中央経済社HDに対し株主提案を実施しました

10月中旬、中央経済社HDに対して株主提案をお渡ししてきました。
株主総会の日程から逆算するとそろそろ提案期日もクローズしたと思いますので、こちらに同内容を掲載させていただきます。ヘッダー部分や体裁の差異はあれど、お渡しした内容は以下のものとなっています。

先日のポストでは、100%子会社のプランニングセンターが保有する自社株の買取と消却についての提案も実施する予定でしたが、完全子会社株式の取得(第160条【特定の株主からの取得】、会社法第163条【子会社からの株式の取得】)および自社株の消却には、複数の定款変更が必要となってしまったため、今回は市場からの自社株取得にとどめることとし、議案数は4本となりました。以下、ディスクレーマーを挟んで提案議題とその理由を記載します。

中央経済社HD(以下、「当社」)の株主様(2024年9月末の議決権保有者様)におきましては、提案をご理解いただき、ぜひとも来たる総会にむけてご賛成いただきたくお願い申し上げます。


*ディスクレーマー*(以下、本編が続きます)

ディスクレーマーは以下のポストに記載の通りでお願いします。あくまで投資は自己判断にてお願いします。また、大量保有報告書提出済みの通り、著者は中央経済社の株式を保有し済的利害関係を有しています。この先を読み進める場合、リンク先のディスクレーマーに了承したものとみなします。
https://note.com/9476/n/n2d660946cf56


はじめに、当社の株式が上場維持基準に適合しない状況が継続した場合、2025年3月に東京証券取引所の経過措置が終了し、その後の改善期間等を経て上場廃止に至ることをお伝えします。この現状を改善できる定時株主総会の機会が極めて限られていることご理解いただき、株主様におかれましては、賢明なるご判断を賜りますよう何卒お願い申し上げます。

特に法人株主様におかれましては、各社様の日本版スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードへの対応方針と照らし合わせていただくとともに、東証による「資本コストや株価を意識した経営」等もご覧いただき、上場廃止による資産価値の毀損に関わる判断ともなり得ることをご理解いただき、賢明なるご判断を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

1) 提案する議題

1.当社株式取得の件
2.不動産資産売却に関する定款変更の件
3.当社保有の不動産資産売却に関する件
4.剰余金処分の件

2) 提案の内容及び提案の理由

【提案の内容】
1.当社株式取得の件
会社法156条第1項(株式の取得に関する事項の決定)の規定に基づき、自己株式について、2025年5月末日を期限とし、買付株式総数を133,000株(*1)、取得価額の総資金を買付株式総数に628円(*2)を乗じた金額を限度として、金銭の交付をもって取得することとする。取締役会は本株主総会終了後、遅滞なく自己株式の取得枠設定を決議する。
*1:2024年9月期においてプランニングセンターが売却し、EDINETにて報告された当社株式数
*2:プランニングセンターが市場内にて株式売却を行った期間中の高値

【提案の理由】
1.当社株式取得の件
議案1は、中央経済社ホールディングス(以下、「当社」)の100%子会社である株式会社プランニングセンター(以下、「プランニングセンター」)が2024年9月期において市場売却した当社株式を取得する提案となります。

本来、会社法では、子会社による親会社株式の取得は禁止されています(会社法135条1項)。プランニングセンター保有の当社株式は、平成23年4月1日に行われた企業合併に伴い取得されたもので、例外規定によって取得が認められている(会社法135条2項1号ないし5号、会社法施行規則23条)ものの、「相当の時期」において親会社株式を処分しなければならない(会社法135条3項)とされています。

にもかかわらず、実に13年以上にわたり、この課題は放置なされてきました。当社は東証スタンダード市場に上場している企業であり、市場売却が可能な株式について、「相当の時期」に対する柔軟な法解釈が可能なものとは言えません。

子会社保有株式の処分方法としては市場売却等の方法も考えられますが、株価の下落を招く可能性があります。2023年9月末日の時点でプランニングセンターは380,000株の当社株式を保有していましたが、2024年2月13日から4月23日にかけて133,000株を市場内で売却した結果、当社の株価は同期間の東証スタンダード市場指数と比較して約2.5%劣後することになりました。

当社は2023年9月末の段階で東証スタンダード市場における上場維持基準に未適合の状態となっており、これもまた重要な経営課題と言わざるをえません。

当社経営陣は、2022年4月の東証再編以降、上場維持基準に適合するための計画書を公開し、対応を行ってきました(上場維持基準の適合に向けた計画書:2022 年 12 月 21 日、上場維持基準の適合に向けた計画書に基づく進捗状況について:2023 年 12 月 28 日)。しかしながら、その取組は企業価値の向上ではなく、流通株式の増加によって流通株式時価総額を高めるという手法で、結果的に株価を押し下げ、時価総額を損なう結果となってしまいました。

当社が上場維持基準に適合するためには、流通株式比率のみならず、流通株式時価総額を高める必要があります。当社のPBRは0.4倍程度と、株式市場においては解散価値に遠く及ばない評価を受けております。かかる状況においては、自社株式の取得を通じた資本政策を実施し、時価総額を向上させることが必要だと考えます。2024年9月期に当社株式を市場売却した結果を鑑み、同期間にプランニングセンターが市場売却した当社株式の買い付けを実施することで、上場維持基準に適合に向けた施策を進めるべきです。

なお、市場からの買い付けに必要となる金額は、2024年4月26日に提出のあったプランニングセンターによる変更報告書を元に、買い付け株式数133,000株、買い付け単価628円、取得金額は83,524千円となる予定です。当社の自己資本比率は2024年3月末で71.6%、現金1,449百万円に対して有利子負債は469百万円と実質無借金経営であることに加え、そもそもプランニングセンターが市場売却した自社株を購入するため、連結決算を採用している中央経済社の財務状況に与える影響は、極めて小さいものにとどまります。

