🅿︎55。アニメーション「ＷakeＵp,Ｇirls！」2018年回の設定page６

🅿️16・🅿︎17〜🅿︎34，🅿︎47参照。
裏プロフィールを主軸に、公式プロフィールを補助として創作してます。

絶句と騒然が混在する空間の中、一人自己満足の丹下順子はツッコミを受け流します。
「こんなに共感を得られるなんて、もっと私を褒め称えていいのよ」
その言葉に騒ぎが収まり、挙手する者がいました。
「それで、どんな計画なんですか？」
初めから冷静に話しを聞いていた島田真夢です。
「ふふん、聞いて驚きなさい……」

…これ以上何を驚けって…（シロクマ）
…何処かへ売り飛ばすんじゃないでしょうね…（ワニ）
…社長ならやりかねないですー…（ワシ）
…会社の金を持ち逃げした前科があるしね（第1作劇場版）…（シロクマ）
…ヤダな、体を張った営業ですか（第１期・第３話）…（トラ）
…中学生をボロ雑巾にしたら犯罪だからね…（オオカミ）
容赦のない皮肉がＷＵＧから放たれ、それを聞いていたＲＧＲはオドオドするのでした。
「あなた達いつまでも細かい事を覚えているのね。可愛げが無いわよ」
…トラウマにしたのは誰なんだ！！…
更なる抗議を放たれ、正月気分が吹き飛ぶのでした。

「社長、そろそろ率直に話してください。福島県代表にする意図は理解しましたが、どうして可能なのか興味があります」
その場の空気を変えた林田藍里の言葉に、一同背筋を正します。

「そうね、先程見切り発車と言った通り、まだ結成されたばかりの“中学二年生”の三人を、表舞台に登場させる予定ではなかったの……」

丹下順子が言うには、度胸試し又は武者修行のつもりで地方都市を選定していたのだが、宮城県内は思った以上にＷakeＵp,Ｇirls！の人気が高く、このままＲunＧirls,Ｒun！を活動させてもＷＵＧの七光り、もしくは妹分程度の人気は得ても、そこから独自の脱却したイメージと支持を得るのが難しくなるとの事です。

「あっ、それ分かります。今、安易に獲得出来る人気を利用しても、これから成長して行く彼女達には後ろ向きの活動でしかなく、短命に終わると言う事ですね」
先程まで辛辣な一刺しを放っていた七瀬佳乃が苦労人らしく理解しました。
…へぇ〜、意外と考えてるジャン…
皆も納得、感心するのでした。

「そこで考えたのよ！市（仙台）の経済局と文化観光局を訪ねて議論を重ね、福島県の郡山市に是非にと協力をお願いしたの。即ち、仙台市との経済交流アイドルとして活動するのよ！」

アイドル達には意味が通じず、静まり返ります。
「ほうら社長、皆固まったじゃないですか。無謀過ぎるんですよ」
停滞した空気を察した松田耕平が、場を取り繕おうと発言しました。
それを受けた岡本未夕が質問します。
「なぜ経済交流アイドルなんですか？文化交流じゃないのですか？それに仙台市と郡山市の間に特別な交流ってあるのですか？」

「何も無いわよ。単に“ランランちゃん”達を郡山市で活動させ、福島県のアイドルとして定着させる為の詭弁よ」
…詭弁と言ったよこの人…（ワニ）
…えっ、行政を騙したの…（シロクマ）
場が騒つき、不穏な空気が漂います。
…それにしても、何で社長は市と話しが出来るの？…（トラ）
…前から思ってだけど、怪しい人よね…（オオカミ）
疑念の言葉が飛び交う中で、自分達の企画なのに全く話しに付いて行けないＲＧＲの三人は、すっかり萎縮してしまいました。
そんな怖がるような三人の姿を見ていた島田真夢は、結論を引き出す言葉を得ようと尋ねます。
「あの〜是非にとおっしゃいましたが、なぜ郡山市での活動なんですか？深い意味が有るのですよね」

丹下順子は待ってましたとばかりに語り始めます。
「郡山市はね、東北地方で有っても東北気質じゃないのよね。良い意味で東北地方の義理人情が通じない、完全に実力主義の地域なの。だから本物を磨く場所としては理想的な場所なのよ」

続けて歴史について解説しました。
郡山市を含む安積地方は江戸期までは原野で、明治になって猪苗代湖から安積疏水を引いて開拓し、農地が豊かになった近代の都市である事。
その開拓の主軸は九州や西日本地域の士族らで、勿論近隣諸藩の士族も加わっていたが、当時は明治維新勝者側の入植者が有利な土地を開拓した事。
それでも、やはり農民ではなく士族が開墾したため、生産性の低い土地から収益を上げるのに年数が掛かった事。
結果貧しい生活を余儀なくされたりで、脱落または借金の返済で土地を失う者多数に及び、入植者らは失敗の憂き目を見たが、開拓自体は成功して現在の発展に繋がった事。
この、人に頼れない厳しい現実を生き抜いて来た気質が根付き、農工商業に於いて実力主義の環境が生まれ、情に流されない冷静な人柄が育った事。
後に急速に都市化して人口が流入したため利権争いから抗争も多く、かつては「東北のシカゴ」との異名が付いたほどで、軽々しく他者を信用出来ない土地柄であった事などです。

…それってヤバくないですか、情に薄いって事ですよね…（シロクマ）
その言葉を即座に否定する丹下順子。
「そうじゃないのよ。それだけ物事を見る目が厳しい土地柄って事なの。まぁ確かに、怪しい雰囲気な場所はまだまだ有るけど、今では仙台より安全よ。それよりも、こんなジンクスが有るのよね。『郡山市で成功出来た事業は、日本全国で通じる』ってね。逆に郡山市民に相手にされない事業は確実に失敗するって事らしいの。確かな物しか生き残れない街ね、この意味分かる？」
…それはＲＧＲにとって相当なプレッシャーじゃないですか…（ワニ）
「そんな事ないわよ。ウケればいいだけの事よ。去年“ランランちゃん”達に上げた曲は、この郡山市デビューの為に作ってもらった楽曲なのよ」
（新章・第12話・第13話最終回参照）
…へぇ、そうだったんだ…（シロクマ）
…それにしても社長のその楽観的な言い方って、相変わらず無責任だよね…（ワニ）
「何言ってるの。成功するに決まってるって思わなきゃ、失敗するに決まってるでしょう」

【筆者解説。この設定は、私の思い付きでは有りません。続・劇場版　後編にて［全国プロモーション］の立ち寄り先の一つに、JR郡山駅前でチラシを配る場面が有りましたので参考にしました。その為、次の物語へと繋がります】

page７へ続く。