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関東大学 ラグビー 《明治対慶應・前半》ラグビー初心者の観戦記


1.波乱の予感⁈

早稲田対帝京は、思いがけず早稲田の大勝に終わった。帝京の力士レベルに屈強なFW陣に流石の早稲田も屈してしまうか、と危惧していたのだが。

第二試合 ここでも波乱は起こるのか。

明治 対 母校 慶應義塾 

これが東京六大学野球なら、

『ま、勝負は早慶戦だから』くらい応援に余裕も出る。ラグビーは、、そうはいかない。

今も昔も、慶應はあくまで挑戦者だ。

明治の選手には笑顔があった。

慶應の選手は緊張を高めている。

それが、彼らの置かれた『立ち位置』を如実に表していた。

筑波戦で競った場面はあったものの三連勝の明治。その筑波に思わぬ苦杯を舐めた慶應。

慶應は、昨年、大学選手権出場枠を久々に逃した。12月から新チームは練習に入ったらしい。その鍛錬の蓄積が、今年怪我の功名となるだろうか。

試合が始まった。今から胃が痛い。

母校の、特にラグビーの試合は、なんだか落ち着かない。野球のように絶え間ない応援で気持ちをゴマかすことができないからだ。もちろん、今年は野球の応援も随分静かだが。

2.シンプルに、愚直に、そしてタフであれ

序盤から、慶應はよく守っている。速く緩急自在に自陣に迫ってくる明治に対して、

速くて、低くて、強いタックルで応戦する。

この音をなんと表現すればいいか。

ドカッ、もしくはボコッ、だろうか。ドラマで殴られるシーンで使われるような、思わず顔を覆いたくなる低く鈍い音だ。

これが、思いの他よく効いている。

明治の選手は、のけぞるように倒れた。

この勢いに明治は歯車が多少狂ったのだろうか。

明治ボールのラインアウト、だったが、、

開幕戦以来、ラインアウトの成功率が高かった明治が、ボールを取り損ねたのだ。遠くに飛び過ぎたボールを慶応がキャッチ。そして、

その後の慶應の攻撃に明治がペナルティー。

慶應はPGを成功させる。

明治対慶應 0-3

あれ、先制してしまった。

その後も、慶應は明治の攻撃をことごとくタックルで阻止、そのスタイルは変わらない。

明治の選手は、ある時はボールを持ったまま倒され、ある時はその勢いでパスコースを乱された。

そして明治は、再びラインアウトで慶應にボールを奪取される。こんな場面今季見た事ないぞ。

その後、慶應のキックでボールをキャッチした明治だったが、またも慶應のタックルが突き刺さる。

明治と慶應はキックで陣地を取り合う攻防を繰り返した。

この陣取り合戦、意味あるのかな?とよく思う。

明治よ、慶應におつきあいしていいのか?

慶應はこのキック合戦からボールをキープして左へ左へ前進、そして中央から大外左に向けて長いパスが出された。前には誰もいない!

慶應チャンス!!

と、思った矢先、、

明治10番がこのボールをインターセプト!

彼はすぐボールを軽く蹴り、明治と慶應の選手が競る。そしてわずかに明治が早く、6番が再度前に軽くキック。伴走していた10番がしっかり押さえた。

約80メートルの独走

明治トライ コンバージョン成功

明治対慶應 7-3

まあ、そうだよね。明治だし。

3.彼らは迷わない

逆転された後も、慶應の攻撃はブレなかった。

キックで敵陣に侵入、明治がボールキャッチしたところをタックルで前進阻止。

この地味でシンプル、かつタフな攻撃

まだ、効いている。

しかし、今日の慶應15番は一年生ということもあり、キックのミスが多い。

ボールを敵陣深くタッチに出そうとするが、ボールは遥か彼方へ。

慶應よ、

タックルはまだ効いている。

スクラムは互角で崩れない。

しかし!ここでミスったら挑戦者に勝機はないぞ。相手は明治なんだから。

もちろん、ここを含めて実力、なのだが。

この後も、録画の巻き戻しか、と思うくらいキックの陣取り合戦が続く。

多分明治にはフラストレーションが溜まっていただろう。

慶應のラインアウトの時、サインの確認なのか、お互いの声の掛け合いが次第にヒートアップしてしまう。この半ば怒鳴り合いの状況に、レフリーが両校の主将を呼び注意を促した。

たしかに、観客もストレス溜まってきた。

慶應は、このラインアウトからモールを組み、その後当たりながらジワッ、ジワッ、と前進。しかし明治のディフェンスも負けていない。

『大学ラグビー界の盟主』明治大学の力は、こういう時に痛感させられる。強い。とにかく。まさに鉄壁。

しかし、守る明治にペナルティーがでた。

ここで、慶應はスクラムを選ぶ。

2015W杯みたいだ。男気があるよね、とつい思ってしまう。観客の思いは同じなのか、スクラムを選んだ慶應に拍手が起きる。そういう問題ではなく、あくまで戦略上の選択だろうけど。

時間は23分を回っていた。

しかし、この選択は結果的に実を結ばなかった。明治は力強く当たりを受けつつボールに絡む。

慶應ついにペナルティー、明治はピンチを脱した。

とはいえ、

明治は前進を図るが、慶應の鋭いタックルは、次々選手を押し倒し、最後はボールに絡まれ明治ペナルティー。

この繰り返しだった。ラインアウトから前進できず、キックとタックルの応酬そしてペナルティー。明治も慶應も主導権を握れないまま、時計の針は進むばかり。

もう38分を回っていた。

気がつくと、攻め込む慶應、守る明治、になっていたが。

明治ボールのスクラム

モールから左へ左へ前進、しかし、慶応の鋭いタックルがここでも炸裂。それでもボールをキープした明治は右へ左へ慶應を揺さぶるが、またもや慶応の出足早いタックルに倒され、パスは乱れた。

明治スローフォワード

慶應ボールのスクラムになるが、慶應は明治の防御に阻まれノックオン。

これで前半終了

明治対慶應 7-3

驚きのロースコア。慶應はしてやったり、なのか?

それにしても、

シンプルで、タフで、忍耐強い慶応の戦法。

巷の慶應のイメージとは、むしろ真逆だ。

『涼しい顔をして、汗も涙も無縁、でも結果はいつも出している。』

校内外で充満するこのイメージ、学生は、自分がこのイメージから外れて見られることを恐れながら、影で必死に努力している。虚勢の張り合いに疲れて、良くも悪くも素顔でいられる早稲田が、ちょっと羨ましかった。  

アメフト部と並んで大学の花形だったラグビー部。彼らはスマートなスクールカラーの象徴でもあった。

しかし、真実はこれだったのだ。

なんとも地味で映えない戦法だが、

勝利を信じて、無我夢中で強者に向かっていく姿は、

影で涙する慶應の学生そのものだった。

君達も、私達と同じだったんだね。

私は、母校のラグビー部を全く理解していなかったことに、改めて気付かされた。

彼らも孤独な時があるのだろうか、私達があの頃そうであったように。













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