議案2及び3については、関連する内容であるため、提案の内容及び理由をまとめて上程いたします。

【提案の内容】
2.不動産資産売却に関する定款変更の件
現行定款へ以下の条項を新たな条項として追加するとともに、それ以降の条項の番号について所要の繰り下げを行う。

第18条(重要な財産の処分)
当会社の株主総会において、当会社の保有する重要な財産(不動産資産に限る)を処分すべき旨の過半数の承認による決議がなされた場合には、当会社の取締役会は、当該決議において示された内容に従って当該財産を速やかに処分する。

3.当社保有の不動産資産売却に関する件
議案2が承認可決されることを条件として、当社が保有する重要な不動産資産である東京都千代田区神田神保町1-31-2の不動産522.74平方メートルを、遅くとも2025年9月末日までに現金による売却処分を行ない、売却完了時には遅滞なく当該不動産の譲渡価額および売却先の情報を公開する。売却に際しては市場価格を著しく下回ることが無いよう、上記売却情報が公開されることを前提として複数の不動産会社によるデューデリジェンスを実施の上、売却活動を実施する。

【提案の理由】
2.不動産資産売却に関する定款変更の件
3.当社保有の不動産資産売却に関する件

議案2および議案3は、当社が東京都千代田区に保有している不動産を売却し、本業である出版事業における将来の投資資金を確保するための提案になります。

当該不動産資産は白山通りに面し、神保町駅から至近にある522.74平方メートルの不動産資産です。この資産は2023年まで使用していた旧本社の土地にあたり、2023年9月末には当社子会社の株式会社CKDが保有しておりましたが、同社は2024年3月1日に当社に吸収合併されました。

旧社屋の取り壊しが完了しても、当物件は本業での事業活用はされておりません。経営陣は収益物件化に向けた検討をしておりましたが、昨今の建設コストの急増と賃貸需給の停滞など、様々な要因が重なったことにより、当面は駐車場として利用することを決議いたしました。しかし、当物件による収益は年間1800万円程度を予定している一方、当物件の地方税(固定資産税及び都市計画税)は年間2648.2万円(*3)、十分な資産活用がなされているとはとても言えない状況です。収益化の計画が頓挫した状況で、売却という判断を先送りにすることは、徒に株主資本を毀損し続けることに他なりません。当社の中核事業はあくまでも出版事業であり、コンテンツの強化及びそのデジタル化、今後の金利上昇などコスト増に対する資金需要への備え、株主還元の強化など企業価値の向上に繋がる原資を確保するため、当物件の売却を提案します。
*3:令和6年の路線価図より、当該不動産の路線価2,980(千円)522.740.017(固定資産税1.4%+都市計画税0.3%)=2648.2万円(小数点2位切り捨て)

近隣の公示地価や取引事例を参考にしても、当物件は30億円(*4)を超える売却価格になる可能性があります。売却に際しては時価総額に対する金額の大きさから、公正で透明性の高い取引とするため、複数の不動産会社によるデューデリジェンスを実施し、売却情報を公開することを付議しています。
*4:神保町駅近隣における同建蔽率・同容積率の地価公示価格の平方メートル単価5,750千円を援用し、522.74×5,750=3,005,755千円=約30億円

なお、本提案における定款変更については株主総会の決議による売却資産を不動産資産に限っています。これは、提案株主が当社の中核事業である出版事業を重要視しており、知的財産等の出版事業に関わる重要な資産については将来に渡って取締役会による適切な管理と活用をするべきとの企図となります。

【提案の内容】
4.剰余金処分の件
以下のとおり、剰余金の処分を行う。本定時株主総会において取締役会が剰余金の処分の件を提案する場合には、同提案とは独立して追加で提案するものとする。

ア 配当財産の種類
 金銭
イ 一株当たり配当額
 金24円から、本定時株主総会において取締役会が提出し、かつ可決の決議がなされた剰余金の処分に関する議案に係る普通株式1株当たりの剰余金配当額を控除した金額(本定時株主総会において取締役会が剰余金の処分に関する議案を提出しない場合には、金24円とする)
ウ 配当財産の割当てに関する事項およびその総額
 当社普通株式1株につき上記イの1株当たり配当額。配当総額は、1株当たり配当額に2024年9月30日現在の発行済株式総数を乗じて算出した金額とする。2024年9月30日までの期間に自社株式が加算された場合、その株式数を除く。
エ 剰余金の配当が効力を生じる日
 本定時株主総会の開催日の翌日

【提案の理由】
4.剰余金処分の件
本議案は、期末配当の増額を通じて株主還元の強化を行ない、当社の企業価値を高めるための提案となります。

過去10年間、当社の株式市場における評価はPBR1(解散価値)を一度も超えることができませんでした。2023年5月25日に公開した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」において「当社のPBRは約0.4倍であり、この指標を基準とした場合には市場評価との間に乖離が生じております。当社は今後も付加価値や収益力強化や株価上昇に向けた努力を続けるとともに、市場との対話を促進し、当社の経営や事業価値に対する適正評価を得られるよう努めてまいります。」と明記したものの、一年以上が経過しても適正な評価を得られたとは言い難い状況です。

このため、株主還元の強化による市場評価の向上を目的に、本議案を通じ年間配当を10円から24円に引き上げます。これは2024年3月末における当社の一株あたり株主資本956円に、同月における東証スタンダード市場の非製造業DOE平均値2.58%を乗算して算出した金額としました(小数点以下切り捨て)。当提案を起点とし、今後も継続的に株主還元を強化していくことで、PBRおよびDOE指標において、東証スタンダード市場の平均値に劣後することが無いよう、企業価値の向上を進めていくものとします。

以上

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