スポーツを止めるな2020と肖像権〜あなただけの人生じゃない〜
肖像権
専業主婦の私などにこれを論じる資格はない。ラグビーマガジンの小塩先生が誌上でご指導された方がよほどためになる。
しかし
私はラグビーマガジン10月号で野澤さんが『スポーツを止めるな2020』の活動について、肖像権との難しい関係に言及したことが昨日から気になっている。
ある高校生の動画がきっかけで大きなうねりのように盛り上がった
『ラグビーを止めるな2020』
その波は、他のスポーツも巻き込み、このコロナ渦でスポーツ界の光明として話題になった。
『一般社団法人 スポーツを止めるな』
を野澤さんが7月下旬に設立したのは、
この肖像権の管理について統一した基準をスポーツ界に周知させる
事もまた大きな目的の一つだっただろう。とても意義ある設立だと思う。
ラグビーを止めるな2020.、略してラグ止め
が話題になってから、私はずっと画像上のプライバシーの問題が気になっていた。
アイドル希望の女の子が自分の歌っている動画を事務所に送る
バレリーナ志望の男の子がバレエ団に踊っている動画を送る
1人で映る分には問題はないだろう。
しかし、集団でのスポーツは、敵味方とわず、沢山の選手が画像に映り込む。
これが、単に普通の部活の試合、くらいならまだしも(これでも問題は生じるが)
例えば、東海大仰星VS桐蔭学園
だったらどうか。ここに映り込んだ選手の多くが、大学ラグビーの名門に入学したい、卒業後はトップリーガーになりたい、という希望を抱いているだろう。
自分の知らないうちに、
タックルされてひっくり返った、タックルを見事に外された
という自分の『失敗シーン』がSNS上に流れていたら。
そのシーンを明治や早稲田の採用担当が見ていたら。
自分の将来のために編集した動画が、悪意はないにせよ、他の選手の将来を奪うことになりはしないか
動画を編集する際に、この配慮が頭にあっただろうか。
もちろん、これは作成した高校生を責めるべきではない。作った動画の確認を求められた指導者のモラル、法的意識の問題になる。
しかし、当初マスコミは、
試合に代わる新しいプロモーションの形
試合がなくなった高校生に希望の光がさした
という専ら美談でこの動画配信を盛り上げてしまった。
日本人にいかに法的意識というものが欠如しているか痛感させられた。
SNS上はアピールの動画で溢れていた。専門家が肖像権について注意を促す言動はあったか。ラグビー経験のある弁護士さん達ですぐ声明を出してもよかった。ただ、あの急速に盛り上がった雰囲気の中で
肖像権の問題があるぞ
とはとても言えない雰囲気だった。日本は情緒が先にたつ。人権や法律を持ち出す事を嫌う。
もう野澤さん達がコントロールする道筋をつけてくださったから、いまさら言及する必要はないかもしれない。しかし、あえて言わせてほしい。
自分の人生だけじゃない。その画像には他の選手の人生も映し出されている。自分の人生を切り開くために他人の人生を左右することがあってはならない。
画像でのアピールは、一発勝負のトライアウトとは違う。いくらでも自分の都合よく編集ができるからだ。大人はしっかり管理してほしい。
スポーツを止めるな の活動が法のルールの下で未来のアスリートのために発展していくことを願っている。
野澤さん、同じ三田会員として、この活動をささやかながら応援していきます。社団法人設立という難しい決断をしてくださってありがとうございます。