🅿︎59。アニメーション「ＷakeＵp,Ｇirls！」2018年回の設定page10

🅿️16・🅿︎17〜🅿︎34・🅿︎47参照。
裏プロフィールを主軸に、公式プロフィールを補助として創作してます。

島田真夢の言葉で注目を集め、居心地が悪く成った林田藍里は、遠慮する姿勢を見せます。
「あっ、いえ。大した事じゃないので別な機会に相談します……」
次第に声が小さく成って行きました。

「積極的だったのに、どうしたの？」
真夢が後押しするのですが、
「だって凄い話しを聞いたから、なんか恥ずかしいと言うか、相談にならないかなって思って……」
恥いる姿勢を見せるのでした。

…何⁈“あいちゃん”えっ！大事な話しなの…（トラ）
「うん、ＷＵＧの活動への提案なんだって。詳しい話しは聞いてないんだけど『今日相談してみる』と言ってたんだ」
真夢の説明で皆が席に戻り、一人立ち残っていた藍里に注目します。
…“あいちゃん”お話し聞かせて…（トラ）
…座りなよ…（ワニ）

「ほら藍里、自信を持ってプレゼンしなさい」
丹下順子の催促で席に着くと、携帯端末をテーブルの上に置き、何やらソフトを起動させました。
そこからはテンポの良い、しかし聞いた事が無い音楽が流れて来ます。

…何これ？だれの音楽なの？…（ワニ
…いい感じよね、私好きだな…（シロクマ）
…ＷＵＧで歌ってみたいです…（ワシ）

ハッとした丹下順子は単刀直入に質問します。
「藍里これ、あなたが作曲したの？」
皆の驚きと共に視線が藍里に集中します。
無言で肯定を示す表情に、口々に賛辞を送るのでした。
誰よりも目を丸くしたのは真夢で、全く言葉が出ません。
また、藍里の右隣りに座っていた久海菜々美も、その横顔を驚きの表情で見つめ、息が止まったかのような表情で固まったのです。

「藍里。いつから作っていたんだ⁈」
松田耕平が迫るように尋ねます。
「ハイ。皆で『Polaris』を完成させた後からです」
不安な表情で答えるのですが“そんな短期間でこの完成度か”と、皆身震して感動します。
続けて藍里が口にするには、
「でも構想は…、東京での挫折から仙台に戻って来た直後からです。携帯にインストールした幾つかのソフトを試し、使い慣れてから作成しました」

「それは凄いけど、何か思う事が有ったのよね？その考えを聞かせてちょうだい」
珍しく丹下順子が真剣に説明を求めましたが、それは、詰問するような強い口調でした。

「どうしたんですか社長？素直に褒めて上げたらいいじゃないですか？」
その口ぶりに疑問を持った松田耕平が尋ねますが、彼女が言うには、
「コレを出して来た藍里の意図は大体分かったわ、だからこそ単なる『思い付き』じゃなく、ここまでに至った背景と林田藍里の本気を知りたいのよ」

丹下順子が何を言い出したのかと、皆困惑するのですが、その言葉を不快に思ったのか、先程までの弱気な姿勢とは打って変わり、立ち上がった藍里は右手拳を握りしめて語り出します。

「私達が東京に進出した時、残念だけど早坂さんに曲を作ってもらえなかったよね…。今思えば『甘え』なんだけど、態度まで冷ややかで、無視されている感じで…。結局レーベル側から楽曲（素顔でKISS ME）を頂いたけど、違和感しか感じなくて…。それでも頑張って歌ったけど、何をやっているのか全然楽しくなかったの。全く売れなかった事もあるけど、自分が楽しくないのに売れる訳が無いよね…。もうダメだと諦め掛けた時、早坂さんから『少女行進曲』を頂いて、聞いた瞬間に『ＷＵＧの歌はコレだ！』と思ったの。皆も思ったよね…。この曲も含めて全国プロモーションを展開した時、それまでのＷＵＧの歌と変わらないドキドキ感があったの……」
少し落ち着いて来たのか、握り締めていた拳を緩め、一度呼吸を整えて続けました。
「皆んなに聞くけど、今すぐＷＵＧの楽曲全部を、どの部分でもいいから歌える？」

その問い掛けに社長の丹下順子以下全員が、思い思いにＷＵＧの楽曲を口ずさみ笑顔が広がって行きます。

但し、一人だけ無表情で投げやりな歌い方をしている久海菜々美を除いてはですが。

その場が合唱の様子と化したその時、藍里が止めて改めて問いました。

「それじゃ『素顔でKISS ME』は歌える？」

東京から仙台に戻ってからは、全く歌わなかった事もあり、幾人かが出だしを歌いましたが先が続かず、島田真夢以外は断念したのです。
むしろ歌える彼女に皆の目が集中し、それと気付いた真夢は心細くなり、自発的にやめるのでした。

その様子を確認した藍里は、
「“まゆしぃ”は、さすがね……だけどこの曲は、直ぐには歌詞が浮かばないよね。何でだと思う……」

…何でだろうね…（ワニ）
…売れなかっから？…（オオカミ）
…気持ちが入って行かないから、かなぁ…（シロクマ）

「そう、気持ちが乗らないんだよ。アイドルソングに相応しいポップなリズムでキャッチな歌詞なんだけど、それだけなんだ。他のアイドルさん達ならヒットしたのだろうけど、私達じゃダメだったよね。ずっとそこがモヤモヤしていたのだけれど、去年、早坂さんから頂いた曲に“よっぴー”を中心に作詞し、悩んだ末に『ＷＵＧらしさ』をテーマに『Polaris』と名付けてレコーディングをしたら凄く素直に歌えたの…。それでだけど、アイドルフェスで披露した時の感情を覚えてる？…。機材のアクシデントが有ったけど、気持ちを込めて歌い切ったよね…。私ね、あのライブ終了後に空を見上げて北極星を探したんだけど、見えなかったけど、何か言葉を貰った気がしたんだ…。そこでハッと気付いたの、ＷＵＧの歌はメロディも含めてメッセージなんだって！」

最後の言葉に、一同大きく頷くのでした。

page11に続く。