注目の歌ってみた動画・CITY HUNTER編
「歌ってみた」はYouTubeで人気のジャンル。その中でもよく題材に取り上げられているのがアニメの主題歌だ。今回は北条司原作のアニメ『シティーハンター』シリーズから、FENCE OF DEFENCEの『SARA』のカバー動画を鑑賞しよう。
歌い手は当ブログの過去記事でもご紹介したNanao。音楽系YouTuberに特化したエージェンシー・muchooに在籍し、avexとの縁がある。自らの持つYouTubeチャンネルでの動画投稿に続いて、毎週の生配信にオリジナル・グッズの販売も始まり、活動の幅を広げてきている。
『SARA』をうまく歌ったカバー動画は他にもあるが、Nanaoのように歌唱中のようすを映像でも鑑賞できるものとなると、その数はグッと絞られてくる。ときどき視線を視聴者側に投げかけてくるときに、歌詞が深く入ってくる。ぜひ映像でご鑑賞いただきたい。
アタック感を失うことなく、歯切れ良い歌いっぷり。それに加えて「踊り明かしても」や「照らし出すライト」といったフレーズ末尾にも、音にしっかり表情をつけて締めている。この曲を歌ってみようという歌い手は、ここまで細かいことにこだわってみよう。きっと響く歌になる。
彼女が元々持ち合わせている歌唱力の高さに加え、シティーハンターという作品自体への愛着もあり、説得力のあるカバー動画に仕上がった。
どんなに歌自慢のシンガーでも、タイアップ作品についての知識が何一つなく、楽曲だけ知っている状態よりは、作品中たったの1話しか登場しないような脇役の名前も言えてしまうほど強い愛着を持つシンガーには敵わないだろう。歌ってみた動画の投稿に興味のある方は、強い愛着のある作品があるのなら、その思いを歌に込めて発信してみよう。Nanaoがどこまで詳しいのかは分からないが、シティーハンターのファンに熱くリーチする歌唱なのは間違いない。
Nanao『SARA』
もう1曲ピックアップしよう。TM NETWORK「Get Wild」のリミックス。クリエイターは、先程のNanaoのカバーでも伴奏を担当したSINISTLA。ボーカル・トラックはオリジナル歌手・宇都宮隆本人のものを使用している。「SARA」ではオリジナルに沿った表現だったが、こちらでは一転して、自由な発想で楽しませてくれる。
サビに入る直前の「何も怖くはない」のフレーズ末尾で尺を引っ張る処理に注目。1999年発売の「GET WILD DECADE RUN」を知るファンには、思わずニヤリとさせられるポイントだ。
さらに特筆すべきは、サビの「Chance and Luck」のパートで、音程を大胆にいじってきている点。筆者もかなり多くの「Get Wild」を聴いてきているけれど、こんな展開は読めなかった。意外性のある驚きのサウンド。これは面白く聴いていられる。
Get Wildの数あるバージョンでも、知っているのはアニメで毎週流れていたもののみというリスナーにとっては、ここまで崩すとGet Wildではなくなってしまうと感じられるかも知れない。それほど大胆な攻めのアレンジだ。
かたや、企画アルバム「GET WILD SONG MAFIA」を延々と聴いていられるようなコアなファンにとっては、これぐらい派手にかましてもらわないと楽しくならないだろう。
歌が主役のNanaoのカバー作と、アレンジにスポットを当てたSINISTLAのリミックス。ぜひ両方ともお楽しみいただきたい。
SINISTLA『Get Wild』
2022年1月3日深夜2時よりテレビ東京で、フランス人監督による実写映画・シティーハンターTHE MOVIE 史上最香のミッションが放送された。その人気はいまだ衰えない。
関連リンク
Nanaoの歌う、北条司アニメの主題歌をまとめ聴きできるプレイリスト。
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