何もしなくてもいいから、生きる
2021年、秋。
好きぴの誕生日であったので、決意した。
――するか! サプライズプロポーズ!
その直後、電話が鳴る。
彼が脳卒中でいきなり死んだ。コントか? 現実だった。
それから1年、齢30にして人生のやる気を失いながら、ただ生きるというタスクをこなしている。
やらなければならないことはある。
将来のタスクについて考えること。
親の墓問題とか。実家どうする問題とか。
4人ほど見送らないといけないので、それぞれの問題を考えなくてはならない。
自分のことはどうでもよくなっている。
結婚はしたい、気がする。
でもそれは恋を求めているのではなくて、ライフラインとしてのパートナーがほしいだけだ。
1年経って、未だにあの男に恋をしている。
こんなメンタリティで、他人に人生の半分を背負ってほしいとは口が裂けても言えるものではない。
1年経って、嫌な人間になったと思う。
既婚の友人の他愛ない愚痴が数ヶ月スパンで心に引っかかっている。
いいじゃんね、嫁も旦那も生きてるんだから。なんとでもなるじゃん。
・・・・・・いやこれ絶対言えねえ~~!!
死ぬ気で善人シミュレーターを脳内にインストールして寄り添いポジティブになれるような返信をした。多分できているはずだ。
向こうは私がこんな些細な愚痴を勝手に引きずって鬱を悪化させているとは思うまい。
でもさみしいのは嫌いだし友人だけは失いたくないので、薄っぺらくとも求められている言葉をいくらでも並べるよ。
ろくな人間になれませんでした。
一日経つごとにあの人から遠ざかっていく現実が憂鬱でしかない。
だからといって自発的に死にたいとかそういうのはないんだよなあ。
やらなければならないことが残っている。そのために生きていなくてはならない。
仕方なく、どうしようもない世界を漂いながら生きている。
今はなにもしなくてもいいから。
その時が来るまで、ただ命だけは続けておく。
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