中央経済社決算と上場維持と株主提案
(11月16日追記)
やはり気持ち悪いので、東証に上場維持の明確な計算式や今回公表された数字について齟齬がないのか(矛盾はありますがそれでいいのか)、確認と回答を求める問い合わせを行いました。間違いがあれば中央経済社に通知の上IRで公開するよう添えてあります。謎が解けるといいな。
中央経済社HDの24年9月決算が公開されました。また、併せてスタンダード市場上場維持基準への適合に関するお知らせ、株主提案に対する当社取締役会の意見について、とIRが3本ほど並びました。
まず、決算についてです。今期(25年9月期)の数字も、前期を踏まえてそこそこ順調、という数字なのでしょう。配当も含め、特段サプライズはありませんでした。すでに先週末の時点で前期業績の上方修正は発表されておりますし、3Qの段階で計算した数字から大きく動くこともありませんでした。そして発表の翌日取引では下落したあたりも、正直やれやれというか、まあいつもどおりでした。
つづいて、先日提出した株主提案について触れておくと、取締役会は全部に反対ということです。まあそうでしょうね、という感じではあります。とはいえ、完全子会社のプランニングセンターが会社法に反して親会社の株式を10年以上も保有し続けていることや、駐車場として保有するという旧本社の土地についての時価についてなど、株主の皆様に共有する機会とはなりましたし、上場企業である以上はこういった手続きや議論は必要だと思っておりますので、淡々と賛成票を集めていくことにします。このnoteをお読みの株主様におかれましては、ぜひ株主提案への賛成をお願いできればと思っています。
個人的には、本日公開されたIRの中で二つほど気になる点があるので記載しておきます。
一点目は、駐車場の各種税金について。IRにも書かれていますが、「専門家」が出てきて税金と駐車場収益について計算した、とのコメントでした。
この「専門家」により算定根拠はわかりませんが、素直に来年の5月くらいの納税証明でも公開していただくのが早そうです。もっとも、駐車場による収入見込みの数字は記載されていませんし、取締役が出してきたのはエビデンスのない数字ばかりですので、好きに書けるのかな、と捉えています。さらに言えば、中央経済社が持ち出す「専門家」とやらのご意見を間に受けることはできない、というのが正直なところです。
中央経済社で「専門家」といえば思い出すのが、2023年のPBR1倍旋風の時に出してきたこのIRです。当時、「専門家等」からもらったアドバイスをどう活用されたのかは知りませんが、2025年9月期は、一株あたり純利益17.55円に対して、一株あたり純資産1072円、ROEは17.55/1072=1.637%です。このIRを出す直前2期は、特別利益で瞬間風速的にROE3%が出ていましたが、その後ROEは低迷したままで、前期は赤字、今期も2%に届かない数字です。当然、PBR1倍割れのIRについても2023年5月以降、更新もされなければ続報を出すこともできないようです。正直、中央経済社は歴史ある出版社であり、ある程度の信頼性は担保できるものかと思っていた時期もあったのですが、そんな言葉は長い歴史の中でどこかに行ってしまったのでしょう。
そして、書かれていることよりも書かれていないことが重要で、今回の株主提案に記載させていただいた「子会社のプランニングセンターが親会社株式を保有していることは会社法違反であり、かつその状態を13年間継続している件」および「旧本社の不動産資産は、時価約30億円と評価されている」件については、経営陣からの反論はありませんでした、つまり追認せざるを得なかった、ということだと理解しています。おかげで株主総会が楽しみになってきました。
もう一点理解に苦しんだのは、上場維持についてです。折りに触れ記載していますが、こちらは正直、全く理解できませんでした。
IRによると、東証から上場維持の適合について確認書を受領したとのことですが、どう計算したらこういう数字が出てくるのか、繰り返しになりますが全く理解できませんでした。単純な算数の話じゃないんですかね、こういうのは。
というのも、時価総額の算定根拠となっている2024年9月30日の終値は500円ちょうどでした。発行株式総数は4,398,464 株ですので、丸めて440万株として計算すると、時価総額は22億円になります。
