🅿︎102。アニメーション「ＷakeＵp,Ｇirls！」2018年回の設定page 53

🅿️16。🅿︎17〜34。🅿︎47参照。
裏プロフィールを主軸に、公式プロフィールを補助として創作してます。

突然列から飛び出し、前方の鉄道橋に向かって駆け出した島田真夢。

意表を突かれたメンバーは、
…今から全員でそちらに向かうのに、何を急いでいるの？…
と不思議そうに見送ります。
第一カメラも真夢の走り去る姿を捉え、メンバーの騒つく声も広いました。
暫くして、真夢が鉄橋の下に辿り着き上を見上げる姿が映されると、同時に対岸から鉄橋を渡って来る車両の音が聞こえて来ました。

…それかぁ！…

と、ばかりに気付いた黒川芹香が駆け出し、同じく察した吉川愛ら数人が後に続き、更に訳がわからない他のメンバーも釣られて走り出します。
アイドル達の不意な行動に、第一カメラも全力で彼女達を追いかけました。

一方、岩崎志保と近藤麻依は真夢の意図に気付いていましたが、落ち着いた様子で歩き続けます。
第二カメラからの、
…追いかけないの？…
との質問に岩崎志保は、

「真夢の気ままな行動は、遠目で見ていた方が面白いですよ。行動を共にしていたら、メンタルがパンクしちゃいますからね」

同じ質問を近藤麻依に向けると、

「メンバーの行動や安全を確認するのが私の役目なので、後ろからゆっくりと付いて行きます。同じ方向ですしね」

そう答える二人は互いに顔を見合わせると、
…いつもの事だよね…
とばかりに
笑みを交換するのでした。

アイドル達を追いかけるのに必死な第一カメラに変わって、第二カメラがズームで真夢の姿を捉えます。

芹香が追い付くと同時に車両が二人の頭上を通過して行き、一足遅く“愛”達が到着し鉄道橋を見上げる姿が映し出されました。
完全に遅れたメンバーらは息を切らしたのか、先に到着したメンバーに体を預ける様子も見て取れます。
更に、距離を広げられた第一カメラが追い付いたところで映像が第二カメラから切り替わりました。

鉄道橋には高さ制限の文字表記で注意が喚起され、その大きさと頭上までの近さに圧倒されます。
そして息が上がったメンバー達とは対照的に、落ち着いた表情の真夢が立っいました。

…電車が上を通過した時の感想は？…
との質問に、

「なんか背中に響きますね。くすぐったく感じます」（島田真夢）

…通過するタイミングがよくわかったね…

「一定の間隔で動いているのが見えていたので『あっ次が来る』と思ったら嬉しくなって駆けて来ちゃいました」（島田真夢）

…せりっち（黒川芹香）はどうだった？…

真夢の傍らで、両手を腰に当てて立っていた芹香に質問すると、

「電車の通過を下から見れると思ったのですが、全部コンクリートだったのですね。でもよく考えたら危ないから当然ですよね。“まゆしぃ”も見れると思ったのでしょう？」

芹香からの同意を得るような問い掛けに、

「えっ？私は頭の上を通過するのが楽しそうだと思っただけよ」（島田真夢）

平然とした顔で答えるのでした。

そこへ丁度、志保と麻依が到着し、三人の会話を耳にすると、

「ねっ、カメラさん。“まゆしぃ”に付いて行くと、スタミナとメンタルが削られるでしょう」（岩崎志保）

と、第二カメラに伝え同意を得ます。

志保の言葉の意味に興味がない真夢は…何の話？…とは思いつつも、全員が到着したところで何事もなかったように歩みを進めるのでした。

鉄道橋を潜り抜けると視線を遮る構造物が無く、開放的な荒川河口の景色と桜並木が続いています。
空の高い空間を楽しみながら散策していると、程なく千本桜の最南端に到着しました。
そこには探すまでもなく移植されたばかりの桜の木が立っていました。
他の桜が既に咲き誇る中で、却って目立っていたのです。
アイドル達は初めて目にする自分達の桜に駆け寄り大興奮です。
事前に【根元は踏まないように】との注意を受けてはいましたが、一人一人が腕を伸ばし、恐る恐る指先で桜の木に触れる度に、更に歓声が大きく湧きます。
いつまでも続く歓喜の渦を収拾つけるべく、第一カメラは近藤麻依を、第二カメラは吉川愛を［捕まえ］ました。
それに呼応するように、撮影外から見守っていたマネージャー数名がアイドル達の沈静化を図ります。
両カメラマンの指示で麻依と愛が真夢と志保を確保すると、咲き揃う染井吉野を背景にして I-１桜の前面に立たせました。

「ファンの皆さん、やかましくて御免なさい。つい感激しちゃいました」（島田真夢）

「私も身体が震えて目がウルウルしちゃいました。なんか一大事です」（岩崎志保）

感情的に伝える二人は、取り出したハンカチで涙目を押さえるのでした。
マネージャーらは I-1桜を中心に、カメラから見て左に真夢、右に志保を配してのち、皆を整列させると枠外へ下がります。

「え〜すみません。なぜ私達がこれ程ハイテンションなのかと言うと『この桜の移植には繊細な作業が必要だ』と聞かされていたので、本当に有るのか確かめるまで心配だった為です」（島田真夢）

更に真夢の説明が続きます。

page54に続く。