🅿︎97。アニメーション「ＷakeＵp,Ｇirls!」2018年回の設定page 48

🅿️16。🅿︎17〜34。🅿︎47参照。
裏プロフィールを主軸に、公式プロフィールを補助として創作してます。

I-1clubがロケ地を紹介すると、島田真夢・黒川芹香・岩崎志保の三人は、第一カメラの後ろで待機しているメンバーに小走りで向かいました。
彼女達の合流をメンバーが拍手で出迎え、三人が中央に腰を下ろすと歓喜の声と共に、カメラに向かって全員が手を振りました。

ここで真夢は間髪入れず、メンバーの挨拶を後回しにして周囲の状況を紹介します。

「は〜い第一カメラさん、まずは周囲の素晴らしい景色を映して下さ〜い！」（島田真夢）

その言葉に反応したカメラがゆっくりと左に振ると、そこには朝日に照らされた、綿菓子のようなピンク色の花木が広がっていました。

「ここは知る人ぞ知る桜並木、駒津川の千本桜です」（島田真夢）

左端を映したカメラが、ゆっくりと右側に振ると、真夢はその動きを目で追いながら現地の情報を発信します。
その様子は第二カメラにより、画面の右上にワイプとして映されました。

「ここは、住民の安全を守る荒川高規格堤防の整備に合わせて1992年に植栽が開始され、約30種類1000本以上の桜が南北２kmに渡りレイアウトされ、2003年に完成しました」（島田真夢）

ここで第一カメラが正面に真夢を映すと、その映像枠にメンバーが歓声を上げながら群がり、真夢を覆い隠す勢いで手を振り続けました。
更にカメラが右側に振ると、再び真夢はカメラの動きを目で追いリポートを続けます。
この真夢の滑舌の良い冷静な表情は、見失う事なく第二カメラが映し続けます。

「開花期間中は、様々な地域団体が一体となって桜祭りに協力し、訪れる皆さんを楽しませる『お花見』が開催されます。実はインディーズ時代の私達は、ここでステージに立たせていただきました」（島田真夢）

カメラの動きが止まるのに合わせて真夢のリポートが終わると、再び第一カメラがメンバーを捉えます。

「都内の名だたる桜の名所に負けじと大きく成長が期待できる若桜の並木ですが、この桜花爛漫のように若く美しく成長して行くのが、私たち〜い」（島田真夢）

「 I-１clubで〜す！」（全員）

紹介が決まったところで、ハイタッチしながら盛り上がるメンバーです。

ここで菊間夏夜が何か感想を言い掛けたので、久海菜々美が映像を一時停止しました。

「あぁ止めさせて御免ね。このカメラワークとリポートが絶妙に尺が合ったので『何度もリハーサルしたんだろうなぁ』と感心したんだよ」（ワニ）

夏夜は単なる呟き程度の発言のつもりでしたが、次の真夢の言葉に一同は耳を疑いました。

「えっと、リハーサルはしていないよ」（ライオン）

「えっ？どう言う事？」（サメ）

思わず息を呑んだ林田藍里が訊ねると、一同真夢に注目しました。

「スタッフが予めリサーチした地点に移動して『じゃあここで撮影しようか』となって『こんな感じでカメラをバン（パンニング）するから、何かコメントを入れてよ』と指示を受けたので、その場で区のホームページを開いて文章を考え、もう一度カメラさんに動きを確認してからリポートしただけだよ」（ライオン）

真夢が余りにも簡単に説明するので、皆はそれぞれ顔を見合わせながら…そう言うものなのかな？…と、無言の問い掛けをました。

その言葉に出来ない雰囲気の中、

「あのぉ〜」（あっちゃん）

手を挙げて真夢に質問したのは“阿津木いつか”でした。

「要するに、このリポートは一発撮りって事ですよね」（あっちゃん）

「そうだよ」（ライオン）

やはり平然と答える真夢に疑問を抱きつつも、

「有り難うございます・・・」（あっちゃん）

モヤモヤしましたが礼を述べるにとどめるのでした。
すると、

「でもこのロケのスタートの三人のリポートには台本が有ったんだよね。と言うか、リハーサルはしたよね」（シロクマ）

自分に言い聞かせるように七瀬佳乃が訊ねました。

「してないよ。それは三人（島田真夢・黒川芹香・岩崎志保）で、その場で相談して決めて直ぐ撮影したんだよ。あっ、今気付いたけど、志保はメンバーの動きが気になってリポートが出来てないね」（ライオン）

他人事のように軽快に話す真夢に、

「リハーサルなしの一発撮りにプレッシャーはなかったの？」（シロクマ）

更に疑問を投げ掛ける佳乃と、皆の表情から［訊ねたい事］に気付いた真夢が説明します。

「あぁ『難しくないのか』って事なんだね。この映像は有りのままの I-１clubを紹介する企画だから、台本はないんだよ『この場所でロケを行いますからリアクションをお願いします』『楽屋の様子を撮影しますが、いつものようにスタンバイしてください』『このライブパフォーマンスを撮影しますが、購入するファンに向けてのアピールとカメラ目線をお願いします』と言う簡単な指示でメンバーが動いているんだよ」（ライオン）

それでも何か質問がありそうな表情を察しすると、

「そっか、きっと皆んなはカメラの動きに『どうやって尺を合わせているのか』が聞きたいんだろうけど、私はその場の雰囲気に合わせているだけだよ。答えになってないかな」（ライオン）

…“まゆしぃ”の才能か…と、納得する雰囲気が広がると、

「ねぇ“まゆしぃ”今この場で私達を紹介してもらえないかなぁ」（サメ）

唐突な藍里の求めにより皆が真夢に注目する中、天井を仰ぎ見た彼女は目を泳がせながら暫く考え、全員の顔を見回すと正面に向き直り、

「はい・・・。
（両手を胸の前に交差して揃える）『今日はグリーンリーブズ・エンターテイメント所属のアイドルさん達による懇親会です。
（左斜め顔を向けて笑顔を作り右手を軽く振り愛嬌を振りまく）
いつもはファンに向けてキュートさをアピールしていますが、
（シャツのボタンを開ける仕草をする）
今日は胸を開いて語り合いますので、普段着のアイドルの姿をお楽しみください』
（右手人差し指を顔の横に立てて終了）
・・・こんな感じかな、ちょっとした仕草を加えて、20秒程度のコメントだと思うよ」（ライオン）

伝え終えた真夢は、アイドルスマイルからいつもの涼しい表情に戻すと、藍里と佳乃の顔を見て反応を確かめるのでした。

page49に続く。