相井忍(背番号18)が足元にボールを収めた。ヴァクサの川瀬竜生(17)が守備に食らいつく。
選手たち、いや観客すらも右足の反転シュートに持ち込むことがわかった。それでもシュライカー大阪などFリーグで10年活躍した屈強なピヴォを止めることは難しい。
相井がターンして右足を振り抜くと、ボールは川瀬のブロックとゴレイロの加藤暢人(21)の右腕をすり抜け、サイドネットに突き刺さった。圧倒的なパワーと技術に、観客からため息が漏れた。
昨年の関西リーグ覇者・リンバロが5-1で、2部から1部に昇格してきたヴァクサに力の差を見せた。
この試合の先制点はヴァクサが挙げた。開始わずか44秒、右サイドから千葉晋平(5)が、華麗なループシュートを放ち、ボールはゴールに吸い込まれた。ヴァクサのベンチが盛り上がる。
リンバロもすぐに反撃。1分後にはFリーグ・元バサジィ大分の三木誉(10)が左コーナーからの浮き球をボレー。すぐに同点に追いつき、リンバロが流れをつかむ。
リンバロの勝ち越し点は6分半、このゴールも相井の反転シュートだった。
そこからヴァクサも盛り返す。大学フットサル部のようなスピードを生かした攻撃で、児玉秀斗(10)が果敢にシュートを打ち込んだ。ポジションチェンジを繰り返し、サイドで花田翔(7)らがドリブルからのパスでチャンスをつくる。
私が知っている3年前のヴァクサとは全く違うフットサルだった。関西リーグが無観客になる前の2018、19年にヴァクサの試合を何試合か観戦したことがある。2016年にはアマチュア日本一を決める「地域チャンピオンズリーグ」を優勝している名門だ。
印象は「フットサルを知り尽くした少数精鋭のベテラン勢が老練なプレーで魅了する」。ゴレイロとFP6人前後で、強度の高い関西1部を戦う姿は「七人の侍」を想起させた。それが今や見たことがある選手は、沼田慎也(6)ら数人で、ほとんどの選手は初見だった。
試合はリンバロの安部孝則(14)や木村幸平(8)もゴールを加えて、終盤に引き離した。一方で、ヴァクサも戦意を失わず、最後まで勇敢に挑んだ。
試合後には久々に、ヴァクサのマネジャー「あいぼん」さんに会った。ツイッターでの交流をきっかけに、一緒にフットサル観戦を楽しむ仲間だったが、2020年からヴァクサのマネジャーを務めることになった。
私はその時、まっすぐな性格から「色々抱えて悩むのではないか」と心配する一方で「マネジャーができる役割は徹底的にやり切るだろうな」とも思った。ヴァクサは十分な選手の人数がそろわず、その後に長らく戦った関西1部から2部に降格し、苦しいシーズンを過ごした。
マネジャーになってから、SNSなどでヴァクサの魅力を発信し続けた。そんな努力も一助になり、若手の選手層も厚くなった。昨シーズンは2部で優勝し、関西1部に戻ってきた。3年の無観客から有観客になり、若返ったヴァクサがどんなフットサルをするのかを確認しに、会場まで足を運んだ。
結果は敗戦、3試合で勝ち点は0。関西1部で勝ち点を取る難しさは私が説明するまでもないだろう。若手選手たちのさらなる成長を期待しているし、楽しみだ。
私とあいぼんさんの立場は違えど、気持ちは今も同じはずだ。
「フットサルの面白さを多くの人に伝えたい」
(了)