東証によると、算出の根拠となった流通株式時価総額は1,030百万円(10.3億円)、流通株式比率は44.7%。
時価総額に流通株式比率を乗算する(22億円×44.7%)と、9億8340万円、多少甘く見て45%だったとしても9.9億円と、表記されている流通株式時価総額の1,030百万円には届きません。逆に、時価総額22億円に対しての流通株式時価総額で除算する(22億円÷10.3億円)と、22億円に対する10.3億円は46.8%ですので、流通株式比率で矛盾が生じることになります。
一度東証には上場維持基準について質問したことがありますが、最後は個別の運用ということで、かなり恣意的な基準になっている印象を受けました。まあ、「社内の人間がインサイダーも行うくらいだし、ハードルくらい自由に動かしますよ」という企業だしなぁ、と邪推してしまえばそうなのでしょうが、数字に関してはもう少し明確かつ誰でも理解できるように整備するべきです。東証カジノなんて呼ばれてるのを自覚していただき、取引時間の30分延長なんてしている暇があったら、ガバナンスの強化に時間を費やすべきでしょう。
特に、来年には次々現れる上場維持基準未適合の企業が大きなトピックスになるはずですし。本来、東証はPBR1倍割れの件も、お願いベースで要請するのではなく、上場維持基準にPBR1を入れて実効性を高めるべきだったと思っています。ルールを決める側として仕組み化しないのは、単なる日和見主義であると言わざるを得ませんし、結局、東証には解散価値を超えられない低評価の企業がゾロゾロ居座る結果となっています。
もちろん上場維持自体は喜ばしいのでしょうが、そもそも東証の流通株式が謎の仕様になっている点、そして中央経済社の時価総額的にはギリギリである点は株主としてすっきりしない点であります。特に流通株式時価総額については、本日の決算発表を前に急伸したものの、ここ一ヶ月は470-480円をうろついていたわけで、そもそも株価480円では、来春に上場維持の猶予期間が切れたあと、中央経済社の決算期である2025年9月にアウトになります。(たとえ今回の謎計算でも、株価500円での流通株式時価総額が1,030百万円でしたので、株価480円だと時価総額は9.9億円弱で監理銘柄入りです)
その他、最近気になったのは大株主の状況でしょうか。11月1日にも重田さんが変更報告書を出されて、合計11.95%まで買い進められたとのことなので、実質の筆頭株主は入れ替わったのでしょう(株主名簿書き換えていないでしょうが)。先日、訳あってTOKIOコーポレーションの登記事項証明(会長である山本時男さんの会社で、3月末で20万株保有してました)を下ろしてきたのですが、代表取締役が平山満紀さん(Wikiには明治大学の教授で旧姓山本との記載のある方がおりまして、千葉出身というところも見ると、娘さんかな)という方に交代されていました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/平山満紀
中央経済社の筆頭株主は長らく山本時男さんが務めてこられましたが、90歳を過ぎてご高齢ですし、今後筆頭株主が交代されていくようであれば、次の方には時価総額という形でしっかりと中央経済社の企業価値を高めていただければ嬉しいと思っています。
残念ながら現在の経営陣は、IR上ではPBR1倍割れなどに課題感はお持ちだとのことですが、口だけで実績を出せていませんので、同業他社の朝日出版社のように、相続絡みでTOBや会社清算といった事態が起きてもしかたない時期なのかもしれません。以前も書きましたが、当然そういう状況になったら高値で売却できる方に賛成します。現在の取締役には株主提案に全部反対いただきましたし。
さて、中央経済社の株主総会は来月13日の予定です。当日の株主質問など含め、準備を進めていきます。感想と事実の羅列ばかりになってしまったので、ディスクレーマーは省いてしまいましたが、一応最後に貼っておきます。
*ディスクレーマー*
テンプレで恐縮ですが、ディスクレーマーは以下のポストに記載の通りでお願いします。あくまで個人の意見を書き散らかしているだけで、投資助言等ではないし、なんら内容に責任を持てるものではないことをご了承の上、ご覧ください。
https://note.com/9476/n/n2d660946cf56
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