🅿︎53。アニメーション「ＷakeＵp,Ｇirls！」2018年回の設定page４

🅿️16・🅿︎17〜🅿︎34・🅿︎47参照。
裏プロフィールを主軸に、公式プロフィールを補助として創作してます。

初詣を済ませ参道を下り終えると、後ろを振り向き鳥居に一礼し、事務所への帰路に着く二人です。

再び交番の前を通過するのですが、来る時とは違う警察官が交通監視（立番）をしていました。
二人が近付くと、笑顔で敬礼をして見送ってくれます。
「寒い中、有り難うございます」
と島田真夢が挨拶を述べ、丁度信号が青に変わった横断歩道を渡ります。
その先は、また狭い歩道を通りますが、林田藍里は先を真夢に譲り、後ろを寄り添うように歩きます。

何気ない行動ですがpage１の場面を見てください。
神社に向かう時は藍里が先でしたが、帰りは後ろを歩いてます。
冷たい季節風は、現在右側約後方から吹いてます。
お分かりでしょうか。
藍里は意図して真夢の風避け（盾）となって歩行していたのです。
勿論、真夢は藍里の気遣いを全く知りませんが、二人はそのような関係なのです。

「ところで真面目に聞くけど。今日相談するって話し、それはＷＵＧの活動方針なの？それとも藍里が何か提案するの？」
自分に秘密で何かを決心した藍里は、大きな事を考えているのを知っているための質問です。
「うーん、そのどっちもかな…」
「経費が掛かる事なら相談しなよ、援助出来ると思うから。事務所はあまり余裕がないだろうし、お金の掛かる提案は難しいからね」
本気で心配してくれる真夢に感謝しますが、
「有り難う。でも今でも何とかやってるし、勿論OKが出れば予算の話しはするけど、取り敢えずお年玉で揃えられるから心配ないよ」
「そうなんだ。でも、あまり自腹を切っちゃダメだよ。…ん？え⁈…あれ？」

妙な感じがした真夢は歩みを止めて振り返り確認します。
「今何て言ったの？私の空耳？」
何か可笑しな事を言ったのかと気後れした藍里は、慎重に口にします。
「取り敢えず、お年玉で、揃えられるから……」
そこまで聞いた真夢は、軽く右手を挙げ話しを遮りました。
「お年玉って、誰から貰ってるの？まさかスポンサーが出来たの？」
驚いた藍里は否定します。
「何を言ってるの？両親からだよ」
「へぇ〜そうなんだ。まだ親御さんからお年玉を頂くなんて、藍里は可愛がられているのね」
感心されてムッとした藍里が反論します。
「誤解だよ『お店の売り上げに貢献しているから』って貰ってるんだよ」
思わず手をたたき、感心した真夢。
「あぁ！看板娘か、なんか納得だね。それで、お年玉だけで予算は足りるの？」
その言葉に右手人差し指を立て、
「これだけ貰っているし、去年の分も使ってないから充分だと思うよ」
更に中指も立てて答えます。
“話が噛み合わないな”と感じた真夢が質問します。
「藍ちゃん…。もしかしたら、その指の本数に『ゼロ』が一つ付かない？」
「そうだよ。あっ！言葉足らずでごめんね」

凄く感心した真夢ですが、歩行を再開しながら考え込みます。そして、
「忠告するけど、その高額なお年玉の事を事務所で話しちゃダメだよ」
何か怒らせたのか、と不安になった藍里が訳を尋ねると、
「御両親はお年玉として娘に手渡しているけど、藍里は芸能人で社会人でしょう。その高額な金額はどう考えても広告料で、年俸とも贈与とも言えるよ。肖像権は藍里のものだけど、芸能人としての著作物が有った場合、著作権はグリーンリーブズが持っているから、親子と言えども事務所を通さないと面倒な事になるよ。もし事務所が持っている写真とか創作物を使用した場合、藍里はナイショの収入を得ている事になるからね。もし他で似たような事があった場合、身の安全のため必ず事務所を通すようにね。それに俗な話しだけど、所得税の対象になる可能性が有るから他で話さないようにね」

