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若手の夜明けを終えて

セカンドブランドを立ち上げ1年が過ぎました。溶けない米の年の仕込みを終え、2シーズン目の五色彩雲のPRや新商品の発売など、すったもんだしているうちに令和6酒造年度が始まります。

コチラのNoteは五色彩雲のブランディングや福司の製造をしている(中の人)目線で書きます。よりマニアックな話ですがお付き合いください。

若手の夜明け

若手の夜明けというセカンドブランドを立ち上げたときの1つの目標に今シーズン参加することができました。審査結果から『ポテンシャル枠』と呼ばれる前半戦での参加となりました。
本音を言うと来シーズンは後半のグループになれるように頑張ります。

登竜門

「若手の夜明けに参加したい」とある酒屋さんとのお話の中、自分の進む先の話をさせていただいた話の中に伝えさせていただいた言葉です。若手の夜明けは今までの日本酒のイベントとは異なる客層にアプローチできるイベントだと思っています。そしてそこに参加することは応援されていたり注目されている蔵が多く、今後の伸びしろや今伸びている蔵が主となるイベントでした。
五色彩雲を北海道の地酒にするには全国区まで名前を知られ必要があると思っています。そうでなければ外から人を呼ぶ力のある地酒にはなれないからです。私が想像する全国区の登竜門の1つが若手の夜明けという入り口でした。

知ってもらう、そして自らも知る

イベントへの参加目的は多くの方へのブランドの周知ですが、それと同時に自分たちがどの位置なのかを知るマッピングでもありました。
北海道内で販売やPRをしているだけではわからない、全国区で人気な蔵との実力の差。あるいは酒質の差。考え方の差。それらがどの位置にあるのか?これを私たち自身が知るためのイベントでもありました。
とにかくどう評価されるのか。有名なお酒や伸びている全国のお酒を飲む東京の若い消費者の実際の評価が自分たちの考えるお酒の評価とのずれをすり合わせより解像度を上げる作業もさせていただけました。

仮説が実証された

イベントに参加してみて、自分たちのお酒はとびぬけた存在ではありませんでした。それは予想通りでした。さらに私たちが狙っている方向と同じ方向を極めようとしているところもありませんでした。それも予想通り。
結果的に今のところ、私たちの進んでいる方向はいい方向に向いていると思っています。ずば抜けてすごい酒質ではありませんがやろうとしていることやお酒の提案の仕方は他とは異なるアプローチの仕方であり、差別化になっていると感じています。

結果的に

その中でも結果的に良かったことがありました。それが不親切な部分ではありますが、Nusamai・Ashiri・Jiriにおいてほとんどが同じだけど製造の仕方で味わいが異なることです。
違いが分かりにくいからこそ丁寧な説明が必要になりますが、そのおかげで説明を聞いた人は一通り利き酒してくれます。同じスペックの中で、製造の技術で違いを題しているため違いも分かりやすく、自分の好みのものが見つけやすいようです。そのため1つのお酒に人気が集中することがありませんでした。

また、特定名称も表記していない分、特定名称からの先入観という無駄なフィルターを排除できています。例えば純米吟醸という表示だけでおおよその味が想像つくように、表示は時に期待感を軽減してしまいます。
純米吟醸を探している人にとってはプラスに働きますが、その逆の効果もあることを忘れてはなりません。そしてそのせいで起こる弊害が、いつも飲みなれている特定名称のお酒を飲むことで、その蔵の味やレベルを想像しようとしてしまう事があります。

沢山の伏線とストーリー

私が無駄に作った伏線と細かなストーリーも役に立っている気がします。とにかく1つ1つの商品の設定も細かいので説明も単純には終わらず、沢山の情報をご提供すことができました。きっとキャパオーバーになってしまった方も多いでしょうが、『とにかくこだわっているのだ!』という事だけが伝わることが多く、丁寧な造りをしているとSNSでも書いていただけています。

なんか違うという違和感

お!?っと思われるときのポイントは視点が違ったり、自分と異なる考え方をしているときに人は興味関心を持ってくれます。聞いたことのある話よりも新しい視点でお酒を見ている方が興味を持ってくれるでしょう。日本酒の説明の時の説明で一番退屈なのが「このお酒の精米歩合は~」とか、「米の品種が~」とかです。ケーキ買う時に「使われている小麦は~」とか「使用されいるイチゴは○○農家の~」なんて聞いて買おうと思う人はいないのと同じで、私たちが伝えたのはどんな味かと何のために造ったかという背景でした。

お客様が欲しいのはスペックではなくどんな味か。これを入れたほうが良いというアドバイスを日本酒ライターの木村さんから頂いており、意識して入れるようにしています。

終わりに

今年は北海道から東京に販路を伸ばし始めた1年目。沢山の自信と繋がりを頂きました。今週末は札幌のゴーアラウンドです。これが終わればいよいよ仕込みが始まります。今年のOFFシーズンも駆け抜けました。休めたか?聞かれたら休んだ気はしていませんが、もうOFFシーズンなんてないんだなと思えばやりがいを感じます。スイーツもアイドルもい売れる時期は一瞬です。今がチャンスという時にしっかりとそのチャンスをつかんでいかねば一生後悔します。
後輩に背中を見せるためにも突き進み、爪痕を残しながら走りたいと思います。


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