🅿︎103。アニメーション「ＷakeＵp,Ｇirls！」2018年回の設定page 54

🅿️16。🅿︎17〜34。🅿︎47参照。
裏プロフィールを主軸に、公式プロフィールを補助として創作してます。

満開直前の桜林の末端に近付くと、植えられたばかりの細い桜の幹を一目で見つけたアイドル達は大興奮です。

スタッフの指示で漸く整列、沈静化したところで島田真夢が説明を始めます。

「ハイ、ココは冷静になって御紹介致します。私達の後ろには、朝日を浴びて色合いが増す染井吉野が広がっていますが、この公園の小さな一角に新たに移植された I-1桜の品種は『楊貴妃』と申します。この植樹の御話を頂いた時に『どんな桜にしますか』と希望を聞かれたので、メンバー内で話し合い、『私達の中で桜が似合う女の子は誰か』と決を取ったところ『“しほっち”だよね』と一致しました」（島田真夢）

「そうそう、私以上に桜が似合うアイドルは居ないと思うの。もっとアピールしてね」（岩崎志保）

右手を胸に当て、得意げに誇示する志保に合わせて、

「そんな華やかな“しほっち”に相応しい桜は『どれかな』と皆んなで調べてたのですが、私が品種の名前を見て『これだ！』と決め、メンバーの合意も得て本日の御披露目となりました」（島田真夢）

この言葉に黒川芹香が追求します。

「ホントよね『どれにしようかな』と相談していたのに、いつの間にか姿が見えないから『御手洗にでも行ったのか』と噂していたら、戻って来るなり『もう決めたから、お願いしてきたよ』だってぇ〜。私達から選ぶ楽しみを奪っただけでなく、強引に賛成させられだけど、なに⁈今知ったのだけど写真も見ずに決めたの？嘘でしょう⁈信じられない！」（黒川芹香）

メンバーも芹香に同調すると、

「あら、桜はどれを選んでもハズレは無いでしょう。写真を見て選んでいたら何時までも決まらないよ。だから名前のインパクトで決めたの。好みが違ったら変えてもらえばいいだけでしょう。でも後で写真を見たら大当たりだと確信したよ」（島田真夢）

…そう言うものかな？…
と妙に納得させられるメンバーですが、志保は腕組みしながら、

「有り難うなんだけど。え〜とね…皆“まゆしぃ”のように機転は利かないし、頭の中で即ビジュアライズは難しいから、行動する前というか、決める前に相談してくれると助かるんだけど…理解してくれる？」（岩崎志保）

諭すように言葉を掛けると、メンバーから笑いを押し殺す声が漏れ聞こえてきます。

「そうなんだね・・・えっ？どうすればいいの？」（島田真夢）

「だからね…報連相だよ」（岩崎志保）

「法蓮草？」（島田真夢）

「その顔（表情）では、言葉というか、えっと『漢字』が噛み合ってないでしょう」（岩崎志保）

笑い声が増えてくると、ここでカメラマンから声が掛かりました。

…“まゆしぃ”は何時もこんなに『ふわっと』しているの？…

志保は腕組みを解き、右手を腰に当てるとカメラマンに顔を向け、

「頭の回転の基準が分からないんです。良識はあるんだけど微妙にないような…集中した時は別人と言うか、凄いんですけど・・・基本はおっとりとしているのに、スイッチが入ると加速しちゃって…要するに中間が無いのです」（岩崎志保）

…コミュニケーションが取れないって事？グループアイドルなのに？…

「言うが早いか空間転移しちゃうんです。消えたと思ったら『アレッ』と音もなく現れるので『注意しよう』とするとワンテンポ遅れて『有無を言わせない』説明が届くのです。『戦闘機かよ！』と言う攻撃レベルでしょう」（岩崎志保）

…あ〜納得の瞬間移動ね。マッハの速度だから、音が後から聴こえるんだね…

メンバーも承知して慣れているのか、一斉に沸き立つのでした。

なぜ笑われるのか疑問符の真夢は、

「確かに『感じ』が合ってないかもだけど、皆んなと何が違うの？」（島田真夢）

と納得がいかない受け答えをします。

「ハアァ〜、きっと其の『漢字』も違うのよね」（岩崎志保）

カメラマンとマネージャーも笑いの渦に加わり、一人置き去りにされる真夢でした。

そこでピントが合わない二人をよそに、芹香が前に出て来ました。

「ハァーイ、何時までも話しが噛み合わない二人に変わり、わたくし黒川芹香が解説致します。この『楊貴妃』桜は、私達の後ろで咲き誇っている『染井吉野』が見納めとなった後に咲く八重咲きの桜です。八重桜よりも花弁が小さく、淡いピンク色が特徴です。歴史を調べますと江戸時代、目の前に広がっている荒川の上流、今の東京都足立区付近の『荒川堤』で保護されていたものが、江戸時代後期に全国に広がったとの事です……うわあぁぁ！」（黒川芹香）

ここで真夢が…えいっ！…との掛け声とともに強引に芹香を押し退け、立ち位置を代わります。
その俊敏な行動に志保は置き去りにされるのでした。

「そして今、川上の荒川堤から時を過ぎて川下の駒津川の地に流れ着き、引き上げられて根付きました。たくましいですね」（島田真夢）

芹香を両手で押し出す素早さと愛嬌を振りまく後ろ姿に、メンバーからは大きな拍手と笑い声が上がりました。
呆気に取られる芹香と志保の顔も印象的です。
カメラマンも驚いたのか、画面が少し揺れ動きました。


【この三人の駆け引きは、打ち合わせの無い全くのアドリブなので、真夢の無双状態が伺えます。
画面を見ていたＷＵＧとＲＧＲも思わず大声を挙げました。

…“まゆちゃん”が突き飛ばした…（片山実波）

…センターポジションをアッサリと奪い返しましたね…（岡本未夕）

…本当にシナリオはないの？絶対に仕込みでしょう。違うの？…（菊間夏夜）

…“志保ちゃん”が無視されて立ち尽くしているね…（七瀬佳乃）

…メンバーが拍手喝采してるって事は、見慣れたアクションなんだよね…（林田藍里）

…『たくましいのは誰だよ！』って感じよね…（久海菜々美）

…負けず嫌いな中学生だったのですね…（守島音芽）

…今とは全然イメージが違う・・・『おてんば』さんだったのですね…（速志歩）

…戦闘機ぃ…（阿津木いつか）

様々な感想が飛び交いますが、現代の島田真夢は平然と画面を眺めています。

「ん⁈どうかした？」（ライオン）】

page55に続く。