B'z「Film Risky」

2020/04/16


現在、You TubeではB'zの過去の映像作品を5月末までの期間限定で視聴できる。せっかくの機会なので僕も鑑賞してみた。多数アップされている作品群の中から僕が選んだのは、1990年発売の「Film Risky」。
 アルバム「Risky」の方はリアルタイムで愛聴していた。このアルバムは、収録曲の中でも知名度の高いシングル2曲が最も地味に感じるぐらい、どの曲もキャラクターの濃い名曲揃い。大のお気に入りだ。それでも、さすがに映像作品にまでは手が回らない。当時の友達の家で一度だけ見せてもらったことはあるけれど、ガチのファンのようにテープが擦り切れるほど何度も見まくっていたわけではない。記憶に残っていた部分がほぼなかったので、新鮮な感じだった。
 メンバー名と担当パートをアルファベットで表記しつつ、ぐるっと外周を囲った、黒い丸のロゴマーク。これ好きだったなー。初っ端から胸が熱くなる。現在のロゴは「何もそこまで徹底しなくても」というほどシンプルになっているけどね。外周のアレは、二人ともすっかり個人名まで広く浸透してしまったから、今となっては必要ないとされて取っ払っちゃったのかな。
 「GIMME YOUR LOVE」と「HOT FASHION」の曲順が、アルバムとは逆になっているんだよね。僕の感覚では、これまで1曲目の「Risky」の最後の台詞「Risky…Where are do it go」(セリフ合ってるかな?)から「GIMME YOUR LOVE」のイントロ頭のブラスのフレーズ、そして稲葉浩志の「Ahー!」というシャウトまでワンセットだったので、この映像は意表を突かれた。
 「VAMPIRE WOMAN」の映像も最高。冒頭のカッティング・ギターの部分で松本孝弘の手元が「これでもか!」っなぐらい大写しになるんだけど、これは盛り上がる。ギターをサッパリ弾けない僕でもこうなのだから、かつてのギター・キッズには血沸き肉踊る映像なのではないか。もう一つ、松本の演奏する背後で稲葉浩志が徒歩で右へ移動しながら歌うシーンにもトリッキーな仕掛けがしてあり、こちらも見所だ。
 キャリアも長く多数の作品を残してきているB'zだが、僕はやはり明石昌夫と制作していた初期の、松本孝弘が青いギターを抱えていた頃の作品に強い思い入れがある。生粋のB'zファンと違って、TM NETWORKの活動に深く関わってきた松本孝弘の音楽という点に注目しているから、こうなるのかも知れない。
 B'z結成前のTM NETWORKの作品では、随所で松本孝弘の演奏が聴ける。これはコアなファンにとっては「何を今更」な話だが、さらに小室哲哉「RUNNING TO HORIZON」、宇都宮隆「インディゴの彼方」、木根尚登「三鷹ブルース」などの楽曲に見られるように、メンバー個々の活動にまで共演が及ぶ。
 来たる4月18日には、You TubeでTM NETWORKの過去の映像から選りすぐりのものを12時間ブッ続けで放映する企画も上がっていた。B'z結成前の松本孝弘の姿も見られる可能性が大いにある。両方のファンにとって面白いプロジェクトだったが、ここにもコロナウイルスの猛威が吹き荒れ、この日の開催は見送られた。音楽業界に吹く逆風は想像を絶するものがある。
 滅入ってばかりもいられない。こんな状況でも、今できる範囲で元気を出そうと活動している音楽愛好者はたくさんいる。僕も微力ながら、音楽の魅力を何か発信していければなあと思っている。