センター物理の落とし穴
センター試験の物理において,それなりの基礎学力を身につけているのに誤ってしまう問題は大雑把に3タイプあります.
タイプ1:イメージに囚われてミスるタイプ
タイプ2:複数の条件を連立するタイプ
タイプ3:頻出問題とよく似ているが少し異なるタイプ
以下具体的に見てみましょう.
タイプ1:イメージに囚われてミスるタイプ
次の画像のような基本中の基本問題で3割以上誤答してしまいます.
正しくは,ピストンに働く力のつりあいを考えることにより,気体の圧力が一定と分かりますから,解答は④になります.しかしながら,状態方程式を頭に思い浮かべてしまい,なんとなく「圧力も体積も増えそうだなぁ」と誤答を選んでしまう受験生が多くいるということです.選択肢を見過ぎるとそれに引っ張られて,イメージに頼り,論理がおろそかになってしまいます.「選択肢から感覚的に選ぶ」というのが最悪の対処法で,「記述式問題と同じように論理的に数式を立てて考える」のが大切です.
もうひとつ例を挙げてきます.この問3の正答率はなんと3割程度です.
最終的に小物体と台の速度が一致することと,運動量保存則から両物体とも止まることになるので,正解は④です.これも「こんな風に動きそうだな」などといい加減なことを言わずに,きちんと論理的に考えましょう.
タイプ2:複数の条件を連立するタイプ
物理の入試問題では,設問1つに対して,式を1つ立てれば解答にたどりつく,ということも少なくありません.複数の条件を連立するタイプの問題は(センター試験に限らず)正答率が低くなります.
具体的には次のような問題があります.
* 屈折の問題で,屈折の法則と図形的な関係式を連立する.
* 回路の問題で,電荷保存則とキルヒホッフ則を連立する.
* 電磁誘導の問題で,キルヒホッフ則と運動方程式を連立する.
などなど
ここでも大切なことは,センター試験で選択肢が目に見えているからと言ってなめたりせず,記述式の問題のつもりで考えることです.さらに言えば,その物理現象を支配する法則(そのタイプの問題の解法)をきちんと考えることです.試験場で焦っているときには,あたり前のことをあたり前のやる,ということが疎かになりがちです.普段から意識しましょう.
タイプ3:頻出問題とよく似ているが少し異なるタイプ
試験場で見たことあるような問題に出会えば,安心しますよね.そういうときに「あぁあれか」という思い込みがミスを生みます.
例えば,次の問題,sinの選択肢を選ぶ人とcosの選択肢を選ぶ人がだいたい半々になってしまいます.
経路差が波長の整数倍に等しいことから,解答は③になります.見慣れた問題と角θを定めてある場所が異なるため,sinとcosを取り違えてしまう人が多くいます.知っているような問題であれば,どうせ手早く解けるのですから,焦ってうろ覚えの答えを当てはめるのではなく,イチから計算しなければなりません.
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