30歳、家を買うまで
都内に小さなマンションを買った話。
30歳になる記念に、自分に何か高いものを買ってあげようと思った。やっぱりジュエリーかなと思って10万円のブレスレットをカートに入れたものの、しっくりこないまま数週間が過ぎた。
結婚して子供を産んで家を買う。同世代が、どんどん遠いところに行ってしまうことは正直しんどかった。ずっと結婚はしたかったけど、ひとりではどうにもできなかった。あまり良い恋愛をしてこなかったこともあって(彼氏ができるとストレスで肌が荒れる)、今はひとりで穏やかに暮らしたいという気持ちの方が強かった。
トラウマの一番の元凶であった元彼が結婚したと、人づてに聞いた。別れてから二年も経っているのに傷ついている自分に辟易しつつ、一週間ほどしっかり落ち込んだ。縁があればまた戻れると思っていた(運命とか信じちゃってた、すごくださいけど)ので、その道が断たれたことで「私、しばらく結婚しないかも」と思った。しばらく結婚しないなら家を買ってみるのもありかもしれない。そのときの自分は何かに打ち込んでいないと気が変になりそうな精神状態だったので、とりあえず家探しをしてみることにした。
女性向けコンパクトマンションの広告を見たことがきっかけで、マンション購入には興味があった。築18年の1Kの賃貸マンションは、身の丈には合っていたけど、少し窮屈で、物足りなかった。
家探しは一歩踏み出せばとんとん進んだ。新築よりも中古マンションのリノベーションに魅力を感じたので、物件探しからリノベーションまでワンストップで取り扱う業者の説明会に行ってみた。どんな暮らしを叶えたいかじっくりカウンセリングしてもらったのち、物件の候補を出してもらって実際に内見をしたのは5〜6軒ほど。限られた予算の中で自分の条件を完璧に満たす物件はなかった。何を優先して、何を妥協するか。物件探しをしていた期間は、自分の叶えたい暮らしに徹底的に向き合えた時間だった。
紆余曲折あり、最終的にはリノベーションは諦めて、セキュリティのしっかりした築浅の中古マンションに決めた。もちろん家自体が良かったから購入に至ったのだが、それに加えて、駅からマンションまで続く商店街を非常に気に入った。ここで生活する自分の姿が想像できたのが決め手だった。
越してきて三か月ほど。新居での暮らしは本当に快適。私だけの大好きな城になった。その後のインテリア沼についてはまた別で書きたいと思います。