【普通の人なら「そんなにお年玉を貰えて凄いね」と興奮する場面ですが、彼女、島田真夢は修羅場を潜ってきたので、世間に対して冷静なのです。
第１期・第2話、健康ランドでのステージに於いて水着に着替える場面で、
「引き受けた以上やろうよ『ブレイクするには体を張らなきゃ』と言う言葉は本当だと思うから」
これは下積みから、また、どん底から這い上がった者にしか分からない体験をしているからこその言葉です。
そして松田耕平に
「契約書とか交わしてるんですか」
と確認を求める姿が印象的です」】

納得した藍里ですが、話しの流れで真夢の私的な事情を知りたがりました。
「真夢は何歳までお年玉を貰ってたの？」
返答に困った真夢は、
「私は親や親戚から貰った記憶がないのよね」
思わぬ言葉でした。
「物心付いた頃には劇団に所属していてね、そこの劇団員やスタッフさんからはお年玉を頂いていたけど、研究生と言う名目で子役を演じていたから収入が有ったので、両親からのお年玉と言う『収入』は無かったの。中学生からは御給料生活（I-１club）で、生活費も学用費も、全て自分の収入から賄ってたから、お年玉を頂く事に縁が無かったのよね」

お年玉を“収入”と言い切る真夢の後ろ姿を頼もしく見つめる藍里ですが、いつもより饒舌なので更に質問します。
「御給料と言えば、その…、中学の時と今では収入が違うんだよね」
気遣っているのだけど、興味がある気持ちを汲み取った真夢は、
「気を使わなくてもいいよ。10代の私は意地に成っていたけど、今は全てを受け入れてるからね」
「あ、ごめんね。プライベートを聞いちゃって」
反省する藍里へ気にせず答えます。
「そうね、私ってI-１ではビックリするくらい頂いてたのよね。仙台に引っ越して来てから、ママにそれまでの預金通帳を渡されて『凄いなぁ』って驚いたよ。ＷＵＧに参加した今でも半分には満たないからね」
続ける言葉が無くなった藍里は、改めて真夢をスターだと認識するのです。

「驚いた？でも子供がそんなに頂いたら人生狂っちゃうよね」
後ろから見ても苦笑いしている様子が窺えた藍里です。
「そんなに努力して手に入れた金額を、援助してもらうなんて出来ないよ」
気が引けて遠慮する藍里に、更に驚くべき事を口にします。
「私、用意してた学費をほぼ使ってなくてね、余ったから藍里の頑張りに用立てられるんだよ」
中学の学用費、私立高校の学費、今までの生活費と、推定の収入を冷静に計算した藍里ですが、それ程余裕が有るとは思えません。
どう言う事かと尋ねると、
「誰にも言っちゃダメだよ。パパがね、東京の自宅を売却したとき（🅿︎10参照）諸経費・各税金を差し引いた全額を私が貰い受けたの。学業の為にね。でもそれまでの収入が有ったし、ここで（仙台）芸能活動を再開したうえ、大学に進学しなかったから手元に残ったんだよ」

それを聞いた藍里は立ち止まりました。
後ろを付いて来る気配が消えた事を感じた真夢も、歩みを止め振り返ります。
「ダメだよ」小さな声でした。
聞き返す真夢に、今度は大きな声で、
「そんな事しちゃダメだよ！私だからってダメだよ！」
珍しく興奮し怒った藍里です。
「お父さんが真夢の為に苦心して用意してくれたお金じゃない。大切に使いなよ」
その言葉で藍里に近付いた真夢は、右手をそっと彼女の左肩に置きました。
「だね、ありがとう。藍里は優しいね」

その時、頭上で窓が開く音が聞こえました。見上げると、
「何だ、聞いた声だと思ったらやっぱりお前達か。皆んな集まってるぞ、上がって来い」
松田耕平でした。
片山実波も顔を出して手を振ります。
グリーンリーブズ（事務所）に到着していたのです。

「行こうか」
藍里の手を取り階段を登りますが、
「でも私、特に必需品以外使わないんだよね」
「その時は有効利用させてもらうよ」
囁くような言葉を聞き逃さなかった真夢は微笑みながら、
「どっちにするの？」
ご機嫌斜めの藍里は、
「どっちでもないよ」
先程怒った事に恥ずかしく成って、自分に怒る藍里の姿でした。

page５に続く

私、筆者が🅿︎17を読み込んで推測した、島田真夢の金銭感覚を物語にしてみました。