女子ラグビーを応援する〜パワーとスピード以外の魅力とは〜
『よそ見するなー清宮❗️』
私が贔屓にしている北海道日本ハムファイターズでの一コマだ。感染予防のため野次は禁止のはずだが、球場に集うおっさんの中にはこういう困った方もいる。
場内はドッと笑いで沸いた。清宮選手はさすがにムッとしている。その顔はパパそっくりだった。
同じことをヤマハスタジアムでできるだろうか?恐ろしくて考えることもできない💦たとえ叫んだおっさんがいたとしても場内は凍りつくだろう。あのいつのまにか『キングスライム』もしくは『秘伝のタレの味を守る焼き鳥屋の親父』的雰囲気を醸す様になった清宮克幸日本ラグビー協会副会長。御子息はファンから『きよみん』『キヨミー』と呼ばれ、『笑顔がlovely&cute』『癒し系』『おとうとキャラ』『超天然』等、パパには金輪際、未来永劫ラグビーファンが使わないWordで女性ファンに愛されている。遺伝子はどう変異したのだろう。
その『LOVE &cute*癒し系』では全くないパパ清宮さんが設立した静岡県のAZALEA Sports CLUB内に、7人制女子ラグビーチーム『AZALEA SEVEN 』がある。
女子とラグビー。ある種最も結びつきにくい組み合わせだろう。あのスクラムやタックルの衝撃を女の子が受けるのだ。いくら運動神経がよくても『ラグビーをやりたい』と娘さんに言われたら、『ちょっと待て』と親御さんが言われるのはある意味当然の事だ。
しかし、既にオリンピック種目には女子柔道、レスリングがある。どちらも技の掛け方を一歩間違えれば死に至るが、厳しい鍛錬でそれを克服する事を誰も疑問に思わない。女の子にそういう人生選択もある、という認識は随分前から定着している。何より日本人は性別問わず無類の格闘技好きだ。
また、球技、という面から見ても違和感はない。日本は昔も今も女子バレーボールはオリンピック人気種目だ。サッカーもワールドカップとオリンピックで結果を出し、来年プロリーグが発足する。大学スポーツからみても、今女子ラクロスは結構荒々しいスポーツなのに女子の花形部活だ。
その意味で、女子ラグビーが日本人に受け入れられる素地は高いと思う。ラグビーが特に荒々しい、ということは全くないからだ。
問題は、『男子があるのに、女子もやるの?わざわざやる意味あるの。』という女子スポーツ全てが抱える難題の解決だ。
プロを目指す女子サッカー選手と少しお話させていただいたことがある。この方のお話は示唆に富むものだった。
『男子には、パワーとスピードがある。同じことをすると、どうしてもその点で女子は見劣りがして《女子サッカーはつまらない》と言われる。それが悔しい』
この方はこういう趣旨のお話をされた。私は『日本だと、昔から女子バレーボールやテニスは人気ですよね。何が違うんでしょうか。』と尋ねた。
『おそらく、サーブのスピードがない分、ラリーが続くんですよね。男子は一発サーブしたらそれで決まることが多くて。男子では見られないラリーの応酬、こういう男子にない持ち味があるからでしょうか。』
なるほど、よくよく考えると、サーブにスピードがでないバトミントンは男子も女子もラリーが続く。いまや日本のお家芸、東京オリンピックで最もチケットが取りにくくなる種目だろう。シャトルの特性上スマッシュも拾えることが多いからだ。フェンシングも、静と動の連続で駆け引きが繰り広げられる、その意味で女子でも見応え十分だ。
さて、7人制女子ラグビーは、7人制男子ラグビーと違う持ち味を持っているだろうか。必ずあるはずだ。スピードとパワーが男子より欠ける分だけ試合展開に違いが生まれてくるはずだ。
この問題を選手、そして監督コーチの方々はぜひ考えてほしい。そして発信してほしい。『女子でもやります』という意気込みだけではダメなのだ。『女子だからこそやる』そういうプレゼンテーションも必要だと思う。
なぜ、AZALEA SEVENについて触れたのか。監督が小野澤宏時さんだからだ。この方はアイドル以上のビジュアルだったサントリー在籍時代から教員免許を取得され、その後大学院にも進学されている。スペシャルなのはビジュアルだけではないのだ。勉学を修めている、それは語彙力があることに通じている。
小野澤さん、部員の皆様と、ぜひ女子ラグビーならではの持ち味、魅力を発信していただけませんか。とても期待しています🙇♀️🙇♀️
ちなみに私はこのクラブの後援会に入っている。なぜか。あの30代だった早稲田監督時代から既におっさんキャラだったmr.キングスライムの大ファンだからだ。